2017年11月の記事 | 今のところではありますが…
前始末

【2017.11.28 Tuesday 08:44

突然のトラブルに対処するために

日常努力しておきたいことのひとつが、

コミュニケーションだ。

 

 

 

 

 

トラブルの対処というのは、

エネルギーがいる。

大抵突発的に起こるものだから、

当然、何かを進めている最中ってことになる。

すると、今やっていたことを中断して、

トラブルに対処するということになる。

 

進めていた仕事を棚上げして対処するが、

何しろトラブルだから、

一筋縄でいかないことも多い。

心も頭も体も使って、

やっとの思いで一応決着させ、

もともと取り組んでいた仕事に戻る。

もともと取り組んでいた仕事も

ギリギリでやっていたりするとなると、

もういっぱいいっぱいだ。

 

ま、仕事をするってのは、

こういうことの連続ではある。

 

仕方ないとも言えるし、

それが楽しい時もあるし、

対処や

その後のスピードアップが

自分の能力を上げてくれたりもする。

 

 

 

とはいえ、なるべくならトラブルない方が

落ち着いて仕事ができるわけだから、

トラブルを未然に防げることは

とっても大事だ。

 

予想がつくようなトラブルを回避できるよう

準備することを

「前始末」というと教えてくれたのは、

講演でうかがった先の学校の校長先生だった。

 

あとで調べてみると、

どちらかというと経済界の言葉らしい。

 

 

 

通常の仕事を普通にしていくことだけでも

結構大変な中、

「前始末」は

優先順位でいくと後ろの方にしてしまったりするが、

「やっといた方がいいよなあ」と思いながら

しないでいるうちに

大きなことになったりした痛い経験があると、

「やったほうがいいこと」ではなく

「やるべきこと」になったりすると思う。

 

 

そんな中で、手軽なのが、

そしてコミュニケーションの量を増やすこと。

それは

「前始末」のひとつだと思う。

 

 

 

上司からの指摘が、

誤解に基づいているものだと気がついたけど、

「まあ、そのうち分かるだろう」と、

いいわいいわにしているうちに、

上司がお客様に対して間違ったことを言ってしまった。

いつか上司とお客様が会うことは分かってた

ことなのに・・・。

 

 

部下が、いつも報告をしてくれない。

〜〜の件に関しても、

どうやらスケジュールが遅れているようだけど、

何も言ってこない。

「何とかするだろう」と自分に思いこませて

そのままにしておくと、

ある日、

「課長、実は、〜〜の件で

 納品が3日遅れそうなんですが・・・」

(えええ!なんとかしなかったのか・・・)

 

 

夫は仕事に忙しい。

子どもの受験先についてそろそろ報告しないと、

たぶんまだ公立を受験すると思ってると思う。

でも、色々聞いてこないのはあっちだし、

聞いてくるまで置いとこう。

・・・という間に、三者面談は明日だ。

私立の単願にすることを子どもが伝えると、

「聞いてないぞ。

 俺は印押さないぞ」と。

あちゃー、長い夜になるなあ。

 

 

 

 

無駄話してない間柄で、

急に大事な話だけするのって、

すっごくすっごく難しい。

のべつまくなし喋りあうことはないが、

ある程度のコミュニケーションをとっておくことは、

人間関係上に起こるトラブルの、

前始末になる。

 

さらに、

仕事上のトラブルについても

早めに助けを求めたり、

ことが小さいうちに相談できるのも、

コミュニケーションあってだ。

 

 

 

 

学校の中で、

児童生徒や保護者と面談をしていて、

私が、

その児童生徒の担任や学年主任の先生に

した方がいいことや、

続けない方がいいことが

浮かぶことはたくさんある。

それをしないと、

子どもや保護者が

孤独になってしまったり、

辛くなってしまう可能性があることとか、

それをし続けると、

子どもや保護者が

追い詰められてしまう可能性があることなど。

 

過去にそれを言わないでいた・・・

という苦い経験がある私は、

もちろん今は「伝える」のだが、

 

「伝える」の前始末があると、

つくづくと思うのだ。

 

 

日常の中で、

気軽に挨拶したり、

世間話をしていたりすると、

すっと話に入ることができる。

そういう関係が作れていない時は、

立場で伝える訳だけど、

それは結構厳しいものだ。

 

 

寒いね。

調子どう?

〜〜の件、進んでる?

実は嬉しいことがあってね。聞いてくれる?

今〜〜にはまってるんだ。

風邪、治ったみたいだね。大事にしてよ。

○○のプレゼン、すごく素敵だったよ。

書類作成、手伝ってくれてありがとね。助かった。

 

そういう交流あっての、

「実は大事な話があるんだけど」なんだよなあ。

 

 

ってわけで、

日常、挨拶や世間話など、

ちょっとしたコミュニケーションをとる努力すること、

 

また、

小さいうちに

報告したり相談したり、

依頼したり断ったり、

ダメだししたり話し合ったり、

そういうことができるようになる

コミュニケーションの技術を持つこと、

 

つまり

コミュニケーションについて

学び、練習することは、

大炎上にさせないための、

前始末になるんだと思う。

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

静岡で「アサーティブ・コミュニケーション」を

学べます!!!

アサーティブトレーニング基礎編

 2018年3月24日(土)9:30〜16:30

      3月25日(日)9:30〜16:30

 静岡県教育会館

 定員:20名  

 受講料:21800円(リピーターは10900円)

 講師:谷澤久美子(アサーティブジャパン認定講師)他

 主催:谷澤相談室

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

10月22日、ついに包丁がダメになった。

結婚してすぐ夫と京都を旅行した時に購入した

包丁だ。約28年間使ってきたもの。

あまりにも手入れが悪すぎた。

 

修理していただき、丁寧に研いでいただき

戻ってくるまで(11月17日)までの間、

使い慣れない包丁だった。手入れを怠った結果なんだよな。

↑プロの仕事に惚れ惚れ!!!

 

 

 

 

 

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ぐさりっ。

【2017.11.21 Tuesday 19:03

糸井重里氏おすすめの本を

2冊読んだ。

「君たちはどう生きるか」

「SHOE DOG」

 

「成り上がり」以来、

「おいしい生活」を経て、

とにかく大好きで、

「ほぼ日」や彼のSNSを追いかけてきて

本当に良かった。

そういう人が勧めてくれてなければ、

2冊とも手に取らなかった本だ。

 

 

「君たちはどう生きるか」は、

中学生のコペル君と

コペル君の「叔父さん(母親の弟)」が

コペル君の

発見や

つまづきや

悩みや

起こしてしまった問題(卑怯な振る舞い)

に対して、

そのことを通して、

「どう生きるのか?」を問いかけ続ける内容。

 

コペル君からの問いに、

コペル君の想像をはるかに超えた視点から

ヒントを出し、

考え方のプロセスを示す「叔父さん」。

 

私は少しずつ読み進めながら、

私だったらどう答えるだろう、

私だったらどうナビゲートするだろうか

と「叔父さん」の立場で考えた。

だって、そういう年だもの。

 

で、

やばい。

浅すぎるぞ、私・・・と思う。

 

人が「問題を抱える」ってことは、

今はまだそれを解決する力がないから、

それを問題と捉えた

ってことを意味してる。

ってことは、

問題を解決しようと考えたり、試したり、

人に尋ねたり、行動したりすることは、

それまでの自分よりも、

成長、成熟しようとしている時となる訳だ。

 

「叔父さん」は、

そんなコペル君に

本当のこと、

つまり、

時に厳しい言葉を伝え続ける。

 

 

「肝心なことは、

 世間の目よりも何よりも、

 君自身がまず、

 人間の立派さがどこにあるのか、

 それを本当に君の魂で知ることだ」

 

「こうして悲しいことや、つらいことや、

 苦しいことと出会うおかげで、

 僕たちは、本来人間がどういうものであるか、

 ということを知るんだ」

 

「僕たちが、

 悔恨の思いに打たれるというのは、

 自分はそうでなく行動することも

 できたのにー、と考えるからだ。

 それだけの能力が自分にあったのにー、

 と考えるからだ」

 

「自分の過ちを認めるのはつらい。

 しかし過ちをつらく感じるという

 ことの中に、人間の立派さも

 あるんだ」

 

「僕たちは、

 自分で自分を決定する力を

 もっている。

 だから誤りを犯すこともある。

 しかしー

 僕たちは、自分で自分を

 決定する力も持っている。

 だから、誤りから立ち直ることも

 できるのだ」

 

どう生きるかという命題に対し、

直球な

「君たちはどう生きるか」

に対して

「SHOE DOG」

は全く違う形態をとる。

NIKEの創業者が自ら記した

回想記。

 

そして、そこには

共通のテーマがあった。

それは、

「葛藤や失敗こそ生きてるってこと」

「次の瞬間にどう行動するかは

 自分で選択できること」

「選択の結果の責任を負う

 権利があること」

「そういうことを繋げていくことは、

 どう生きるかという問いに

 答え続けていくということ」

 

 

「SHOE DOG」で、

本当にびっくりしたのは、

「あの」NIKEが、

創業から株式公開するまでの17年間、

どうしようもなく

失敗の連続だったということだ。

最初の方に、

「オニツカ」との契約のために日本に来た彼は、

自分のこれまでの考え方ではダメだ

と気づく場面がある。

「禅では一直線の考え方は幻想に過ぎず、

 (中略)

 現実は一直線ではないと禅は教える」

という文章があるが、

まさにそれを体現していて、

山あり谷あり、

曲がり角ばかりの中を抜け道探して

自転車操業がず〜っと続く。

かっこいい起業のスピリットや、

戦略や戦術などなく、

成り行き任せに思える決断もある。

「もうダメだ」「今度こそダメだ」

という瞬間の連続。

でも、548ページのこの物語が

終盤に差し掛かると、

私は、著者つまりNIKE創業者ナイトの虜となり、

もっともっと彼の人生を知りたくなった。
そして、最後の数ページ、

惜しみながらめくって、

何があっても、

めちゃカッコ悪くても

諦めないで、

何とか凌ぎ続けて

ここまでにした彼の日々が、

愛おしくてたまらくなり、

ラン周りのものは、

これからは全部NIKEにしようと決めた。

 

ラインを引いた文章

「会社がダメになるかもしれないと、

 失敗を恐れることはない。

 失敗しないとうぬぼれているわけではない。

 むしろ失敗するのではないかと思っている。

 だが失敗したら失敗したで、

 さっさとそこから学んで、

 それをプラスに変えればいいというのが

 私たちの思いだ」

 

「ルールを守ったことではなく

 ルールを破ったことが

 人々の記憶に残る」

 

「寝てはいけない夜がある。

 自分の最も望むものがその時

 やってくる」

 (眠れない夜もあって良し)

 

「野心に免じて目をつぶりましょう」

「みんな数字ばかりに

 気を取られ過ぎです」

(NIKEにとってなくてはならない存在

 日商岩井の担当者の言葉)

 

「自分の知識を補強する最善の方法は

 それを分け合うことだと、

 経験から学んだのだ」

 

「私たちはリコールを出し、

 世間からの批判に備えたが、

 クレームは出なかった。

 それどころか、聞こえてくるのは

 ねぎらいの声ばかりだ。

 他の会社はどこも

 新しいことを試そうとしない。

 ナイキの努力が成功しようと

 しまいと、その意気込みは立派だと

 見なしてくれたのだ。すべての革新が

 進歩的で前向きだと評価された。

 失敗しても私たちはくじけなかったし

 顧客の信頼も失われることは

 なかったようだ」

 

「私たちにとってビジネスとは、

 金を稼ぐことではない。

 人体には血液が必要だが、

 血液を作ることが

 人間の使命ではないのと同じだ。

 (中略)

 人体の営みは、より高い次元の

 目標達成に向けた基本的なプロセスだが、

 それ自体は私たち人間が

 果たすべき使命ではない。

 その基本プロセスを超えようと

 常に奮闘するのが人生だ。

 (中略)

 私たちは全ての偉大なビジネスと同様に、

 創造し、貢献したいと考え、

 あえてそれを声高に宣言した。

 何かを作り改善し、何か伝え、

 新しいものやサービスを、

 人々の生活に届けたい。

 人々により良い幸福、健康、

 安全、改善をもたらしたい。

 (中略)

 単に生きるだけではなく、

 他人がより充実した人生を送る

 手助けをするのだ」

 

ナイト氏は、↑のように

この物語を締めくくる。

混乱続きの人生の中で

彼やNIKEが見出した意味。

 

 

 

「君たちはどう生きるか」の中で、

「叔父さん」はコペル君に

「君は、

 毎日の生活に必要な品物

 ということから考えると、

 たしかに消費ばかりしていて、

 なに一つ生産していない。

 しかし、自分では気がつかないうちに、

 ほかの点で、ある大きなものを、

 日々生み出しているのだ。

 それは、一体、なんだろう」

と問う。

そして叔父さんは答えを言わず、

「自分で一つその答えを

 見つけてみたまえ。

 別に急ぐ必要はない。

 この質問を忘れずにいて、

 いつか、その答えを見つければいいんだ。

 決して、ひとに聞いてはいけないよ」

と続ける。

 

この問いへのナイト氏の答えは、

「靴に全てをかけることで、

 他人がより充実した人生を送る

 手助け」

なんだったんだと思う。

 

 

私はまず「君たちは〜〜〜」を読み、

そのあとで「SHOE DOG」を読んだ。

でも、

「SHOE DOG」を読みながらも

「叔父さん」の言葉を確かめたくなって

「君たちは〜〜〜」を開いたり、

コペル君とナイト氏が重なって思えたりした。

2冊を行ったり来たりするような

幸せな読書の時間を持てた。

 

 

「叔父さん」の問いかけに

57歳の私が答えるとしたら、

私が日々生み出しているものは、

「あなたはあなたのままでいい。

 そのあなたが今できることを

 やっていこう〜

 と思ってもらえるような働きかけに

 ついて、

 考え、悩み、トライしながら、

 苦闘していること」だ。

時々上手くできることもある。

でも、全く役に立てないこともある。

 

それでもまた

次の瞬間の行動は選べる。

 

 

私の毎日をどうするかを

決定できるのは、私だけだもんね。

 

 

 

この2冊には、

ところどころで、

ぐさりとつかれた。

しかしその痛さも

清々しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ネガティブ・ケイパビリティ」

【2017.11.04 Saturday 15:40

「ネガティブ・ケイパビリティ」とは

「どうにも答えの出ない、

 どうにも対処しようのない事態に耐える能力」

ということ。

 

この概念がどこに由来し、

どう再発見され、

社会の中でどう実践されてきたかの事例や、

現代社会の中で

いかに実践していったら良いのかなど、

丁寧に描かれている本。

 

 

原発の廃炉問題しかり、

少子高齢化の年金問題しかり、

東京と地方の格差問題しかり、

貧困の問題しかり、

ジェンダーギャップ114位問題しかり、

 

北朝鮮への対応方法しかり、

ロヒンギャの問題しかり、

台頭してる「〜ファースト」問題しかり、

 

簡単には解決できない問題が

私たちの周りには、あまりにも多い。

 

その中で

この概念は心強い。

 

 

 

 

なんとか耐え続けていくのも、

力なんだ!

と示してくれるのは、

ありがたい考え方だと思う。

 

実際、

私の活動場所、

学校の中でも、

簡単には答が出せないことは多い。

 

学校に登校することが厳しい子、

いじめの問題、

勉強の苦手さや

集団の中で行動することが難しい子、

親子の間の、教師との葛藤など、

 

表に現れてる出来事は似ていても、

一人一人全く違う背景がある子どもたちに、

「こうすれば絶対にうまくいく」

などという絶対正解などなく、

 

だからこそ、

悩み、考え、話し合い・・・

どうにもならない事態に、

立ちすくみながらも、

ただただ困難の中にいることも多い。

 

見立て、

対応方法を示すのが

私の仕事なんだけど、

簡単にわかったようなことは

言えないことが多いのだ。

 

そして、

その子の問題がすっきりと解決しなくても、

その問題が、

後から考えると、

その子や、その家族にとって

意味あることだったと思えることも多く、

だから、

困難の中で、

その子や家族や先生や支援さんたちと一緒に

ただただそこにいることも、

ネガティブ・ケイパビリティなんだと思いたい。

 

 

 

 

世間一般で、

お手軽な解決方法が好まれるのは

仕方ないことだ。

デジタルな機器が身近になってからは、

加速度的にそうなっている。

私もそうだ。

 

CMの間が待てないで

何か刺激的な情報が入ってこないか

チャンネルを変えるし、

履くだけで痩せる下着や、

塗るだでけでシミが消える化粧品に

興味津々だ。

 

言葉を思い出せないと

すぐに幾つかのワードを入れて検索する。

仮説を立てるのに、

ネット上にあるデータを探す。

 

「早く!早く!」と

誰かに言われているわけでもないのに、

気持ちが急いて、

すぐにすっきりしたくなる。

 

・・・ってこれ、

脳の仕業なんだとこの本で知った。

「私たちの脳は、

 ともかく何でも分かろうとします。

 分からないものが目の前にあると、

 不安で仕方ないのです」

 

つまり人が分かりたがる、解決したがるのは、

本能の働きということだ。

 

でも、

本能ばかりに委ねたくない。

 

「それにしても、

 と改めて考えざるを得なかった。

 謎や問いには、

 簡単に答えが与えられぬほうが

 よいのではないかと。

 不明のまま抱いていた謎は、

 それを抱く人の体温によって

 成長、成熟し、

 更に豊かな謎へと育っていくのでは

 あるまいか。

 そして場合によっては、

 一段と深みを増した謎は、

 そこの浅い答えよりも

 遥かに貴重なものを

 内に宿しているような

 気がしてならない」

 (黒井千次氏)

 

 

 

 

先日、再放送していた

「英雄たちの選択」の「直虎編」で、

MCの磯田氏は以下のように

番組を締めた。

 

「ぼく、やっぱりね、

 直虎は、

 理不尽な時の過ごし方の

 名手だと思うんですよ」

 

「人生も、組織体も、

   いつも自分が勝てる要素を

 持っている時ばかりではなくて

 むしろ弱かったり、ダメなときって、

 多いですよね。

 その時、どう過ごすかっていうことが、

 本当、一番重要だと思うんです」

 

「直虎は、

 こんな今川の状態は続くはずがないと、

 考えた。

 夜明けの前が一番暗い。

 もうちょっとしたら、

    確実に夜明けが来るってことを

 ひたすら信じて処していった、

 凌いでいった。

 戦う力という

 武士にとって一番重要なものを、

   男を殺されつくして失っていたところで、

 どのように凌ぐか。

 先を、大局を読んで、

 これから何を身に着けていったらいいのか、

   考えた」

 

「そしてやがて

 家柄、戦闘力、外交情報力、

 三拍子揃った井伊家になって

 日本最大の譜代大名、

 35万石、

 井伊家になっていくわけです。

 だから、今、つらいと思っている皆さん、

 大河ドラマを見ながら、

 つらい時の凌ぎ方、学びましょう」

 

今大河ドラマでは、

直虎のいい感じのネガティブ・ケイパビリティと

万千代の積極的な挑戦が、

ちょうど対比されているところだ。

 

 

 

そして、この本の締めくくりは

「寛容」と「共感」だった。

 

「どうにも解決できない問題を、

 宙ぶらりんのまま、

 なんとか耐え続けていく力が、

 寛容の火を絶やさずに

 守っているのです」

 

「共感が成熟していく過程に、

 常に寄り添っている伴奏者こそが

 ネガティブ・ケイパビリティなのです。

 ネガティブ・ケイパビリティがない

 ところに、

 共感は育たないと言い換えても

 いいでしょう」

 

 

すごく理解できる。

 

誰も悪者にせず、

どこにも責任を求めず、

何に対しても事を押し付けない、

今の状況を引き受けて、

その中で、

できうることをしながら、

待つ。

 

それができるのは、

自分のことを理解し、

相手や周りのことも理解でき、

受け入れる心を持っているからこそだし、

そうやって耐えている間こそ、

多様な人の思いを理解できる力を

醸成する。

 

私に

ちょっとはその力があるとすると、

苦しかった事のおかげだ。

 

 

 

 

 

・・・とはいえ、

各地で理不尽な災害にあった方々が、

そのネガティブ・ケイパビリティで

今をなんとか凌いでくれている間に、

希望を見出してくれるような

政策が必要だ。

 

横田めぐみさんはじめ拉致被害に

あった方々や、

その家族の方々の

ネガティブ・ケイパビリティが

発揮されているうちに、

なんとか解決を!と

願わずにいられない。

 

 

 

 

 

 

 

author : tanizawa-k
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谷澤 久美子
counselor