相手を理解しようとすること。 【2015.12.30 Wednesday 20:50】 |
理学博士でJTM生命誌研究館館長の中村桂子氏が 「生物の中で 相手の立場に立てるのは 人間だけですから」 とテレビで言っていた。 「ですから それを使わない社会を作っては だめです」 と。 ほんと、その通りだよなあ と思う。 難しいけど。 日常の中には 「相手の立場に立つ」訓練をする機会がいっぱいあって、 それは、 スーパーのレジで順番を守らずに 会計をすまそうとする方や、 仕事の中でまったく考え方の違う方や、 ISやヘイトスピーチや原発再稼働 なんてかたちで 目の前にやってくる。 目の前にやってくる機会すべてで 「相手を理解しよう」とする必要もないけれど、 問題を解決していかねばならない時や、 いい関係でいたいなんて時は、 相手の立場に立たない限りは、 進まない。 ではどうしたら相手の立場に立てるか? 3つポイントがあるのではないか。 1つ目は <想像力を働かせる>ってことだ。 「なぜ、メールの返事が来ないんだろう」 ってイラっときたら、 相手の背景を想像するなんてことは、 みんなやっているだろう。 今ごろ、大掃除の真っ最中で、とてもじゃないけど、 それどころじゃないかも。 私が期限を書かなかったから、特に急いでいる訳じゃない と思ってるかも。 忘れちゃったかも。 どう書いていいか迷っているかもしれないなあ。 どれが正しいかなんてわからない。 でも、こんな風に想像してみることは、 多くの人が愛用している方法なんだろうな。 2つ目方法としては <相手の話を聴く>ってことだ。 (以下、ご本人に公開のご了解を得ています) アサーティブを継続して学んでくださっている方が ある仕事をやめる決断をした。 ある日それを管理職に伝えると、 「もうこの場には戻れなくなるよ」的なことを言われ、 それに対して何か言おうとしていた時に、 その方に電話がきて話が終わってしまったんだそうだ。 それで退職についてきちんと話がしたいと考えた彼女は、 後日、アポをとった。 最初に、 忙しいところを時間を作ってくれた感謝を述べ、 さらに、 ここで働けたことで支えてもらったことを伝え、 それでもいろいろな事情からやめざるをえない件を話した。 そして、 あとは、 管理職の話を聴いたそうだ。 話を聴いていると管理職は、 なんと、 現状の悩みなどを話し始め、 そして、 「あなたがいなくなってしまうと、 あなたがいてくれる時の明るい雰囲気が 会社の中から消えてしまうのが残念」 などと、彼女のこれまでの仕事そのものに加え、 会社の雰囲気に貢献したことまで言葉で 伝えてくれたんだそうだ。 そして最後に、 「3月末まででなくても、4月末まででもいい。 気が変わったら言ってほしい」とまで 言ってもらえ、 結局は 年度いっぱいでやめるということで 話し合いは終わったそうだ。 お互い笑顔だったとのこと。 アサーティブであるってことは、 相手を大切にしながら 自分の考えや気持ちを表現すること。 相手を大切にするってことは、 相手の立場を考えた言動をすることで、 その中で、 「聴く」ことの力は大きいと思う。 3つ目・・・、 <相手の立場に立ちきれないことを知っておく> ってこと。 どんなに想像しても、どれだけ聴いても、 100%分かりきることは不可能だ。 そのことを、意識しておくことで、 傲慢にも卑屈にもならないですむと思う。 たとえば、 以前に一度何かを依頼した時、 「それ、面倒ですね」と言ってきた部下。 またその部下に仕事の指示を出さねばならない。 その時に、 相手のことを想像し、 「どうせ、面倒くさがりだし」 と相手を決めてつけてしまうのは、 傲慢だ。 その想像は正しいのかどうかわからないし、 もし正しかったとしても、 それが部下の全てではない。 また、 上司に、業務時間について相談したい時に、 相手のことを想像して、 「どうせ、私のことなんか、 二の次、三の次なのかも」 「だから、話なんてきいてもらえないかも」 「どっちみち、ここでは役にたっていな かったかも」 「私はどうでもいい存在」 と決めつけて卑屈になってしまう・・・ なんて時に、 「100%分かりきらない」 という考えがあると、 「待てよ!」 という手が打てる。 決めつけて思い込むのはよそう。 自分の想像は正しくないかもしれないし、 たとえ正しいところがあったとしても、 全部は分かりきらないし。 そう意識できれば、 相談したい意思をはっきりと伝える選択肢を 選べるかもしれない。 「時間外の仕事の 実積簿への記入の仕方について、 相談したいので、20分ほど時間をください」 その上で相手方の、 それについての考えを聴けば、 問題解決は早くなりそうだ。 私は 義理の父のことで誤解していたことがあった。 義父は毎朝パンを食べている。 最近、夕食前にもパンを食べてしまって、 私たちと一緒に食べる夕食の時に、 あまり食べられないことが多い。 それで、 義父の立場にもたちながら、 「お義父さんに食欲があるのはすごく嬉しい。 お義父さんがパンが好きなのはよく分かる。 でも、夕食の前にはなるべく食べないでほしい。 お腹いっぱいになってしまうし、 夕飯の量が少ないと夜にお腹がすいてしまわないか 心配になるんだよ」 と話した。 義父は 「それもそうだな。気をつけるよ」 と言ってくれた。 しかし、ある日分かったんだ。 義父は、昼寝から起きると、 朝だと思ってしまうようだ。 それで、朝だからパン!となるようなんだ。 見えてなかった。 分かったような気になっていただけだった。 相手の立場に立ちたいと思う。 そして、想像したり、話を聴いたりする。 でも、立ちきれないってことを知っておく。 実は、今年、それをカルが 教えてくれた。 以下は私も家人も留守の時のカル。 今年の夏、あまりにも暑かったので、 室温が気になって、 カメラを設置したんだが、 それに写ってるカル。 入り口の方をみて、 じっとしている。 カメラ設置前ももちろん、 留守中に一人でいるカルのことを せつなくは思っていた。 しかし、このカメラで、 こんな表情や↓ こんなになってるところ↓ を見ると、 「あ〜カルは、 こうやって一日私たちを待って ひたすら耐えているんだな」 と思った。 留守の間のカルのことが分かってから、 帰宅後の遊び方は、 今までと変わったと思う。 カルの話を聴くことはできないから、 想像しかしていなかったが、 ここまでとは思ってなかった。 で、 人間関係に、こんなカメラはない。 相手の背景を 教えてくれるものはない。 あの先輩はいつも自分の仕事を優先し、 質問しても迷惑そう。 でも、その先輩には 自分の仕事をとにかく先に終わらせねばならない、 なにか背景があるかもしれない。 突然上司からふられた後輩の指導という仕事。 「明日からお願い」という、 その言い方に腹がたったとしても、 相手には、 その言動に至る過程や、 もしかするとこれまでの人生も 何かかかわっているかもしれないのだ。 相手が、 それがどんなに苦手な人でもあったとしても、 その人がどんな葛藤を抱え、 今、何をどう考えているのか、 相手のことで知っていることなど、 ほんのささやか。 そのことを意識していたい。 だからこそ、 想像する。 話を聴く。 でも、分かりきらない。 このすっきりしない感じを 抱えながら、 それでもなお 努力していきたいものだ。 だって、 生物の中で唯一、人間だけが使えることなんだもん。 「相手の立場にたつ」ってことは。 人間だけがもっているその能力を 使い合う社会を作っていきたい。 それには、まず自分から!だよなあ。 っていうそばから、 本日、スーパーの駐車場で、 順番を守らない運転手の人に いらっときた私。 あの方には、 きっと、めちゃくちゃ忙しい、 どうにもこうにもあせるような そんなことがあったのかもなあ。 わかんないけど。 |
author : tanizawa-k
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