「せんせいのつくり方」その2 【2014.09.27 Saturday 18:02】 |
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めちゃ尊敬する、教育関係のお二人に話した。 その時に「会社活動」という、 自分の好きなこと、得意なことで学級に貢献する 活動のことについて話すと、 その方が、 「そういう積極的な活動に乗れない子 たちの居場所はあるの?」 のようなことを質問してくれた。 その時に、まるで自分のことみたいに、 「もちろんですよ!」と答えたが、 その問いへの岩瀬さん自身の答が、 この「せんせいのつくり方」に 丁寧に書かれている。 クラスが目標をもって、それに向かって 力を出し合え、協力できるのは すっごくいいことだけど、 そうやってまとまっていくからこそ生まれる、 排他性。他のクラスから孤立していく感じ。 さらに、そうやってクラスが まとまればまとまるほど、 生まれやすくなる同調圧力。 また、多様な子どもたちの中には、 同調圧力のようなものの下で、 物が言えなくなっていく子も 出てくるかもしれないという恐れ。 岩瀬さんは、その危険性を考えながら、 どんなクラスを作りたいのか、 自分に問い直している。 しかもすごいのは、 子どもたち大満足で大成功のイベントのあと、 自分の中に生まれた違和感をそのままにしないで、 問いにしたところだ。 この本の中の圧巻が私には三カ所あるが、 この部分と、 小さな生き物をぞんざいに扱ってしまった 子どもたちに叱った後で、 そのことを振り返る場面と、 自主性を重んじたばかりに ある子の要求を見逃していたことに 気付いた場面。 これも岩瀬さんの中に生まれた 「なんか違う」感じを、 「ま、いいか」で終わらせなかった問いだ。 これらは感想の2つ目に関係してる。 自分の中の「こうあるべき」や 以前決めた「こうしよう」に依存しないで、 いつも「今」の「目の前」の子どもたちを見ながら、 問いを立てて、考え直しているすごさ。 私は、今日の午後、 小学校の保護者の方への講演があった。 「今」「目の前にいる方々」と一緒にいようと 決めて前に立った。 今までの講演会で評判よかったから・・・じゃなくって、 今日集まってくださった、目の前の方々を対象に、 話すって決めていた。 なので、数日前に作ったパワポとは違うことになってしまい、 話しながら、パワポを進めたり、 戻したりした。 心の中で 「今をちゃんと見てる?」って確認できた感じが すごくした。 1時間半の間、 「今」「ここ」「目の前の保護者の方!」 という言葉が、 時々私を導いた。 めちゃいい影響を、 この本からもらったんだ。 そして感想の三つ目。 対人関係の仕事をしている人にとって、 基本的な「自己理解」を進めておくことは すっごく大切で、 しかも、刻々と変わっていく自分を、 その都度理解しようと務めていくことが、 必要だってことが、再認識できた。 この本にはワークがついている。 全部で9つのワーク。 それを考えることで 今の自分を構成しているいろいろな部分を 見直すことができるようになっている。 やってみた。 クラスのことについてのワークでは、 ある中学校の職員室や、相談部会のことを イメージしてやってみた。 講師としてワークショップのクラスのことを 考えてやってみたワークもある。 やはり私は、伝えたい思いが強くって、 時々ファシリテーターではなく、 「導く人」や「背中を押す人」に なってしまうことがあるようだ。 でもその中から、 今まで思いもしなかった「こうありたい」が 自分の中にあることが分かって、 ワクワクした。 また、ワーク以外にもワークしてしまった。 著者二人が失敗を語っている時には、 自分の、ほぼ忘れかけていた失敗を 思い出し、余白に書き込んだ。 特に「怒りの感情」の取り扱いをテーマと しているところでは、 12年くらい前の出来事が蘇った。 ある中学校で「親と子のコミュニケーション」 についての3回連続講座の講師をつとめた時、 参加されていた学校評議員の方に、 「あなたは学校で活動してる大人なのに、 なぜ茶髪でいられるんですか?」 と質問され、 思わずムッときて、 心の中で「あなたに言われる筋合いはない!」 と思いながら、 「ですよねえ。 ただ、子どもたちには、 茶髪にしたかったら、早く大人になんな って感じなんですよ」 と、訳の分からない返答をした、 その場面がパッと頭に浮かんだんだ。 今はもう、そういうことはないけれど、 私の中に、痛いことをつかれたとき、 ごまかしてしまおう的な時があったことを確認した。 そういう構成要素も自分の中にあったこと、 思い出せて、めちゃよかった。 こんなふうに思い出せたのは、 著者二人の事例が、 めちゃくちゃいきいきと、 まるで目の前で起こっている出来事の ように思えたからだ。 この本を教育関係者だけでなく、 対人の仕事やチームの中で仕事 している人みんなにいいのではないかと、 「その1」で書いたのは、 ここまで考えて、 ここまで突詰めて、 仕事している人がいるってことが、 インスピレーションに なると思ったからだ。 ここまで 目の前の人と、 その人のこれからを 大切に考える人がいるって、 希望だ。 こんなふうに大切にしてもらった子どもたちは、 他者から大切にされるってどういうことか分かるから、 他者を大切にする仕方がわかっていくと思う。 同時に、これほど大切にされた自分のことを 大切に思えないはずがない。 自分自身でだって、 自分のことを大切にできるのではないだろうか。 私は、そんなふうに思った。 これまで、岩瀬さんを通じて、 ステキな方々にお会いできた。 ちょんせいこさんには、 ホワイトボードミーティングを教えていただき、 岩瀬さんの呼びかけで集まった、 「類友」の、ステキな方々ばかりのグループで、 アサーティブトレーニングをやらせていただいた。 さて、今度はPAだ。 プロジェクトアドベンチャーの講座を受けてみようと 思う。 そして,共著の寺中さんにお会いできたら最高だな。 この本は、「今のところ」のお二人の考えと、 そこに至るまでの葛藤や過程を丁寧に 表してくれているものだ。 これまでと同じように問いを立てて 「今」に誠実に仕事をしていった先には、 どんなクラスや、どんな子どもの成長があり、 どんな先生像があるんだろうなあ。 楽しみだなあ。 私も、 問いをたてて、 考え続けていくことをやめたくないなあ。 |
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author : tanizawa-k
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