2014年05月の記事 | 今のところではありますが…
簡単に判断しないで。

【2014.05.29 Thursday 16:51
バーナード ウェーバー
ユーリーグ
---
(2003-06)


一瞬の場面を見て分析したりするのは、
やめようって思う。
(心配になってしまうのは、仕方ないけど、
 だからって、いろいろ決めつけるのは
 やめようってこと)


新聞の読者からの投書欄をみていると、
たとえば、
「ファミレスで隣に座った
 小さな子どもを連れているママ2人が、
 自分たちがランチをし、おしゃべりする間、
 子どもにスマホを持たせていた。
 この子たちの今後は一体どうなるのか」
的なものなど、結構ある。

気持ちは分かる。
子どもの心を育てるには、
子どもとも、
「おいしいね」
なんておしゃべりしながら
楽しくランチしたらいいのに!という
その方の善意だと思う。

その子たちが、大きくなってから
スマホに依存するようになるかもとか、
目の前にいる人と
顔を見合わせたコミュニケーションの大切さを
感じられなくなるかもとか、
多分、いろいろ考えて投書されると思う。


私もちょっと前までは、
よくやっていたと思う。

大学生の男女のグループが
焼き肉屋さんで
男子と女子に別れてご飯を食べていた時には、
めちゃくちゃやきもきして、
その時心配になったことを、
ここにも書いた。

だけど、最近、思うんだ。

たとえば、前述のママ友。
それが毎日、何時間も・・・
だとしたら、それはとっても気になることだけど、
もしかすると、
久しぶりにゆっくりランチができる時に、
ちょっとだけスマホに子どものお守りを
してもらってるって場面だったかもしれない。
それって、
そこまでいけないことじゃないんじゃないか。

たまりにたまった子育ての悩みや、
うまくいくことばかりではない
親戚や家族など人間関係の愚痴や、
自分のことだけに時間を使うことができた
昔を懐かしく思う気持ちや、
そういうこと、
もうそれこそ怒濤のおしゃべりをしたい時だって、
人間だから、ある。
あるし、していいと思う。

そこですっきり吐き出して、
さ、夕食の準備!と自分にカツ入れて、
気持ちよくおしゃべりした分、
ちょっとだけ子どもにも優しくなれたりしたら、
すごくいいと思う。


少し前、仕事のことである方に電話をした。
携帯電話に出てくださったその方に、
「今、お話できますか?」と伺うと、
「はい。電車の中ですが、
 さきほどから何回もすれ違っているので、
 私は、はいかいいえしか言えませんが、
 どうぞ用件をおしゃってください」
と言ってくださる。
その時点でお話できないと、
私はまた2時間は電話ができなくなると思い、
「それでは申し訳ないですが・・・」
と用件を伝えた。

電話をきった後、
その車両に乗り合わせた方はその方のことを
「非常識な人」
のように思ったかもしれないな・・・と思った。
実は私の事情を考慮してくれた優しい方なのに。


私たち人間は、
不完全な存在だと思う。
弱さも、ずるさも、
いろいろもっているのが人間ではないか。
でも、弱さ、ずるさだけでは、
こうして生きてはいられない。
不完全ではあるけど、
100%ダメってこともないのが
人間だと思う。

私も、
その時、その場のことを見て
私の全体を分析されるのはきついし、
私も、誰かのその時、その場を見て、
その人のことを
全て分かったようなことを言うのは
控えたいな。

そういう時もあるのが人間だよね
くらいに受け止められるといいな。


とは言っても、
言いたくなってしまうこともあるかもな。
つまり、自分が、
そういうこと
言いたくなってしまう時もある
人間なんだってこと、
せめて分かっていたいよなあ。



・・・・・・・・・・・・・・・・
「勇気」という絵本の中には、
「すごいのから 
 まいにち であう ゆうき まで」
いろいろな「勇気」が出ている。

「チョコレートバーの ひとつは
 あしたに とっておくのも ゆうき」

「わかれなければならないときに
 さよならいえるのも ゆうき」

いろいろな「勇気」がある。

私が持ちたい「今日の勇気」は、
つまり、
「知ったかぶって、一面だけをみて
 判断しない 勇気。
 たとえそれが善意からでも」
なんだと思う。









 
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意志を伝えること=尊厳を守ること

【2014.05.25 Sunday 22:06

昨日、講座を終え家に帰ると、
「夢の扉」というテレビ番組を夫が見ていた。

内容は
「脳波を読み取る意思伝達システム」を作る
産業技術総合研究所 理学博士/長谷川良平さんの活動を
取り上げるものだ。

病気や障害などで言葉を発することができない方や、
思うように体を動かすことができない方々が、
念じるだけで自分の意思や気持ちを伝えることができる、
そんな画期的な方法を、
難病を患う患者さんの協力のもと、
取り組んでらした。

協力者の方はからだを動かすことができないので、
今は、
自分の要望を、
ボードに書かれた「あいうえお」順の文字に
目を合わせ伝え、
それを介護する方が読み取って
受け取っている。

長谷川さんが作ったシステムでの実験では、
彼が
「トイレにいきたい」と念じると、
モニターに「トイレ」と写る。
すごい!本当にすごい!
あ〜こういう時代がきているんだなと
希望を感じた。

その患者さんが長谷川氏に感謝と期待の
メッセージを寄せていた。
その中に
「意志を伝えることが
 人間としての尊厳を
 守ることでもある」
という言葉があり、
私は胸が熱くなった。

本当にそうだと思う。

私の考える人間の尊厳とは、
自分自身の能力の中で
考え、選択し、行動した結果を負うことを
実践すること。

その中で「選択」、
つまり、
「選択できる」状態や
「選択肢を持っている」ことは、
その人の尊厳が守られているってこと
だと思う。

考えて、選択した(こうしようと決めた)意志を、
伝える。
それは人としての尊厳を守ると思う。



私は土曜と日曜、
「気持ちや考えは言葉にしないと相手に伝わらない、
 言いたいことを言うのではなく、
 伝わるように伝える考え方と方法を学ぼう!」
とアサーティブトレーニング基礎編を
講師としてファシリテートしてきた。

参加者の方々が
自分の尊厳を守るために、
相手の尊厳も守りながら、
2日かけて学び練習したことを
日常に生かしていってくれるといいと、
心から思う。




そして、今日月曜日、
義父とゆっくり話す時間があった。

義父は、最近、免許証を返した。
87歳になる父は、
今月始め、対物の事故をし、
以前から心配でたまらなかった家族は、
免許を返すことを説得したのだ。
免許を子どもたちに「取り上げられ」、
車を「取り上げられた」義父は、
ある日、買物に行ったきり
なかなか帰宅しないことがあった。
真っ暗になってから精魂尽き果てた様子で
帰宅した父は、
玄関で
「車を返してくれ!」と息子である私の夫に言った。
彼は「無理だ。危ない」と言う。
義父は「ずっと運転してきた者が
 車を取り上げられるのが、どんなことか
 おまえに分かるか!」と言う。
私は「お義父さん、大変だったですね。
 疲れたでしょ。車ないと不便ですよね。
 とにかく荷物を下ろしましょう」と
リュックサックをおろし、
お茶を入れながら、義父の不満を聴いた。
それから2週間。
今日、洗濯物をたたんでいると
義父が
「くみこ、自転車はどう思う?」
と訊いてくれた。
「オレは、なんとか自分に
 もう運転はしないほうがいいと
 言い聞かせてる。
 がんばって言い聞かせてるけど、
 それでも不便でしょうがない。
 自転車ならどうだろか?」
そこから、交通手段の話をゆっくりとした。
我が家は坂の途中にあるので、
自転車は反って帰りが大変になるかもと
二人で話し合った。
その後、行きたいところがどこかきくと、
スーパーと薬局とコンビニとのこと。
私が今までのように
買物に行くときに声をかけるけど、
ホワイトボードに一言書いてくれれば、
絶対に誘うということ提案すると、
それはありがたいと言ってくれた。

「どこに行きたいか」の話をしているとき、
義父の尊厳のことを考えていた。
彼はおしゃれな人だ。
車を運転していた時は、しょちゅう松坂屋さんの
紳士服売り場で好きな洋服を買って着ていた。
だから古い下着なんて彼のたんすにはないし、
シャツやパンツや、パジャマも、
とってもいい物を着ている。
義父は誰かが買ってきた物ではなく、
洋服を自分で選びたいのではないか?
それを、お店の方とあ〜でもないこ〜でも
ないと話しながら買物することは、
したいことではないか?
と考えた。

で、
「お義父さん、
 ほんとは、松坂屋も行きたんじゃないですか?
 私はそう思う」
と質問すると
「おまえ、わかるか。
 でも、それは今のオレには贅沢だと思う」
と言う。
私はなんだか泣けてきて
「そんなこと、ないです。
 お義父さんは、いつも清潔で、ぱりっとしてて、
 私はお義父さんにそうしててほしい。
 お義父さんが、そうしたいならだけど、
 私はそうしてほしいです。
 声かけますから、松坂屋、
 行きましょう。
 でも一人でゆっくり買物したいだろうから、
 帰りはタクシーでお願いします」
と言うと、
「ありがとな。そうするよ」
と言ってくれた。

「そうやってやってみて、
なんか不便がでたら、また話しましょう」
と言って、私は自分の部屋に引き上げた。

これは当然だけど、
洋服の話ではない。
義父の楽しむ時間を選択する自由を守る
ことだ。
尊厳にかかわることだと思った。


私は私の尊厳を守りたい。
アサーティブの講座に出てくださったも、
長谷川さんの実験に協力してる彼も、
夫も、夫の姉夫婦も、
私の友人たちも、
仕事で出会った方々も、
仲間たちも、
自分の尊厳を守ってほしいと思う。

義父もそうだ。

一人一人が自分の尊厳を
自分で守れる世の中!!!
あ〜そうなるといい。


そのためにも、
言葉を発することが不可能な方々のために、
長谷川さんの研究は大切だし、
言葉を発することができるならば、
「意志を伝える」ための道具、
コミュニケ−ションの考え方と方法は、
ものすごく大切だと思う。

その道具を
伝えていきたいし、
磨くことを手伝いたいと思う。

またまたその想いを強くする、
3日間となった。

 
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5回目のアサーティブトレーニング基礎編。

【2014.05.23 Friday 22:01
アサーティブとは自分も相手も大切にする
コミュニケーションのあり方をいいます。
トレーニングの基礎編では、
アサーティブなコミュニケーションの
考え方とスキルを理解し、
練習をします。

一般的にコミュニケーションは、
身近な人、
育ってきた環境から、
体験的に学んで身に付けてきた方法を使う傾向があります。

そのひとつは、
自分の言い分を絶対に通そうとして、
相手の意見や気持ちに耳を貸さない攻撃的な傾向。
ほかには、意見や感情を自分の中に押し込めて
相手には伝えない受け身的な傾向もあります。
また自分の意見や感情を言葉で率直に表すのではなく、
雰囲気や態度で気付かせてあげようとする
作為的な傾向もあります。

アサーティブトレーニングでは、
その方法を否定する訳ではありません。
ただ、それら三つの方法を使っている限り、
どっちが正しくてどっちが間違っているのかとか、
自分と相手どちらが善でどちらが悪かという、
人に焦点を当てたパタ−ンに陥ります。
そうではなくて、
そこにある問題を解決するために、
お互いの意見や感情を伝え合い、聴き合う
アサーティブなコミュニケーションを
4つ目の選択肢として持っていただくための
トレーニングをするんです。

基礎編は6時間X2日を基本に行います。

この間に、
考え方、方法を知っていくことは、
翌日からの日常にちょっとした変化を
もたらすと思います。

2日を終えたら、いきなり、
いつでもどこでも誰にでも、
イヤなことはイヤ、頼み事はずばりと
言えるようになればいいのですが、
正直、それは難しいかもしれません。

ただ、手に入るものがあるんです。

それは、「拠り所」のようなもの。

「拠り所」を別の言葉でいうと、
「努力の方向性」って感じかな?
日常の中で失敗したとしても、
何をどうしたらアサーティブかが
わかるようになる。

最初はテキストを開きながらかもしれません。
また、自分の今日のコミュニケーションは、
攻撃的だったな・・・という自己確認のみで
終わるかもしれません。
それでも、そのことの積み重ねが力になります。

「拠り所」「努力の方向性」に従って、
振り返る力、
つまり、
「フィードバックする力」、
これこそが、大きな財産になります。

今までは、
言い過ぎてしまって後悔したり、
言えなくて情けなかったり、
回りくどくて自分がいやになったり、
なんでわからないのか相手のせいにしたり、
そんなことがあったとしても、
どこをどうすればよかったのか、
わからなかった・・・
それもそのはず、
自他尊重のコミュニケーションのあり方を、
学ぶチャンスってなかったんです。
だから、自分のこれまでの成功体験を思い出して
そこと結びつけて考えてみたり、
本を読んだり、
ネットで調べたり・・・
もちろん、それも悪くない。

ただ、アサーティブトレーニングでは、
フィードバックの練習もしますから、
受講後にどうすればいいかのヒントを
いっぱいお持ち帰りいただけます。



明日明後日は、
静岡で、
アサーティブトレーニング基礎編を行います。
谷澤相談室主催の講座としては
5回目の基礎編となりました。

静岡県以外からの参加者もお迎えし、
いろいろな年代、いろいろな職業をお持ちの方々と、
学びをご一緒します。




アサーティブトレーニングのゴールは、
アサーティブなコミュニケーションが
できるようになることではなく、
参加者の皆さんが、
主体的(自分の意志や判断で行動する)に
生きていくことにあると思います。
そのために、
ぜひ持っていていただきたい道具です。

そして、
一人一人が、
本当に自分の「主体性」を大切にできたとき、
相手の「主体性」をも大切に扱えるようになり、
そこには、問題を「力(攻撃・暴力・武器)」で
解決するのではない世の中があると思います。

その世の中で育つのは、
「自分は大切な存在で
 生きている価値がある」と
心の底の方で知っている子どもたちだと思うんです。

私はそんな世の中を作りたいです。


そんな地平を見つめつつ、
明日の講座を務めます。



尚、今年度のアサーティブに関する講座は、
★基礎編:10月11日(土)12日(日)
        詳細決定次第お知らせします。
★応用編:2015年2月21日(土)22日(日)
        詳細決定次第お知らせします。
★アサーティブカフェ:こちらをご覧下さい。


*このウェブサイトは、
NPO法人アサーティブジャ パン認定講師である谷澤久美子が個人で開いているブログです。このウェブサイトに関する全ての責任は谷澤久美子にあります。NPO法人アサーティブジャパンが運営・管理しているウェブサイトではありませんので 予めご了承ください





 
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ひとり「ことばの貯金箱」

【2014.05.21 Wednesday 18:23

5月20日付けの毎日新聞朝刊に
『ことばの貯金箱』作ろう」という記事が掲載されていた。
白鴎大学の渡邊裕子さんが、
東日本大震災から一年半余り後、
仮説住宅を廻って行ってきたワークショップを、
広く広めていく拠点を作ったという記事だった。

私はこの活動を、この記事で初めて知った。

5〜6年前、私は、
ある小学校で「気持ちのことばの宝箱を作ろう」と
呼びかけたことがある。
気持ちの言葉の語彙を増やすために、
子どもたちの中から気持ちの言葉が出てきたら、
それを教室の後ろの黒板に貼った模造紙に、
書き込んでいこうというものだった。
その頃は、その小学校にしょっちゅう行ける訳
ではなく、なかなかうまくいかなかった。

ある小学校の一年生の教室の前の入り口の上に、
模造紙が貼ってあって、
先生の文字で書かれた気持ちの言葉がいろいろ
書かれていたのを見たことがある。
後で担任の先生にきくと、
日記の中や作文の中に気持ちの言葉が出てきていたら、
それを紹介して、そこに書き入れることを
やっていたそうだ。

すごくステキだと思った。

私たちは、気持ちにぴったりくる言葉をみつけると
なんだかすっきりする。
と同時に、
他者に自分のことをなるべく正確に伝えようと
したとき、
語彙は豊富なほうが便利だ。


この「ことばの貯金箱」は
まず、新聞を広げて、自分の気になる言葉を
どんどん切り抜く。
その言葉を貯金箱に「ちゃり〜ん」と言いながら
入れる。
ファシリテーターの告げたテーマにそって、
自分の貯金箱から言葉を織り出し、
台紙に言葉を貼っていく。
自分の作品についてみんなに語る。

というものらしい。

とりあえず私はやってみることにした。


最初、そんなに都合のよい言葉が新聞の見出しなど
大きな文字の中から見つかるかな?と疑心暗鬼。
だが、広告を含めると、新聞の中には本当にびっくり
するくらいいろいろな言葉が、当たり前だけど並んでる。

こんなのができた



右半分は


その解決のヒントを左半分に


テーマは「覚悟」だ。

ま、私っぽいものになったと思う。



頭に浮かんだだけだと、
なんだかわさわさとしている考えが、
自分の外に出す、
たとえば話すとか書くとかすると、
明確になったりすっきりしたりする経験は
たくさんの方がされていると思う。

この「ことばの貯金箱」は、
自分の中にある思いだけど、
自分の言葉をひねり出すのではなく、
新聞の中からみつけるのだから、
少しハードルが低いように思う。

一度渡邊さんの活動を見学に行きたいな。
そして、子どもたちとやってみたいと思った。


・・・・・・・・

で、なぜテーマが「覚悟」か?
先週末、私の属するアサーティブジャパンの総会と
会員研修があり、
その中で、今後のビジョンのようなものに向きあう
時間をもつことができた。それが影響していると思う。

総会の後、
アサーティブのヨーロッパのトレーナーの第一人者、
アン・ディクソン氏からのメッセージを受け取った。
アサーティブジャパンがNPO法人として活動して
10周年になったことをお祝いしてくださっての
メッセージだ。
その中に、
「“The personal is political"
 『個人的であることは政治的である(自分自身である
 ことは社会変革に繋がる)』という言葉を
 忘れないでください」
という一文があり、
私は、それを耳にしたとき、
涙が止まらなくなってしまったんだ。

まずは私ができることをする。
それは自分のためかもしれないし、
自分の大切な人たちや、
自分の仕事の中でのことかもしれない。
でもそこがゴールじゃくて、
自分が問題に考えていることの解決の一歩を、
仲間と協力しながらトライし続けよう、
そのことが社会変革に繋がる可能性あることを
信じて行動していこう!

そういう覚悟みたいなものを確認できたんだよね。






 
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のび太を支えたのは。

【2014.05.16 Friday 19:56
何気なく中学生の男子としゃべっていて、
彼がすごいことを言った。
「のび太を支えたのは、
 ドラえもんの道具じゃなくて、
 ドラえもんという存在だったんだよ」

「どこでもドアも、
 タケコプターも、
 のび太の問題解決には役にたった。
 それは確か。
 でも、のび太の成長に絶対的に必要だったのは、
 そういう道具ではなく、
 ドラえもんという存在そのものだったと思う」

私は、彼の言葉に感動して、
ほんとそうだよねと言う。

彼は、
「実は、マンガやアニメ、
 いろいろなものが、
 結局はそのことを言いたいんだと、
 俺は最近、思った」
と言う。

「そのこと」とは?と訊くと、

「人を支えるものは、
 家族とか友達とか、他者とか、恋人とか
 ってこと」

あなたは今めちゃすごいことを言っている。
そのこと、日記に書きたいというと、
どうぞ!
と言ってくれた。

やるでしょ?中学生。



私を担当してくれている美容師さんの信条は
「成せば成る」だと言う。
小さい頃から母親に
しょっちゅう
「やりもしないで、できないって言うな」
とか、
「なんとかなるからまずはやってみなさい」
とか、
そういうことを言われ続け、
その言葉通りにしている母親の姿も見続け、
それが信条になったと言う。

かっこいい。



所ジョージさんの「笑ってこらえて」というテレビを
見ていたら、沖縄の一般の女性が
「あなたの大切にしている言葉は?」的な
インタビューに応えて
「死ぬこと以外はかすり傷」
と言っていた。
こりゃすごい言葉だ、
そう思えたらいいよなあ、
と思っているうちに、
そんなもんかもと思えてきた。
なんだか、いろいろなんとかなる気になる。
でも、もう少し考えると、
病気やケガで苦しんでらっしゃる方にとっては
「かすり傷なんてとんでもない!」と
複雑な思いをされるかもしれない。

そこまで考えていたら、
ずっと前にかかわった中学3年生の女子の言葉を
思いだした。
「これは一生続かない」
だ。
彼女もオープンにすることを許可してくれて、
その当時、カウンセリングルーム便りで紹介した。
彼女は友達とうまくいかない苦しい思いを
いろいろ語ってくれた後、
ぽつりと、
「でもさ、先生、
 これは一生続かないから、
 なんとかやってみる」
と言っていた。
私は、彼女のことを本当に尊敬して、
「そう思えるあなたは、
 すごいと思う」
と言った覚えがある。


なんだか今日は美容院で
髪を染めてもらいながら、
そんなことをいろいろ思い出した日だった。

世の中には、
ステキな言葉がちらばっている。
 
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♪いい事ばかりはありゃしない♪

【2014.05.09 Friday 11:41
久々にRCサクセションの
♪いい事ばかりはありゃしない♪が
頭に浮かんだ。
一回浮かぶと支配されて、ヘビロテ。

頭の中で歌いながら、
ここのところ考えていたことをまとめておこうっと。

「違い」 ってことを考えてる。


①箱根の「ポーラ美術館」にモジリアニを
見に行った。約40年にわたり好きな画家、
モジリアニ。今回は知らなかった絵もあって、
満足。

モジリアニ展と同時に、美術を楽しむための
企画
をやっていて、
そのひとつに、
作品に「なづける」体験ができるコーナーが
あった。

↓この絵にタイトルをつけるとしたら?
(ポーラ美術館のホームページから)


私の前の方は「踊る女」とつけていた。
私も瞬間そう思ったが、
「同じのじゃやだ、違うのにしよう」と
「なびく紫」とした。(女性の服の色が紫だった)
作者古賀春江さんが付けていたタイトルは
《白い貝殻》。
私はそのタイトルを見てびっくり。
「え?貝殻って何?」と思ったんだ。
ちゃんと見ると、右の下に結構な大きさの
ものがある。
なんと、それが目に入っていなかった。

見たいものしか見てない私。
それを見たら他はスルーしてしまう私。
「なづける」ことで、
正解?のタイトルとの「違い」で
そのことに気がついた私。


②夫が本棚を作ってくれた。
私の父親とのあまりの違いに、
ほんと、びっくりする。
(父は電球も変えない、
 扇風機も組み立てられない人だった)

机の上に三段に積み重ねた本を、
高校生の男子に
「先生、俺、棚作ってあげようか」
と言ってもらったのは昨年12月。
「ありがと。でも自分でがんばってみるよ」
と言いながらまったく手をつけず、
本はたまっていくばかり。
当たり!の本ばかりで、読み終わっても
手元に置きたくて、
でももう積み重ねられなくて、
同じ部屋のテーブルを仮置き場にしていた。
お客様がみえると、その本を別の部屋に移動させ、
その場を凌ぐ生活をしていた。

夫に相談すると、
どの大きさの本を置きたいのか?
高さや幅はどれくらいのサイズがいいのか?
など質問をしてくれて、
さらにメジャーでばんばん計り、
ジャンボエンチョーで材料を買ってきて、
あっという間に作ってくれた。

私の父のぶきっちょっぷりも結構かわいかったけど、
いやあ、夫のこの感じもいいなあ。


③DVDをレンタル「42」を見た。
アフリカ系アメリカ人で最初の大リーガー、
ジャッキー・ロビンソンさんの実話を
ベースにしたもの。
彼をチームに迎えるGMが、彼に
腹が立つ思いをするかもしれないけど、
やりすごしてくれ!
のようなことを告げるシーンがある。
彼は
「それは、立ち向かう勇気を捨てろ
 ということですか?」
と質問する。
するとGMは言う。
「いや、やり返さない勇気を
 持ってほしい」

このことをある中学2年の男子と話していると、
彼は
「相手に対しては、やり返さない勇気は必要、
 でも、自分自身の問題に対しては
 立ち向かう勇気が必要だと思う」
と言う。(この話をオープンにする了解を
もらってます)
私「たとえば?」
彼「今までまったく勉強してこなかった『社会』。
 でもそれじゃやばいし、そのままにしといても
 解決しないから、やり始めた・・・みたいなこと」
私「ふーん、そりゃ、すごいね。
 その考えはどこからでてきたの?」
彼「アニメやマンガ」
私「どんな?」
彼「『俺の敵は俺』、これは『宇宙兄弟』
  『解こうとしなければ、答えはでない』
  これは『サマーウォーズ』」

うーん、なるほどなあ。やるなあ、彼!

相手との間の問題には、やり返さない勇気。
自分の中の問題には、立ち向かう勇気。


④映画「ネブラスカ」を見る。
100万ドルの賞金に当たったと信じ込む父と、
それがインチキだと知りながらも、父の夢に
寄り添う息子。賞金を受け取るために車で
旅に出る親子。途中立ち寄った父と母の故郷では、
知らなかった両親の過去がある。
特別大きな秘密がある訳もなく、すごい事件が
起こる訳でもない。でも、ごく普通に生きる人々の
日々の尊さを、しみじみと感じる映画。

(以下ネタバレ含む)
もちろん100万ドルはインチキだった。
でも、親子はお金以上のものを得る。
旅に出る前は父親と距離をおいていた息子が、
一緒に時間を過ごすことで、父親の思いを知ろうと
したり、父親の望みの叶えてあげたくなったり、
父親を元気づけたくなったり、父親を笑顔にしたく
なったりする、そういう通い合う心を持てたことだ。
100万ドルを手にしたらトラックを買おうと考えて
いた父親。それを息子は買ってあげる。そして、
運転席に座り、ハンドルをにぎり、満足顔の父親。

という映画を見た日の夕飯で、

私の夫は父親と運転について話し合わなければ
ならなかった。
義父から車を奪うことは、本当にせつないことだけど、
その日危ない出来事があったんだ。
夫は誠心誠意父に話しかけ、
彼は納得して「もう運転はしない」と言ってくれた。
不便になることについてや
代替案についても、ちょっとは話ができた。

「ネブラスカ」の息子も、
うちの夫も、
父親の人生を思ってのことだ。
父親の背景やプライドや優しさを思い、
老いと向き合う先輩としても、
大切に大切に考えていた。
そして「ネブラスカ」の息子も夫も、
自分も、もう十分にその途上にあることを
多分意識していたと思う。
その上での、車のプレゼントであり、
運転をしない約束だと思う。

あ〜せつなくって、いとしい。



♪いい事ばかりはありゃしない♪

なぜか頭の中でリフレインしてるけど、
そういえば、
RCサクセションには
♪すべてはALRIGHT♪
もあるなあと思う。

そんなことを考えてる週末。



 
author : tanizawa-k
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<回復する練習>

【2014.05.02 Friday 07:59
勉強会のお知らせです。



テーマは
「回復する練習」

できれば傷つかずに生きていきたいけれど、
そうもいかないようです。
失敗することはあるし、
よかれと思ってしたことが裏目にでたり、
ちょっとした愚痴が相手に伝わってしまって「あちゃー」、
信頼していた人から裏切られるような出来事があったり、
大切な人に暴言吐いてしまったり、
キレられたり、
誤解から注意を受けたり、
話しかけたのにスルー・・・。
ずっと昔の出来事が振り切れないでいたり、
これからのことが心配になって
いてもたってもいられなくなったり。

そういう時、
もし、凹み、落ち込み、くじけ、心が折れそうになったとしても、
それは仕方ないことです。
ただその状態が長い時間続くと、それは本当にしんどい。

谷澤相談室は「回復する練習」というテーマで、
三回の勉強会を開催します。

凹みながらも、
落ち込みながらも、
くじけ、
心折れそうになりながらも、
目の前の必要なことをできる自分でいるために、
必要なことを学びましょう。
また、簡単なワークを通して、
日常に活かせるように体験をしていただきます。

募集開始しました。
1回目
<感情を味方につけよう>
一般的にはネガティブといわれる不安やあせりや恐怖や怒り。
感情を「毒」にするのではなく、「サプリ」、
つまり、自分のこれからに生かすようにするために
必要なことを学び合います。

日時:2014年7月12日(土) 午後1時15分〜午後4時45分
会場:静岡県教育会館
対象:20歳以上の方
定員:20名(先着順)
参加費:3000円



募集開始は7月12日
2回目
<応える・共感する力をつけよう>
他者との間で起こった問題から回復していこうとする時、
自分の言いたいことをどう伝えるかも大切ですが、
相手の伝えようとしていることを、どう受け取るかもまた、
とってもとっても大事です。

日時:2014年10月18日(土)午後1時15分〜4時45分
会場:静岡県教育会館
対象:20歳以上の方
定員:20名(先着順)
参加費:3000円



募集開始は10月18日
3回目
<自分の中にある力を再確認しよう>
凹むこともあるのが人間。それを長引かせないために、
自分の中に力があることを、再確認する時間をもちます。
「力なんてない」と思われている方にも、
楽しみながら受講いただけると思います。
ただし、参加の条件がありますので、お気をつけて!
日時:2015年1月15日(土)午前9時半〜午後4時半(お昼休憩1時間)
会場:静岡市内
対象:1回目か2回目の勉強会もしくは
   2013年度谷澤相談室の1回目に参加された方
定員:30名
参加費:5000円


<お申し込み方法>
faxかメールで以下を記入の上お申し込みください。受付後詳細をお送りします。
① 氏名 ②住所(〒番号も) ③電話番号 
④詳細をお送りする時のご希望の連絡方法(電話:携帯:fax:メール)
 *携帯メールはご遠慮いただいています。よろしくお願いします。
⑤受講の動機

fax: 054-348-0435
メール:kumikotanizawa@gmail.com
  
author : tanizawa-k
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谷澤 久美子
counselor