「天使の分け前」「ブルーノのしあわせガイド」 【2013.07.31 Wednesday 01:35】 |
7月は2本映画を見ることができた。 1本は「天使の分け前」。イギリスの映画。 傷害事件を起こしたロビーは、なんとか収監は免れ、 社会奉仕300時間の刑を受ける。 彼には恋人がいて、子どもが生まれるが、 そのことを喜んでくれたのは、 社会奉仕の指導をするハリーだけだ。 ハリーは、とっておきのウイスキーをあけて お祝いをしてくれる。 ロビーはその時始めてウイスキーを飲み、 それがきっかけでウイスキーに興味をもち、 図書館で本を借りて調べ始める。 ハリーは、そんなロビーの生きる道はこれかと思い、 醸造所に見学に連れていったりする。 そんな中、高価な幻のウイスキーの樽がみつかり、 それがオークションにかけられることを知り、 ロビーはその樽から4本分だけ盗んで、 新しい生活をするための資金にしょうと計画する。 計画は成功、残念ながら2本は割れてしまったが、 残りの一本を高価で売ることができ、 さらに醸造所での仕事もみつけ、恋人と子どもと 3人の生活を始められるようになるという映画。 社会の底辺から抜け出すのに、 盗みを働いたことをきっかけにするのが、 なんとなくひっかかるが、 それでも、ウイスキーなだけに、納得させられる部分がある。 ウイスキーは樽の中で長い年月の間に少し蒸発するという。 それを「天使の分け前」と呼ぶらしい。 ロビーのリスタートに、ちょっとだけ分け前が与えられた・・・ って考えようと思う。 ロビーは、カッとするとキレてしまい手を出してしまう傾向 があって、でも、ハリーという自分の味方を得たことと、 何としてでも守りたい家族ができたことで、 相当我慢強くなる。 そして、一本残した幻のワインを、 ハリーの家の居間のテーブルに、 感謝の言葉とともに置いておくロビー。 ハリーが、なんといっても素敵。 ハリーみたいに、信じてくれて、味方になってくれて、 守ってくれて、背中押してくれる人。 この映画は夫と見たが、 夫は、そういう人が欲しいというより、 そういう人になりたいって思ったようだった。 どちらかというと、私もそうだなあ。 これは私の想像なんだけど、 ハリーも、孤独でどうしようもない時が あったに違いないと思う。 その時に、誰かが親身に味方になってくれた瞬間が あったんだと思う。 そういう経験ってされた瞬間に、 そうされるとどんなに心強いか分かる。 私も何度かあるが、 一番最近は、今年の4月に、 昨年末からの困難とそれに伴い受けた批判の言葉を 仲間に話した時、 仲間が 「うちの大事な谷澤に何してくれる!」 と真剣に言ってくれたこと。 それがいつまでも温かく胸の中にあって、 種火みたいになってくれているんだ。 それ知ってしまうと、 そうすることが「人」を支えるってわかるから、 自分もできたらいいと、 なんか、思う。 その仲間のように、 ハリーのように。 ま、もう社会にお返ししていく 年齢ってこともあるしなあ。 もう1本は「ブルーノのしあわせガイド」。 イタリアの映画。 中年の男ブルーノは昔国語の教師をやっていたが、 離職し、今はゴーストライターと家庭教師で、 なんとか凌いでいる。 ある時、家庭教師をしている子の母親がたずねてきて、 家を長期間あけるので子どもをあずかってほしいと 頼まれる。しかも、驚くことに、その母親とは昔 関係があり、その子は自分の息子だった。 本当の父親だとは知らせずに、息子との2人暮らしを 始めるブルーノ。息子は成績は悪く、ふまじめだ。 ある時学校に呼び出され、このままだと卒業できないと 言い渡され、家で猛勉強をさせることにする。 しかしちっとも身を入れない息子。 厳しくするブルーノ。2人の関係はぎくしゃくし始める。 そんなある日、 ギャング風の男から盗みを働いた息子は追われる身となる。 ブルーノは彼を守ろうとするが、2人はみつかってしまい、 身を以てかばおうとしたブル−ノは殴られる。 しかし、そのギャング風の男は、なんとブルーノの昔の 教え子。他の教科は一切評価されなかったが、ブルーノ だけは点を与えてくれたことから、その教科が好きになり、 今でも芸術に親しんでいることを告白する。 息子はブルーノを見直す。やるじゃん、オヤジ!なかんじ。 ちょうどいいタイミングで、めちゃくちゃ素敵な女性が 父親の寝室から出てきたりもする。 ブルーノを尊敬し始めた息子は、 以前とは勉強する態度がまったく変わる。 そういう映画。 これはもう、100%気持ちいい映画だった。 原題は「シャッラ」というローマの若者の言葉で、 「なんとかなるさ」とか「リラックス」とか そういうような言葉らしい。 肩の力、ぬいていこうよ・・・な感じが 映画の隅々からしていて、とってもいい。 なんだけど、なんとかならないことも人生にはあって、 それは息子のピンチや落第という問題。 このピンチがあったからこそ、 2人は本当に近づくことができたんだけど、 実をいえば、ピンチが2人の関係を決定的に駄目にする ことにもなりえた。 たとえば、ピンチの時にブルーノが息子を 本当に守ろうとしなければ、そうなったと思う。 落第を目の前にした息子をほおっておけば、 関係も悪くならならかったけど、 単なる共同生活者。 その2つの境目をブルーノは 「過去」の自分に助けられた。 熱心に教師として教えてきた日々があったからこそ、 息子の尊敬を得るこができたんだもん。 そこのところの展開が、 私としてはとっても好きなパタ−ンなんだなあ。 天使の分け前とはいえ「盗み」で解決するより、 自分の力(過去の力でも)で解決していく様子を 見たほうが、 やっぱ気持ちいいよなあ。 映画っていいなあ。 8月は いっぱい 見れますように。 |
author : tanizawa-k
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