2012年09月の記事 | 今のところではありますが…
ご褒美を感じる力。

【2012.09.26 Wednesday 19:24
NHKの朝の連ドラ「梅ちゃん先生」。
主人公梅子が医者をめざす元になった少年ひろし君が、
ここのところ青年になって登場している。
その彼は何かに取り付かれたように働いていて、
ついに梅子のところで倒れてしまうのだが、
倒れる前に
「梅子さんはうそつきだ」と言う、
目を覚ましたひろし君に、
梅子はその言葉の意味をたずねると、
幼い頃梅子から言ってもらった
「一生懸命にがんばっていると、
 それはいつか報われる。
 神様がご褒美をくれる」
というような言葉を信じてきた彼だが、
「ちっともご褒美なんてない。
 だからうそつきだ」
と言うのだ。

幼い頃、
両親を戦争で亡くしていたひろし君は、
病気を梅子の父親に治してもらい、
元気になったあと、
親戚の家にもらわれていくのだ。
材木問屋を営んでいた親戚の家では、
きつい仕事でこき使われる。
それでも、彼は梅子の言葉を信じてがんばって働いた。
その後、定時制の高校を卒業し、
大学で学び卒業し、
医薬品の会社に就職し、
営業として必死に働いている。
しかし、小さな医薬品の会社は
なかなか医者に認めてもらえず、
働いても働いても結果は出ない。
会社からは嫌みを言われる。

がんばってきても、
ちっともいいことない!

と彼は言うんだ。


私はそのシーンを見ながら、
何年か前に関わった中学3年生の女子のことを思い出していた。

彼女はこのブログを読んでくれていた。

ある日、私は、
重い病の友人の、お見舞いにいった時のことを書いた。
彼はもうすぐ命がなくなることを自分でも知っていた。
そして私を見て、
「会えて、幸せ」と言い、
その後、水を一口ふくんで、
「お水が冷たくて、幸せ」と言った、
そのことを書いた。

その中学3年の女子は、
次に会ったとき、
「先生、私、いいことなんてひとつもないと思ってたけど、
 そんなことないと思った。
 お水を飲んで幸せと思う人もいるのに。
 いいことなんてひとつもないなんて考えは、
 違うと思った」
というような感想を教えてくれたんだ。

彼女は、
心のエネルギーが枯渇しそうなほど苦しんでいた頃から、
回復しつつある時期で、
祖母と母と姉との暮らしの中でのイライラを
言葉で表現できるようになっていた頃だった。


つまり、
お金とか、
環境とか、
社会的な背景がどうとかではなく、
時には後どれくらい生きられるかにも関係なく、

心がある程度満たされていれば、
そうでない時はとってもご褒美になんか思えないことも、
そう感じられるんだと思う。



梅子の夫、のぶの工場に、
地方から働き手として東京に出された男の子がいる。
彼は、多分貧しい暮らしの中で、
たくさんの兄弟を支えるために、
中学卒業後、東京に出てきた。
それでも、彼は、
すごく幸せそうだ。
祖父からの教えを
たとえば
「急がば回れ」とかを
大切にしながら、
働ける喜びを感じて生きている。
定時制にいくことができるようになったが、
それは、みんなが骨折ってくれての出来事。
それを彼はご褒美だと感じている。

ひろし君が、
定時制に行けたことも、
その後大学に入学できたことも、
そこを卒業できたことも、
就職を果たしたことも、
ご褒美に思えなかったのは、
それほどのことがあったからだと思うけど、
それでも、少し心にエネルギーが注入できたら、
そのことを「ご褒美」という視点で
考えられるといいな。









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It`s OK to be who you are.

【2012.09.24 Monday 08:13
森巣 博
講談社
¥ 756
(2009-03-19)
コメント:It`s OK to be who you are.

夫が定期購読している「COURRiER JAPON」。
時々、私にとって役にたちそうな記事を
読ませてくれる。

以前からその割合が高い
「越境者的ニッポン」(森巣博氏)の
10月号の記事はすごかった。
(第64回 前段階グルーバル人材蜂起論 序説 3)

彼は日本人、妻は英国人。
その息子のことが書かれていた。
息子さんは、今30代でニューヨークで
金融関連の仕事についているらしい。

その息子さんは、
「 集団行動がひどく不得手な子どもだった。
 他の子どもたちがすることができない。あるいは、
 やろうとしない、日常生活をつつがなく過ごす為に
 必要なことができない(あるいはしない)。
 自分がやりたいことだけは、止められようが多少の
 困難があろうが、やってしまう。
  つまり、現在の言葉でいえば
 自閉症スペクトラム障害に属する
 『発達障害児』であるのだが、
 当時、そのような分類も概念もなかったと思う。(中略)」

「 集団行動が不得手で学校の落ちこぼれであっても、
 あるいは『へんな子』であり『変わった子』で
 あろうとも、息子がわたしの子どもであることに
 かわりはなかった。
 その『へンな子』『変わった子』を
 この世に生み出したのは、まさにわたしたち親だ。
 親としてはその子を
 特別な存在として認めるしかない。
  特別な存在には、特別な対応をする。
 当たり前のことではなかろうか。
 うちの子がそこいらへんのガキと一緒のことを
 しなくても、あるいはできなくても、
 一向に差し障りござんせん(笑)。
 ここいらへんの腹のくくり方が、
 親にはなにより必要なのである。」

この辺りを読んだ時に、
私は森巣氏の著書をAmazonで購入。

以下はそこに書かれていたこと。

で、
その息子さんはオーストラリアで成長する過程で
3人の、素晴らしい教師と出会う。
最初は小学校時代に出会ったフリー先生。
授業にまるで興味を示さない彼を心配して、
いろいろとテストを試みて、特異な言語能力を
発見してくれた。
そして5年生の時に学校に行くの嫌がり出した時に、
先生が彼に言ってくれた言葉が、

"It`s OK to be who you are.”
(あなたはあなたのままでいいのです)

この言葉が孤立する彼を勇気づけたんそうだ。

小学校を卒業した彼は、
中学校では図書室にいることが多かった。
そんな彼を親切に丁寧に対応してくれたパットン先生が
二人目の先生。
三人目はまだ中学一年の彼のために
特別な哲学のクラスを開いてくれたマケイ先生だと書いてある。

彼はその後、14歳で大学合格、15歳で大学入学。
そこを主席で卒業。大学院入学。
19歳で英ケンブリッジ大学大学院に招聘、修士号ゲット。
20歳で米カリフォルニア州立大学バークリー校移籍。
博士コースの奨学金で学び、さらに教職もとる。
15歳で大学入学以降、親は一銭も教育費や生活費をかけず、
現在に至る。

「COURRiER JAPON」10月号の記事の中に、
「 他の子どもたちがすることができない。
 あるいは、やろうとしない。
 日常生活をつつがなく過ごすために
 必要なことができない(あるいはしない)。
 自分がやりたいことだけは、
 止められようが多少の困難があろうが、
 やってしまう。
  そういう子どもが、同質となって群れること、
 すなわち『同化』を錦の御旗として掲げる
 日本の教育制度の中で、はたして(息子は)
 生き残れたのだろうか、父親は戦慄しつつ考える」
とある。


あ〜日本の中にいると、
「同調圧力」という「空気」に、
無関心でいたほうが生きやすい。
「同化」しようとされているなんて考えちゃったら、
学校の中で生きていくのが、
しんどくてたまらなくなる。

だから気がつかないように、
日々を送ろうとしているのだが、
でも、
いじめの問題、
そして学校で生きづらい子どもたちのことを考えると、
ここにいきつくことは、
もうどうしようもなく、明確だ。

ただ、「同調圧力」「同化」は、
学校の中だけの問題ではないだけに、
どこからどうやって考えていったらいいか
困惑する。
それでも、そこに意識をおいておく
ってことが重要なんだろうな。


森巣氏は
「あなたはあなたのままであること。
 そしてそれを、外部からの雑音及び同調圧力で
 気にせずに、自ら意識化すること」
と言っている。

気にしないってことは無理だけど、
でも同時に、
私自身は自分自身に
「私は私のままでいい」とつぶやき続け、
目の前の子どもや保護者の方には、
「あなたはあたのままでいい」と
メッセージし続けることなんだろうな。


尚、森巣氏の著書、
表現はかなり過激だ。
好き嫌い極端に分かれるだろうなと思う。

私ははまり、次を読もうと思ってる。







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残念ながら、近道なし。

【2012.09.20 Thursday 18:29


思春期の子どもをもつ保護者のための講座の
フォローアップ講座に
参加してくれた方の感想を
シェアしたい。
(了解いただいているもののみシェアします)

感想を読むと、
自分自身のこと、
自分と子どもとの関係のこと、
二つを振り返る時間になったよう。
それがよかった。


・皆さんの話を聴くことができて、
 がんばっているお母さん、
 悩みながらも前に進んでいるお母さん、
 いろいろな方々がご自分のお子さんと向き合いながら、
 大切に考えながら、
 日々、過ごされていることがわかり、
 刺激になりました。
 気持ちについて、私の不安は、
 自分や周囲への期待が、つり合いをとるために
 やってくるのだということがわかり、
 気持ちに善し悪しを付けたり、
 なかったことにしないで、
 「私は今不安と感じているんだなあ」と声をかけて
 あげようと思いました。
 そして子どもが不安になった時、じっと黙って
 寄り添える母親になるって決めました。
 そして自分にも、「私もできる」って信じると、
 今、決めました。(ひろりん)

・皆さんのお話の中から「私も同じだ」と気づきを
 たくさんいただきました。安心し励まされ、
 自分に取り組めることがあることを、改めて
 見つけられたことに、感謝しています。
 中でも気持ちについて考えるワークでは、
 自分に沸く感情を受け止めるのに、とても助けに
 なると思いました。①わく ②批判しない は
 わかりますが、③対処する をもう少し具体的に
 教えていただきたいです。(中略)
 失敗しながらもがんばっている自分を認めたいです。
 そして「蚊」の話(筆者注:あるもの探しをしよう!
 のたとえ話)を思い出し、いつも人のほめるところを
 みつけて探してほめていけるようになりたいです。
               (Iさん)

・久しぶりに皆さんにお会いできて嬉しかったです。
 発達障がいを持つ子どもを育てていて、本人の
 生きづらさは理解しているつもりですが、自分自身に
 気持ちが余裕のない時には、子どもの気持ちを後回しに
 してしまう私です。
 またフォローアップ講座を開催してほしいです。
 後半でやった「感情に振り回されない生き方」に
 ポイントを絞り講師の話をきいたり、皆さんとシェア
 できる場ができれば、とても嬉しいです。
 ご検討お願いします。       (メロン)

・大変有意義で、参加して本当によかったです。
 毎日の子育ての中で沸くいろんな感情に振り回されたり
 落ち込んだりすることが、自分だけではなく
 皆さん大なり小なり日々経験していることがわかり、
 とても励まされました。
 共感されたり、受け止めてもらうだけで、
 今かかえている問題がすぐ解決しなくても、
 気持ちが落ち着きます。
 「感じる気持ちに快不快はあるけど、善悪はない」
 という言葉に救われました。
 つい何かあると善い悪いと判断しがちですが、
 批判や評価をすぐにしないことを
 心がけてみようと思います。
 つい人は、大変なことやわずらわしい事を
 避けてしまうものですが、
 そういうことがあるから成長するし、
 最終的には得られるものも多く、
 得をすることになる・・・と、
 子どもの不登校をきっかけに
 いろいろ学ばせてもらいました。
         (mさん)

・今年に入って急に迷いこんだ思春期トンネル!
 家族中がいらいらし、つんつんして、
 苦しい時期でした。
 中2の息子の行動(言動)に、みんなが一斉に
 反応し、負のスパイラルがうずまいていました。
 今まで、相手と過去は変えられない、自分と未来は
 変えられると必死に思ってきましたが、
 実は、なんと、自分の気持ちもコントロールできない
 ものなんだと知り、納得。思ってしまった気持ちを
 抑えようとしていたことに気がつきました。思う気持ち
 を抑えるのではなく、素直に出せることが大切なんですね。
 講座に参加し、いい出会いに恵まれました。
 思春期トンネルがなければなかった出会い、
 人生おもしろいなあ、と想えてきました。
              (くるん)

・同じような年代の子どもたちの子育て中の
 お母さんたちの話は、励まされたり感心したりと、
 とても身近に感じます。
 皆さんの話を聴いていて思ったことは、
 ぶつかった事柄に対し、感情と口(言葉)との
 距離(時)感があって、大人だなあと思いました。
 怒りをぶつけたとしても、それを「やってしまった」と
 振り返ることができる、気づくことができるのは、
 すばらしいと思いました。また「やってしまった」事に対し、
 それを正当化してしまい、なかなか客観視できないし、
 前に進んでいくことができない自分を時々みつけます。
 感情のワークで「びっくりするとき」という箇所で、
 私は「スーパーで知り合いにあった時」と書きました。
 近所のスーパーなので、誰にあっても不思議はないですが、
 声をかけられたりするとドキっとしてしまう。
 そんな時は、ろくな格好もしてないし、子どものことを
 何かきかれたら、言わないでもいいことまで言ってしまう。
 どこかでまだまだ対等でいられない自分に出会い、
 ハッとしてしまうのです。    (mさん)


・気持ちにOKをだし、批判や評価をしないこと、
 対処を考えること・・・をもう一度自分の中で
 考えてみたいと思います。最後のワークをやった
 ことで、子どものことでいらいらしたり、悲しく
 なってしまう気持ちについて、自分の気持ちを
 少し肯定的に受けとめることができました。
 子ども自身も、私が下手なように、
 気持ちを言葉にするのが苦手で、時々それが
 たまっているように思えます。そのことに私も
 OKを出せずにいてしまうのかもしれません。
                (ぺこ)


参加してくれた皆さんは、
真摯に自分と向き合い、
自分と子どもとの関係を振り返り、
としていた。

これさえやればうまくいく・・・
というすぐ効く薬などなく、
苦しいながらも、
辛いながらも、
わかりあえることをめざして
格闘し続けるしかない。

そのときに仲間がいるのは、
本当に心強いものだ。

あ〜私自身も、
この仲間でいられることに
とってもとっても助けられている。

来年1月に、
第二回のフォローアップを開催するつもり。




さて、
「感情に振り回されない生き方」についての
講座開催の詳細を決めた。

/////////////////////
谷澤相談室 勉強会のお知らせ

定員となりました。受付終了いたします。
<感情に振り回されない!という選択>

喜び、幸せ、嬉しさ、楽しさ・・・そういう感情は大歓迎でも、
怒り、悲しみ、不安、恐れ、緊張などの感情は、
なかなかやっかいです。
感情のもつれからくる人間関係のトラブル、
自分自身を責め続ける苦しさ、
それらから自由になるために、
「感情」について学ぶ時間をご一緒しましょう。


◇ 日程:2012年11月17日(土)13時30分〜16時半
◇ 会場:静岡県教育会館 (セノバ向い)
◇ 定員:20名(先着順/6名以上で開催)
◇受講料:3000円
◇ 主催:谷澤相談室 http://ktanizawa.exblog.jp/


<お申し込み方法>
fメールで以下を記入の上お申し込みください。
受付後詳細をお送りします。
① 氏名 ②住所(〒番号も) ③電話番号 
④詳細をお送りする時のご希望の連絡方法
(電話:fax:パソコンのメール)

 メール:kumikotanizawa@gmail.com




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寄る辺ない?いいえ、あり。

【2012.09.19 Wednesday 06:34
9月16日、17日は信州にいってきた。

バーニーが天国に旅立ってしまい、
仕事をしている間はいいのだが、
特にすることがないままの休みの日に、
常にバーニーの存在を感じていた家で、
ぽかんと過ごすのは、
どうにもこうにも寄る辺ない。

で、逆に、
バーニーがいたらできなかったことをしてみようよ、
などと夫と話し、
15日は午後から夫と映画をみて、
 (夕方の散歩があるから、午後2時50分からの映画なんて、
  バーニーがいた頃はとんでもなかった)
16日/17日は、義理の両親留守の中、
私たちも一泊の遠出。
 (バーニーがいた頃は
  義理の両親かうちかどちらかがいないと
  泊を伴うお出かけはできなかった。
  朝晩の散歩があるから。
  しかも、最近義父の体力を考えて、
  先々月の東京を最後に、当分旅行は無理だと
  思っていた)

行きには、
バーニーを連れていった思い出いっぱいの
朝霧を通り、
帰りはバーニーが喜んで走り回った
清里の清泉寮に寄って帰ってきた。



松本のおそば屋さん「井川城」さんで
冷やしにしんそば。

重文の旧開智学校で
懐かしい机や、
教科書をみる。
自分の小学校時代は、
すでに歴史の中の一部になっていることを、
つくづくと感じる。

諏訪大社は
秋宮、本宮と周り、
あの柱をみて、
翌日ランをしながら
春宮も見る。

宿泊したのは諏訪大社秋宮のすぐそばの
「みなとや」さん。
昭和の文化人たちが通った宿。
小林秀雄さん直筆の原稿用紙があったり、
岡本太郎さんは、本当に何度も訪れたというし、
小沢昭一さんの直筆の俳句が飾られている。
なんといっても露天風呂がすごい↓

ただただ、お湯でからだをほぐためのお風呂。

そして食事がすばらしく。
ってのはごちそうではなく、
お酒のあてのようなこごみや、
はちの子やなめこやふきや、
たくさんの種類がが
ちょっとずつ小皿に盛りつけられていて、
ついつい行儀が悪い、迷い箸。



山に行ったら山のものがいただきたい夫も私も
大満足。

しかも、こんな照明の、落ち着いた渋いたたずまい。



帰宅後、
朝霧や信州で撮ったバーニーの写真を見ているうちに、
何度も見ているバーニーの写真を、結局は全て見る。
そして、写真には残っていない
波打ち際を飛び回る姿がどれだけ嬉しそうだったかや、
うーんと伸びをする時のこちらを横目で見る姿を思い、
そして、
写真以上に、
私たちの頭の中には、
バーニーのいろいろな表情や、
いろいろなしぐさや、
いろいろな思い出がつまっていることを確かめる。


どれだけおいしいものをいただいても、
どれだけいいお湯に浸かっても、
パワースポットを巡っても、
バーニーがいないことに変わりはなくて、
そのことは頭の中にずっとあるけれど、
それでも、こうして
私も夫も、
気を紛らわせたり、
おしゃべりに集中したり、
なんとか、工夫して生きている。

なんとか、生きていけると思う。


バーニーが死んでしまった直後、
夕方の散歩がないことに愕然として、
とにかく何かしなくちゃと走る用意をして、
夫に「走ってくる」とメールした。
夫は「泣きながら走れ」と返信してくれた。
泣きながら走り、
家が見えてきた時、
仕事から帰宅し、
走ろうと外に出てきた夫とタイミングがあった。
彼は、私の一歩一歩にあわせて手をたたき励まし、
「がんばったね」と言った。

急にそのことを思い出す。

寄る辺ないなんてこと、ない。
寄る辺、大ありだ。
頼ったり、
支えてくれたり、
一緒に泣いてくれる人がいる。

バーニーは、
それを上から見てると思う。
私たちが、お互いを労いながら日々を過ごしているのを、
見てくれていると思う。


そして、
信州ってなかなかいいよねって、
この一泊を、
きっと見守ってくれていたと思う。






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「彼だけは私を対等に扱う」

【2012.09.18 Tuesday 10:53
 フランス映画「最強のふたり」を見た。

wikipediaによるストーリー・・・・
パリに住む富豪のフィリップ(フランソワ・クリュゼ)は、
頸髄損傷で首から下の感覚が無く、体を動かすこともできない。
フィリップと秘書のマガリ(オドレイ・フルーロ)は、
住み込みの新しい介護人を雇うため、
候補者の面接をパリの邸宅でおこなっていた。
ドリス(オマール・シー)は、職探しの面接を紹介され、
フィリップの邸宅へやって来る。
ドリスは職に就く気はなく、給付期間が終了間際となった
失業保険を引き続き貰えるようにするため、
紹介された面接を受け、
不合格になったことを証明する書類にサインが欲しいだけだった。
気難しいところのあるフィリップは、
他の候補者を気に入らず、
介護や看護の資格も経験もないドリスを、
周囲の反対を押し切って雇うことにする。
フィリップは、自分のことを病人としてではなく、
一人の人間として扱ってくれるドリスと次第に親しくなっていく。
・・・・

という映画。


ドリスは、他者の懐に入るのが本当に上手。
それは、もともと持っていた彼の資質によるものや、
育ってきた環境の中で鍛えられたこと
(子どものなかった叔母夫婦に引き取られたあと、
 叔母たちに子どもが二人生まれ、
 その後、叔母は離婚、再婚し、その再婚した
 相手との間にも何人か子どもがいるという
 環境の中で育ってきた)
があったかもしれない。

ドリスの、
フィリップとのコミュニケーションの
根底にあるものは、「対等感」だと思う。


フィリップは、
周囲の反対の声に対して、
ドリスを介護者に選ぶ理由を、
「彼だけは私を対等に扱う」と説明する。

「対等に扱う」とは具体的にいうと、
どういうふるまいをすることか?

私は、
ドリスがフィリップに対して
「自分の意見を言う」ことが
対等の象徴と感じた。

他の介護者の人は、
フィリップが幻想痛で苦しんでいるとき、
ベットサイドに顔を出しても、
フィリップに「ほっといてくれ」と言われれば、
すごすごその場を去る。
白衣を脱げと言われればそうする。
言われるがままで、
自分の意見や感情を表明せず、
フィリップの指示の通りに動こうとする。

しかしそれは、
フィリップを雇い主として自分より上においたり、
とはいえ、首から下を自分の意志で動かすことができない
「気の毒な人」として下においたりのどちらかで、
ふるまいが対等ではないのだ。

それはこれまでフィリップの誕生会を
企画してきた人たちも同じ。
ただただ演奏を聴く会にしてきたのは、
フィリップに好きな音楽を楽しんでもらいたいという気持ちと、
踊ることをしないのは、それができないフィリップに
申し訳ないという思いがあったと思う。

ドリスは違う。

幻想痛に苦しむ
フィリップを、
自分の考えでまだ明けきらない早朝のパリに連れ出し、
気分転換させるし、
そこでカフェに入って、
お互いのことをいろいろ話す。
質問を憚るような性的なことも訊く。
また誕生会では自分の好きな
アース&ファイヤーの曲をかけて踊りだし、
周りの人も巻き込んで踊る。
それをフィリップはニコニコと笑いながらながめている。

ドリスは
「雇い主だから自分は何でも指示に従わなければ」
だけにとらわれている訳でもなく、
同時に
「障がいを持っている人」とだけの視点でみているのでもない、
雇用者であることは事実、
彼に障がいがあることも事実、
そして、お互い「一人の人間同士」ってこともまた事実。
するべき仕事はするし、
同時に自分で考えてしてあげたいことはするし、
質問したいことは訊くし、
言わない方がいいと自分で判断したことは言わないし、
でも必要なことは言う。
そういうスタンス。

これが、本当に気持ちいいんだ。




最近、義母のアルツハイマーは、
少しずつ進んでいる。

できないことや、忘れてしまうことや、
考えられないことが増えている。
しかし、言葉はしっかりしている。

義母が自分の考えを言うことを、
「そんなことはいいから黙って」とか、
「口だけはへらない」とか、
私の中に、そんな考えが時々湧く。

もちろん口には出さないが、
そう言いたくなる自分は、
義母に対して対等ではないとつくづくと思う。
そして私の中に、
面倒をかけているんだから、
自分の意見など言わず、
だまって従っていればいいという考えがあるように思って、
自分に対してぞっとする。

あ〜なんと簡単に、
他者を下にみたり、
自分を下においたり、やってしまうんだろうか。




「対等」は、
アサーティブのスキルの元になる考え方のひとつで、
大切なものだ。

「最強のふたり」を見て、
「対等な関係」を本当に築けた見本を見ることができた。
この素晴らしさに、
自分の中でエネリギーがふつふつとしてくるのを感じる。

と同時に、
身近な関係の中で、
対等のバランスを簡単に崩すことをしてしまう
自分ってものに対して、
客観的に考えることもできた。



なんと、なんと素晴らしい映画。


DVDになったらまた見ようと思う。










author : tanizawa-k
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とどめてしまうと、感情もよどむ?

【2012.09.15 Saturday 09:51
昨日は午前中は
「思春期の子どもを持つ親のための講座」に
参加してくださった方々対象の
フォローアップを進行した。

昨日はまさに「進行役」で、
参加者の方の話を聴くことが主体。
最後に30分だけちょっとしたワークを
するという構成。

この感想などはあらためてアップしようと思うが、
その30分ほどのワークが、
余韻あるものだったと、
みなさんからの感想で知り、
そのことについて書いてみようと思った。

ワークは、
「感情に振り回されないために
 したほうがいいことを知る」ことを目的に、
まずは自分の感情について振り返るワークをしたのだ。

「人間はいろいろな感情を持っているが、
 下記のそれぞれの気持ちになるのは、
 あなたの場合、どんな時?
 思いつくものを書いてみましょう

 うれしいとき
 悲しいとき
 楽しいとき
 さみしいとき
 泣きたいとき
 幸せなとき
 むかつくとき
 ほっとするとき
 イライラするとき
 びっくりするとき
 こわいとき
 さけびたくなるとき」

参加者の方々は、7〜8分かけて、
それを考え記入した。

私は机に向かって考え、書いている方々の
背中をながめながら、
なんというか、すごくすごく感動した。

参加者は思春期の子どもをもつお母さんたちだ。
いつもは子どもや家のことを優先して、
自分のことを後回しにすることが多い方々。
その方々が、

「今、この瞬間は、
 自分の心や頭の中だけど
 会話している」

それが、私はとっても嬉しかった。

その後で、
各気持ちがどうして湧いてくるのかを
ちらっとお話した。

たとえば、

さみしさは、他者を求めるからこその気持ち。

むかつくのは、欲求が満たされてないからの気持ち。

などなどを。

つまり
気持ちってのは、
自分の本当にほしいものを教えてくれるメッセンジャーだ。

そんな大切なメッセンジャーを、
無視していると、
次から次へとメッセージは重なって、
頭の中も心の中も、
なにがなんだかごちゃごちゃとして、
ごちゃごちゃしたまま澱んでしまう。

気持ちはからだの中を流れるエネルギー。
流れているものを押し込めてしまうのは、
水をとどめてしまうと澱んでしまうのと
似ている。


人間、生きていくために、
澱んで腐敗させてはいけないと、
それを外に出すために、
大きな力を使わなくてはならなくなる。

その大きな澱んだ固まりを
誰かに投げつけるか、
自分に投げつけるか、

つまり、
誰かをひどく攻撃するか、
自分をひどく攻撃するか、

誰かをにくむか、
自分をにくむか。

それではあんまり、
生きていくのが大変すぎる。



つまり、
ひとつひとつの感情を
丁寧に扱って、
そこからメッセージを読み取って、
それを処理していくってことが、
「感情とうまくつきあって生きていく」
ってことだと思う。


参加者の皆さんの、
今集まってきている感想をよむと、
そこに集中した講座の開催を希望されているので、
11月くらいに
やってみようと思っている。

センシティブな題材だから、
今まで一度しかやったことないけど、
やってみようと、
背中を押してもらった感じ。

「感情とうまくつき合って
 生きていく方法」

 *静岡市で開催予定

 *今のところ、広く一般の方から
 募集しようと考えています
 (思春期の子どもをもつ親のための講座に
  参加されてなくてもOK)


興味ある方は、
非公開希望と書いて
コメントください。
メールアドレスもお書きください。
開催決定次第、お知らせしますね。










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そうだったの!「Born This Way」

【2012.09.13 Thursday 18:55
 
昨日テレビ番組の中で、
「ユーロプライド」というお祭りについて触れ、
ゲストで出演していた
レディ・ガガが「born this way」をピアノで
弾き語りしている場面が映った。
和訳が字幕で出て、
初めて歌詞をしり、意味がわかって、
そしたら涙がでてきた。

すごい歌詞だ。
この曲がはやったのは、
彼女のエキセントリックなファッションや
注目を浴びる言動だけが理由ではないと、
やっとわかった。

「born this way」は、

♪あなたはありのままでいい
 そのままのあなたが完璧なんだ。

がテーマの歌。

私はこうなる運命に生まれてきたの。
 他の道なんてないのよ。

と、今のそのままの自分を
全面的に肯定してくれる歌。


♪一文無しでも成功者でも、
 ブラックでもホワイトでもベージュでも
 チューラでも、
 レバノン人でも東洋人でも
 障害のせいで仲間はずれにされても
 いじめられても
 からかわれても
 自分自身を受け入れて愛してあげよう

 だってそれがあなたなんだから

 たとえゲイでも ストレートでも 
 バイセクシャルでも
 レズビアンでもトランスジェンダーでも
 間違ってなんかないのよ
 私は正しい道を歩いている
 生き抜くために生まれてきたの


なんて、なんていい歌なんだ。




どんなことがあっても
自分は大事な存在だ。

自分が自分であることに
誇りをもっていい。

自分は誇りある大切な存在なのに、
それは思わぬ形で脅かされそうになる時がある。

たとえば
誤解を含む悪口がとんできたり、
自由を奪われたり、
一方的に責められたり、
やってもやっても認めてもらえない
などという方法で。

それは辛い。

でも、他者からのそういう働きかけからなら、
まだましで、
自分で自分を大事な存在と想えない時ほど
心もとない時はないと思う。

自分なんて大したことないから、
この程度のいやがらせは、
我慢しなくてはと考えてしまったり、
自分なんてしょうもないし、
どうせ、言ってもきいてもらえないからと、
口を閉ざしてしまったり。

そんな思考の中に入りがちな時は、
辛すぎる。

この歌は、そんな時の応援歌だな。

本当はみんな、
自信を回復したいと思っている。




自分を責めてしまう時には、
親密な人間関係の中での無条件の承認こそが、
「自分は大事な存在なんだ」と思える基本中の基本だと
知っていたい。
近くにいる人が、
自身のことを大切に思えていないような時には、
このことを知った上での行動をしたいと思うんだ。


もちろん、この歌の中のように、
幼い時から、
あなたはOKという承認の言葉を
シャワーのように浴びているってのは、
すごくいい。


 ♪子供のころ、ママはこう言った。
 「私たちは生まれた時からみんなスーパースターよ」

♪「そのままのあなたで自分を愛するのは
  いいことよ」
 「だって神様はあなたを完璧に作ってくれたのよ」
 「だからちゃんと前を向いて前に進むの
  私の話をよくきいて」




でも、そういう体験がなかったとしても、
まずは、せめて自分は自分をそう扱いたい。

できないことがあっても、
失敗してしまっても、
やる気がでなくても、
なかなか立ち直れなくても、
他者の役にはたてない時も、
迷惑だってかけてまっても、

その自分。

順調な時だけでなく、
うまくいかない時にでも、
自分は大切な存在なんだと
自分でそう扱うこと。


凹んでいる時ほど、
丁寧に自分を扱う!
自分自身に問いかけたり、
自分自身に共感したり、
そんなふうに
自分を大事な存在として、
せめて、自分は自分をそう扱う。





そうして、そういう自分を、
その自分の中だけでとどめておくのではなく、
安全なバリアを少しうちぶって、
他者をも大切に扱う場へと、
出ていきたいよなあ。

自分を本当に大事に扱えた時、
他者のことも大切にできることの循環が、
いろんな人の人生の中にあるといい。




春に、アサーティブの仲間たちと、
カラオケで、
「born this way」を歌ったなあ。
♪born this way♪だけちゃんと歌って、
あとはホニャララな感じで
叫びながら歌った。
それはめちゃくちゃ気持ちよかったけど、
この歌詞を知っていたら、
もっと気持ちよかったと思うな。



 (歌詞の和訳はLady Gaga Japanのサイトより)



author : tanizawa-k
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夏の読書。

【2012.09.11 Tuesday 21:54
内田樹
ミシマ社
¥ 1,680
(2012-07-14)

夏の間に読んだ本の覚え書き。

「アスペルガーの館」
これはアスペルガー症候群の当事者であり、
夫がアスペルガー症候群をもっているから、
家族でもあり、
発育や発達の相談や発達障がい者関係の
原稿執筆や講演活動を行っているから
支援者でもある
井上由美さんが著者の本。

上手な例えで、分かりやすいと思った記述があった。
それは定型発達の人が、言葉を覚えるのつれて
他者とのコミュニケーションの方法を自然に学んでいく
こととは異なり、
彼女は療育をうけて、
トレーニングによって後天的に、
コミュニケーションの方法を獲得していったのだが、
それを、以下の様に書いている。

「この違いは、オートマ車とマニュアル車に
 例えるとわかりやすい。普通の人(原文のまま)
 がオートマ車のように勝手にギアチェンジすることを、
 私はマニュアル車のように、意識的にひとつひとつを
 ギアチェンジしながら行動しているのだ。療育とは、
 まず場面場面に応じたギアチェンジの必要性を理解
 させること、そして、トレーニングによってスムーズな
 ギアチェンジができるようにすることだと思う」

これは、アスペルガー症候群を持つ方々が、
他者とのコミュニケーションを取る時にのみ
いえることではないと思った。

15年前に初めてアサーティブを知ってから、
何年かは、ものすごく意識的に、
確かにそう言われていると、
ギアチェンジをするみたいに、
わざわざアサーティブにシフトして、
苦労しながら獲得してきた技術だ。

まだまだ、難しい場面はあるが、
それでもスムースに、
知らない間にギアをチェンジしていることがあるのは、
トレーニングのおかげだと思う。

しかも、私のもっているもうひとつの個性、
注意不足も、
ギアチェンジのトレーニングを日常の中で
積んでる。
忘れないようにするべきことをチェックボックスつきで
ホワイトボードに書く、
席をたって一歩足を踏み出すと同時に振り替えり
忘れ物がないかチェックする。
そうやってギアをいれて、自分の注意不足と
つきあっていく方法をスムースにしてきたもん。

この記述以外にも、
周囲との折り合いがつけにくい個性をもつ彼らの、
どこがどう困るのか、
その時にどんな支援が必要なのか、
とても具体的にわかる、とっても良い本だと
思った。


「街場の文体論」
「届く言葉」ってとういう言葉なのか、
これでもかこれでもかと、内田先生がいろいろな視点から
学生たちに語りかけた言葉をまとめた本。
わかりやすい言葉なのに、
一度通読しただけでは多分、本当には理解していないんだろうなと
読みながらも自分で分かってしまった本。


「教室に正義を!」
いじめをなくすってのは、難しいことだ。
だから、いじめはあると考えて、
大人は行動を選択していきたい。
いじめを防ぐにはどうしたらいいか葛藤し、
傍観者でいない選択をどう子どもたちに示すか考える。
いかに早くいじめを察知するか、
あると分かった時点で、どう被害者を守るのか、
傍観者でいる子どもたちへの指導法は?
教師や保護者ができることは?
ヒント満載の本。


他に
「子育てが終わらない」
「ひきこもりという子育て状態をどう終わらせることが
 できるか」というテーマで、
 キャリアカウンセラーの小島貴子氏と
 精神科医の斎藤環氏が対談したもの。
 子どもの自立を促すために成長期に親がすべき
 ことがいろいろな視点から書かれているが、
 私はこれを読んで、
 「思春期の子どもをもつ親のための講座」が
 間違っていない!というお墨付きをいただいた
 気がした。もちろん理論の上にたった方法で
 講座はプログラムしているので、今更お墨付きなど
 必要ないが、それでもこれからも堂々とやっていこう!と
 やる気満タンになった。
 
「伝える力教科書」
仕事で成果を出すための「伝える技術」を
わかりやすく書いた本。ほぼ、アサーティブと
同じ事を違う表現でいっているという印象。
著者のいう「伝える力」とは
「その場に応じて、相手に状況や心情を理解してもらい、
 自分の目的を達成できる能力」のこと。
ビジネスの世界のコンサルタントでもある著者が
「心情」という言葉を使っていることに勇気づけられる。

「ビクトール・フランクルの言葉」
フランクルの言葉を11のテーマ別に集めた本。
テーマとは、たとえば「生きることの『むなしさ』に
ついて」とか、「仕事について」とか、「時間と
老いについて」とか・・・
各言葉に出典も出ているので、
次に読む本を決めることができた。
それは「意味への意志」。
今それを読んでいる。


・・・という訳で、
この夏は小説を読まなかったことが判明。
小説も読まず、映画にもほぼいかなかった夏。
かさかさしていた訳だ。
秋はうるおうぞ!

author : tanizawa-k
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あるかも。でも、なんとかなるかも。

【2012.09.09 Sunday 17:34
今日はおでんを煮ている。
おでんにちくわをいっぱい入れて
煮るのが好き。
出来上がって食べるってのも好きだけど、
遠慮せず、思い切りちくわを食べられると考えると、
それで満足感があって、
煮ているっていう行為そのものもいい感じ。

先週、
確か静岡新聞に池谷裕二(脳の中の海馬の研究者)さんの
記事が掲載されていた。

記事の中に
ストレスの関する実験のことがでていた。

この記事では
ストレスは「予測」することと
「回避の方法」を持っているだけで、
ストレスをマネージメントできるという内容が
書かれていた。

(記事が探せないので似たような内容の
 文章をネットで探したのが以下)
 
 アメリカで、
 ストレスホルモンを10倍に増やす薬を投与して、
 実際に増えた量を検査する実験をした。
 あるグループはそのまま投与、
 もうひとつのグループは
 「今からストレスを増やす点滴を投与するけど、
  辛くなったら、点滴をとめる
  このボタンを押していいですよ」
 と指示してから投与すると、
 後者の方は、
 たとえボタンを押してなくても、
 ホルモンの上昇を8割を減らすことができた。

池谷さんは、この実験から、
ストレスを解消することは大事だが、それと同じくらい
「ストレスを解消する方法を自分はもっている」と、
自分で確認しておくことが大事だといっている。

さらに、自分はこういう時にストレスが日常生活に
支障をきたしやすいという、
自分にとって苦手な季節とか、
弱い状況とか、
負担がかかる出来事とか、
そういうことを知っておくと、
予測ができる。
(実験では「ストレスホルモンを増やす薬を
 投与しますよ」と宣言した件)

油断していたところへ
豪速球をぶつけられたらたまらないが、
予測ができてかまえていられたら、
大分受け止めやすくなる。

さらに、それが思わぬ強さで
自分に影響を与えそうになったとしても、
そうした時には、
この方法があると知っておく強さ。



私は、
人間関係を上手にやりたいという思いが強いから、
そのことで何かや起こると、
それはストレスとしてとらえやすい傾向がある。

まず、自分でそのことを知っておく。

しかし、
アサーティブを使って、
なんとかなると考えられる分、
今は、大きなダメージとならずにすむ。


さらに、大切なものを失った時、
その喪失感から回復するには、
時間がかかかる質だということを
自分で知っている。

しかし、
母も父も突然亡くしてきた私は、
時間がかかったとしても、
なんとか生きていけることもまた知ってる。

そのことを、
父や母は、最期に、
私に知らしめる経験をさせてくれた。


そして、喪失感で苦しい間は、
時々自分に優しくする方がいいと知っていて、
実は
おでんにちくわをいっぱい入れて煮るのは、
自分に優しくする行為のひとつなんだ。


そのことがあるって分かってるだけで、
本当に煮なくても日常生活に影響はないけれど、
私は今日は煮てみたんだ。

しかも、これを
義理の両親にお裾分けする。
この他者の役にたとうとする行為もまた、
結局は自分のメンタルを安定させると
知ってしまっている。



こういうことがあると、
ストレスあるかもしれないなあ・・・
となんとなく分かっていること。

でも、ストレスがあったとしても、
そういう時にはこうしよう!という方法を
持っていること。

それがストレスをマネージメントしながら
生きていくってことだよなあ。












author : tanizawa-k
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「調査員、やったことあるんですか?」

【2012.09.07 Friday 21:43
 今日は、
「統計調査員」対象の研修に、
アサーティブトレーニングの講師として伺った。

国勢調査や、様々な調査のために
市民に協力をあおぎ、調査書に記入を依頼する
活動をされている方々だ。

統計調査員をされている方々は、
活動の中でどんな課題を抱えているのか、
どんな葛藤があり、
どういう出来事に、どんな感情がわくのだろうか、
そのことが生活に影響することはあるだろうか、
あるとしたらどんな影響か、
それらの中で
コミュニケーションの力で解決できることは何か?

情報を集めて、
どんな事例を紹介しようか、
みなさんに考えていただく課題は何にしようか、
考えに考えて、
伺った。

結果的に成功だったと思う。

研修終了後、
何人もの方に、話しかけていただき、
何人もの方に、
「調査員、やられたことあるんですか?」
「なぜ、私たちの気持ちがわかったんですか?」
「私の一日を知ってるんじゃないかと
 思うほどだった」
「気持ちを分かってもらえて、
 その上で、どうしたらいいか教えてもらえて
 救われた」
などなど言っていただけた。

準備を丹念にしていって
よかったなあ。



それにしても、
調査には、これまでもできるだけ
調査員の方に負担をかけないように記入してきたが、
これからも、ますますそうしていこうと思った。
皆さん、本当に素敵な方で、
そしてがんばってらした。
記入いただくことや、
回収にご苦労されていた。
罵倒されたり、
居留守を使われたり、
キツい思いをされている方もいたし、
そのことで、家でちょこっと愚痴をはくと、
「なら、やめちまえ」的なことを言われてしまい、
軽い愚痴も気を使いながらはいているようだった。

私たちが記入した調査書がもとになって、
平均寿命がでたり、
景気があらわになったり、
失業率の割合や、
高齢化の進みぐらいなどが明らかになり、
そこから必要な政策が考えられている。

そのために、
頭をさげ、
しんどい思いをし、
一件のお宅に何度も足を運ぶ
統計調査員の方々。

彼らが誇りをもって仕事をされていくのを、
応援したい!って思った。

あ〜素敵な出会いがいっぱいあったなあ。



バーニー、私はがんばっとるよ。



author : tanizawa-k
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谷澤 久美子
counselor