2012年07月の記事 | 今のところではありますが…
「キリマンジャロの雪」

【2012.07.31 Tuesday 22:42


「キリマンジャロの雪」というフランス映画を見た。

労働組合の委員長ミッシェルは、
会社からリストラを余儀なくされて、
対象者20名をくじで選ぶことにする。
権限で自分をくじから外すことが可能なのに、
自分の名前を書いた紙もくじの中にいれ、
自らひき、退職する。
「公平でありたい」と考えたミッシェルの選択を
ヘルパーさんとして働く妻も理解する。
そんなある日強盗におそわれ、
結婚30周年をお祝いしてプレゼントされた
キリマンジャロへの旅行券と現金を
盗まれてしまった。
そしてその犯人は、ミッシェルと一緒に働いていて、
くじで当ててしまってリストラされた若者、
クリストフだった。
彼は父親の違う弟2人の面倒を見ていた。
面会したミッシェルはクリストフに
早期退職者でのんきに暮らしていると責められ、
「職を失って暮らせるか?
 新入りだったから解雇手当もない」
「(公平のつもりかもしれないけど)
 まず金持ちや共働きから解雇、
 給料や労働時間も減らす
 (という方法を思いつかなかったのか)。
 その方が汚い妥協よりましだ」
と言われ、
仲間それぞれの家庭の事情を考えずに行った、
くじが実は「公正」ではなかったと省みる。
そして、クリストフの弟二人の
面倒をみることにする。

ミッシェルは35年間、労組の委員長として
活動してきた。
「グローバル経済や経営者を責めるのは
 簡単だ。でも 勇気とは自らの人生を
 理解し、明確さを与え、深化させ確立し
 社会と調和することだ」
と妻に、
ジョレス(社会主義者・政治家)の言葉を
紹介する場面がある。
活動の目的や自らの経験や信念のようなものに
固執することをせず、
「社会と調和する」という「調和」を
大切にすることがすばらしいと思った。
自分を正当化する前に相手を知ろうと
する姿勢、それが本当にかっこいい。
しかも、そも相手は、
家族や仲間たちから送られた
大事なプレゼント奪った相手なのに、
しかも、労働組合の闘争の歴史も、
戦ってきたからこそ労働者の権利を
ひとつひとつ勝ち得てきたことも、
ろくに知らない相手なのに。
それなのに、彼の言葉に耳を傾け、
受け止め、考えるミッシェル。

またこのミッシェルの妻が自立している。
娘にパートナーの浮気を相談されて、
彼女は
「どうしたいかはあなたが決めるしかない」
と応える。
そして、ママのように自分の人生を犠牲に
しろっていうの?とトンチンカンな質問を
する娘に、
「看護学校をあきらめたこと?
 それは自分で選んだ道よ。私だけの道。
 自分で辞めたの。
 昔も今も自分の人生が好き。
 パパやおまえたちがいたから、
 私が望んでいた世界だったもの」
と言う。

お互いを尊重していて、
自立した存在同士であるミッシェルと妻は、
お酒を飲みながら、
二人は周りからどういうふうに見えるか
なんて話をする。妻は
「二人をみてこう思うかも。
 幸せそう。今まで誰も傷つけてこなかった
 からだわ。人を世話してきたからこそ、
 幸せそう。そう見えるかも」
そう言う。
いいなあ。

そしてそういう二人が出した結論は、
クリストフの弟たちを、
彼が刑期を終えるまで
育てるということ。
会社のことや社会全体のことや、労働者の
人としての権利のことを考えてきた彼らが、
そういう大きなことにだけ捕われずに、
目の前にいる困っていると思われる人に
手を差し伸べる二人が、
まぶしいと思う。

幸せとは
最初は「もらう」幸せ、
次は自分で「できる」幸せ、
さらに「してあげる」幸せ。
これは
イエローハットの鍵山さんの言葉だけど、
「してあげる」幸せを知っている二人は、
豊かなんだと思う。


この映画が私にとってとても良かったのは、
以下の3つ点から。

①最近、労働組合の活動ってことに関して考える
機会があったことで、
だからこそ、
労働組合の同志たちの間の格差の重みを、
なんとなく理解することができた

②自分の意見、考えに固執するのではなく、
相手の意見や考えを知ろうとして、
自分の方法にこだわるより、
最良の方法を考えようとする姿勢のお手本。

③尊敬しあい、生き方を認め合う
夫婦の姿を見ることができた。



6月〜7月は
なんだかばたばたして
映画をあまり見られなかった。
その中の一本が、
こんなに素敵な映画だったことが、
うれしいなあ。







author : tanizawa-k
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「どちらか」ではなく「つなげる」(改)

【2012.07.29 Sunday 18:39
オリンピックの開会式では、
イギリスという国の奥の深さというか、
成熟っていうか、
それを見せつけられたように思った。

人権活動家と国連の事務総長の対等な立ち位置。
スーパースターではなく、
7人の若者が聖火の最終ランナーだったこと。
聖火の点灯の発想が、「力を合わせる」とか「集める」
に基づいていたこと。
選手や、審判に加え、コーチの宣誓もあったこと。


「一人一人が人として本当に尊重される社会にしたい」、
「その一人一人がつながる社会を作りたい」、
そのことは、
人が二人以上集まれば権利の衝突が起こるわけだから
ほんとに難しいことだけれど、
それに挑戦していこうとしている姿勢を
見せてもらったような感じがした。
(↑そんな意図があったかどうかは分からない。
 単なる私の感想)


で本日朝、TBS「サンデーモーニング」では、
「地球温暖化」について特集していて、
世界各地で起こっている自然災害についてや、
経済か環境か、どちらを優先するかなどと
言っている場合ではない!
ってことを提案していた。

中村桂子(生命誌研究者/JT生命誌研究館館長)さんという方が、
エコノミーとエコロジーとエネルギーの
それぞれを分けて考えるのではなく、
つなげて考えるようにしていかなければならない
と発言していたことが非常に印象的。

2者択一ではなく、
違う価値観などのつながれる部分を見つけ出して、
そこを大きくしていく考え方だ。



そのことと、
開会式で受けた感動は、
まったく違うものではないように思った。

それは豊かとか、成熟とか、「つなげる」という
言葉上だけの共通点ではなく、
もっと、
切羽詰まったようなもの。

イギリスはユーロに参加しないという選択をして、
ヨーロッパの経済危機を考えた時、
それは先見性に満ちた選択だったようにも思うけど、
でも、
だからって、
近隣国の困難から距離をおくことに対して、
本当にそれでいいのかや、
しかし自国だって何も問題がない訳ではないから、
キレイごといってもられない・・・
など、きっとわからないところでの迷いや
複雑な思いがあり、
そんな中でのオリンピックってことが、
この開会式での寛容さや人権意識や
共生やサスティナブルなどの表明に
なっているような気がしたな。

そして、日本の現状では、
「どちらか」ではなく「つなげる」発想や意志が
ぜひとも必要だということは、
もっと切羽詰まっていて、
これからのエネルギーのことも、
消費税のことも、
社会保障のあり方も、
議員の数も、
若者の就労のことも、
いじめについても、
また被災地の復興のことも、

もう、AかBかではなく、
AのこともBのこともよく知って、
それらの重なり合う点を広げたCや、
全然別のDなど、
それこそたくさんの選択肢をもたないと
にっちもさっちもいかないように思う。



と日曜の夜にここまで書いて、
とっちらかっちゃったので置いといた。

以下は月曜、ある仕事から戻り書いた。





そして
日曜の夜は、
柔道の判定方法に「それじゃあ、勝った方も負けた方も
せいせいしないじゃん!」とカチンときて、
またアーチェリーの三人組にはほのぼのとし、
そうしながらも、月曜の先生方対象の研修の内容を
最後まで迷いに迷い、
ま、こうなったら、3種類のことを考えておいて、
あとは先生方の感じをみて随時決めていこう1
ということにした。

迷ったのは、
予防的教育プログラムについてにするか、
先生方がほっとできる時間作りにするか、
感情について学んでいただく時間にするか、
どれにするかだった。

で、今朝起きたら、
そうか、
それも「どちらか」にしなくていいじゃん!と思った。
とりあえず、最初に決めた
「予防的教育プログラム」について説明をしながら、
先生方の感じをみて、
ほっとできる時間を作ったり、
感情についてもちょっとは学んでいただく、
それらをつなぐ時間にできたら、
これはいいな!って思った。


校長先生も、その考えに同意を示してくださり、
そこでおおいに背中を押していただき、
さらに、会場に足を運ぶと、
なんと、お茶とお茶菓子の用意を、
養護教諭の先生がしてくださってある。
ほっとできる時間作りに関しては、
私の方で特に何もやらなくても、
これで十分だと思えるような
温かいおもてなしの気持ちが伝わってくる。


で、研修を進めながら、
先生方のどちらにいきたいのかの方向性を
探りながら、私の伝えたいこととの
共通項をふくらませながら、
なんとか務めることができた。

そんなこんなも、
「どちらか」でなく「つなげる」と
言語化しておいたおかげだな。
そうすると、
意識的にできて、
なかなかいいものだぞ。
























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「聴く」練習の後に「伝える」練習は効果的。

【2012.07.26 Thursday 22:02
ここのところ、
研修で、
カウンセリングの方法について
担当することが多い。
当然、話の「聴き方」ということになる。

それを学んでくれた方々が、
次に「伝え方」を学んでくださるといいな。

コミュニケーションはキャッチボール。
受けて(聴いて)、投げる(伝える)。
両方できて、
よりよい人間関係につながっていく。

投げる方を学ぼうとされた時、
アサーティブを選んでくれたらいいな。

アサーティブは自他尊重のコミュニケーション。
自分も相手も大切にする自己表現。


相手を大事にするってどういうこと?

それは相手の話をしっかりと聴くこと。
たとえ価値観や考え方や方法論や優先順位の考え方が
違う人であっても、
その方の話をしっかりと聴くこと。

自分を大事にして表現するってどういうこと?

それは自分の伝えたいことを、
できるだけ相手に伝わるように
工夫して伝えようとすること。

そして伝える前に、ちゃんと自分に聴くこと。
自分は何がいいたいんだ?どうしたいんだ?
どう感じていて、どうしてほしいんだ?


そのことを、
がんばってやってみよう!じゃなくて、
ちゃんと理論がある。
理論に基づくスキルがある。

安心できる場で
段階を踏んで練習することで、
少しずつ自分のものにしていく。


相手とうまくやるためには、
ただただ相手に合わせることだと
思っていた人にとっては、
ええ?言ってもいいの!
とうれしい驚きがあると思う。

自分の言う通りにすべきで、
相手がわかってないからちょっときつく
言ってるだけなのに、なんだか言い過ぎて、
夜寝る時にチクっとする人にとっては、
大声だしたり、きつく言ったりしなくても、
伝わる方法があることに、
やっぱりうれしい驚きがあるだろう。

お願い下手、
誘い下手、
指示下手、
注意下手、
断り下手、
代替案下手、
ほめ下手、
ほめられ下手。

自分が、何かが下手だなって思ったら、
それはチャンスだもんなあ。
そんな方々に、ぜひぜひチャンレンジしてほしい
アサーティブ・トレーニング。
この夏、静岡で開催します。

アサーティブトレーニング基礎講座
2012年8/25(土)26(日)
場所: 静岡県教育会館(静岡県静岡市)
時間: 2012年 8/25(土)10:00〜17:00  
          26(日)9:30〜16:30
対象: 一般(2日間通して参加できる方)
費用: 29,500円
定員: 21名
講師: 谷澤久美子(アサーティブジャパン認定講師)
申し込み、問い合わせは 
http://www.assertive.org/b/b_2_1/index.html#kiso


*このブログは、
NPO法人アサーティブジャ パン認定講師である
谷澤久美子が個人で開いているブログです。
このブログに関する全ての責任は谷澤久美子にあります。
NPO法人アサーティブジャパンが
運営・管理しているウェブサイトではありませんので
 予めご了承ください



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育成の方法。今のままでいいか?

【2012.07.25 Wednesday 22:32
10年間、月に一度通っている美容院。

10年通っていると、スタッフの方の変遷などがわかる。
マッサージがとっても上手だった女性はアメリカにいき、
ある女性は産休後復帰し子育てしながら仕事を続けているし、
また、ずっとアシスタントだった方が、
お客さんを担当するようになるまでの課程なども、
なんとなくわかる。

先月はまだシャンプーやドライヤーやカラーリングの担当
だった男性が、
今月は、髪を切っていた。

はさみを持つ手が、私の位置からから見えて、
じーんとした。
この店に入って、たぶん5〜6年はたったと思う。
欲がない感じでさわやかな青年だ。
あ〜、仕事が終わってから、
どれだけのカットモデルの方の
髪を切ったんだろう。
どれだけ失敗して、
どれだけの時間、練習を重ねたんだろう。

って思って、ふと
新採の教師のことが頭に浮かんだ。

一年目の学校の先生。
緊張しながら、各校でがんばっている
先生方。


学級経営ってことは初めて、
三者面談も、いきなりぶっつけ本番、
体育祭や合唱の指導も、
手探りでやっている。
もちろんサポートはある。
新採の担当の先生からの指導はあるらしい。
でも、それにしても、いきなりって、
やっぱ、それって、大変だよなあ。

美容院の世界では、
お客さんの髪を切るまで、
練習、練習、練習をする。

企業の営業職も、最初から担当のお客さんのところに
一人でいくことはたぶんないはずだ。
何回か先輩と一緒にいき、仕事を覚えて
引継となるのではないだろうか?

職人系の仕事はトレーニングを十分にするし、
事務や営業系の仕事は、細かい指導があって、
はじめてお客さんを目の前にするんだと思う。


新採の先生が手がかりにするのは
同じ学年の主任の先生からのアドバイスと、
自分の担当の先生からの指導と、
自分が生徒だった頃の先生の記憶だろう。

どんなに不安だろうか。
心細い瞬間が、いっぱいあるだろうなあ。


私は明日はまた、幼稚園の先生方の研修を担当する。
幼稚園の先生も、きっと「先生」になった瞬間から、
ぶっつけ本番の毎日なんだろうな。
その中で、
情けなさも、不安も抱えながら仕事を続け、
成功体験や、子どもの成長の喜びを少しずつ重ねて、
今をがんばってやっているんだろう。

その先生方の役に、少しでもたちたいな。
私の持っている技術や理論が、
先生方の保育の後ろ盾のひとつになるといい。


ま、そう思いながらも、
先生の育成方法って、
もう少しなんとかした方がいいのではないか、
そう考える。
でも、
そう提案すると、きっと、
「でも、今まではこれでやってきた」って意見を
浴びせられそうだ。
その意見はわかる。

しかし、保護者の方が、
今年度の担任を「当たった」「今年はあきらめた」と評価したり、
先生方の精神疾患による長期休暇の件や、
不祥事などは、
今の方法がすべてOKという訳ではないことを語っている。

さらに、「いじめ」という、
そここそ学校で向き合っていかないとならないことを、
報道や裁判や警察や第三者委員会に任せないとならない
学校もある現実は、
今までの方法を分析して、
良いものは良い、
変えていった方がいいことは変えていくってことが
必要に思う。

うまくいっていることもたくさんあるから、
それはきっちり残して、
しかし、改善した方がいいことは、
改善していく!

そんなことをつらつらと、
白髪を染めてもらいながら、
はさみを持つ彼の手を見ながら、
考えていたんです。


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コミュニケーション、質の前に量。

【2012.07.24 Tuesday 21:55
 今日は幼稚園の先生方の研修を担当した。

子どもとの対応で大切にしたいことの確認。
保護者の方との信頼関係を作る聴き方。

そして、
子どもの価値をみつけ、
保護者を励ますように、
自分の価値を自分でみつけ、
自分を励ます時間を作る

その3つを目的とした。

幼稚園の先生方は、
子どもへの対応方法は、
さすがにプロで、

子どもたちが、
口に出して表現できる言葉の裏側には、
わかっている言葉たちがあって、
それは今はまだ口には出さないものでも、
わかっている言葉を
どれだけためてあげられるかが、
表現できる言葉の数を増やしていくこと。
そのことを
意識しながら
声かけされてることがよくわかった。

だから、できるだけたくさんの言葉がけ、
特に
共感の言葉をかけてあげることも、
日常の中で当たり前にやられている。

また保護者の方との関係も
良好に築かれていて、
もっともっと信頼関係を作っていくことこそ、
子どもに返っていくことを、
意識されていることが明確だった。

しかし、それに比べると、
自分の価値を自分でみつけることに関しては、
後回しの感じだった。

雇用のあり方が、
正規、臨時、講師の方といろいろで、
それによる立場の違いは、
きっとそれぞれ葛藤を呼んでいるんだと思う。
でも、そのことも胸の中におしこめている感じだった。

日頃のちょっとしたひっかかりや
心配事、不安な事、
それらは、どうしても
口に出す優先順位は低くなる。

研修などでわざわざ時間をとって「話す」という
機会を作らないと、
忙しい日常の中ではなかなか話すチャンスを
作れなかったんだなあ。

まして無駄話などできる隙間なんかないようだった。

今日は3つの園の合同の研修会だったが、
園長先生方は、

先生方の話を聴いてきたつもりだったけど、
自分が思っているほどには、
聴いてきてなかったことに、
びっくりしたと感想を話してくれたり、

先生方が自分のストレスを発散するような時間さえ
もてていないことに、
改めて気がついたとおしゃってくださっていた。

幼稚園教諭をめざし、せっかくがんばって狭い門を
くぐりぬけて採用されたのに、
いろいろな葛藤の中で
続けることをあきらめてしまう方もいるが、
それは大切な宝物を失うように辛いと、
園長先生方はおっしゃったが、
若い志を見守るための方法のひとつとして、
こうやって聴きあう時間や
日常の中で無駄話もできる雰囲気作りは、
たぶん効果があるのではないか。

無駄話は、安心な場であるからこそできることだし、
いきなり深い相談はできなくても、
毎日の無駄話が相談のウオーミングアップになる。
コミュニケーションの量が少なくなると、
報告・連絡・相談・確認という
仕事上のコミュ二ケーションの質も下がってくるもの。

夏休み後の幼稚園での生活の中で、
そのことが意識されるといいなあ。



それと、
先生方がたくさんの無理を重ねて
どうにもならなくなる前に、
事が小さいうちに「無理だ」ってことを伝えたり、
あるいは若い先生方に指示する時、
方法を工夫することで若い先生方の理解を早め、
行動が取りやすくなれば、
お互いの負担がへるので、そのための方法など、
つまり、
コミュニケーションの方法を学ぶ機会を
提供することもひとつかなと思う。

そんな時には、
ぜひぜひアサーティブトレーニングを
思い出してくれるといい。
本当にそう思う。


author : tanizawa-k
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関西方面の方、お見逃しなく!

【2012.07.22 Sunday 15:14
対人援助職、
たとえば、医療・福祉・教育の専門職についている方対象の、
アサーティブの入門講座が、
大阪で開かれる。

私が属しているNPOアサーティブ・ジャパンの
関西のメンバーたちがグループを作り、
そこが主催する講座。

対人援助の仕事をされている方は、
様々な葛藤があると思う。
たとえば
援助する方への援助方法において、
組織の中での価値観や方法論や優先順位の考え方に
違いがあったりして、
なかなか事が進まなかったりすると、
忸怩たる思いをされるんじゃないか。

また、
組織外の方との連携や調整において、
相手の要望ばかりを受け入れてしまうと、
こちらの組織として厳しい条件になってしまったり、
建設的に妥協したり折り合いをつけたりするためには、
コミュニケーションの力が試されることも、
よくあることなんじゃないか。

また、個人の中でも、
やってあげたいことと、
法律やシステムの中でやれることとのギャップに
悩まれたり、
どこまでやっても不全感のようなものが
つきまとってしまって
しんどかったり、
ま、
いろいろ抱えながら仕事をされている方は
多いのではないか?

そんな方々のもつ課題は、
もちろんコミュニケーションだけで解決できること
ばかりではない。

でも、
コミュニケーションで解決できることは、
少なからずある。
コミュニケーションを上手にとることで
解決していかれることを
解決していくと、
肩にのしかかるたくさんの重荷が、
少しずつ軽くなり、
より良い援助に繋がっていくのではないだろうか?

解決のための一歩を
この講座で体験していただけるといいなあ。


開催日は7月28日(土)で
間がないが、
あとまだ4〜5人は枠があるとのことなので、
この機会に、
ぜひぜひ関西方面の方は特に、
そうでない方も、
体験されるといいと思う。


対人援助職の方対象
 自分も相手も大切にするコミュニケーション
〜アサーティブネス入門講座〜
7月28日(土)10時30分〜3時30分
開催場所 大阪市立 総合生涯学習センター 第5研修室
講師 NPO法人アサーティブジャパン 認定講師 谷水美香さん
詳しくは以下に
 http://www.assertive.org/b/b_3_2/




///////////////////

ついでに8月25日/26日の静岡で開催される
基礎講座のお知らせも。
こちらは一般対象。どなたでも参加いただける講座。

周りとの関係を気にするあまり、
言いたいことをついつい飲み込んでしまう方。
言いたいことを言っているつもりが、
何がなんだかわからなくなってしまう方。
どうも、何度言っても相手に伝わってないなと
思う方。

コミュニケーションをもっともっと上手に
とりたいなあ!と望む全ての方に、
参加いただきたい講座。


アサーティブトレーニング基礎講座
2012年8/25(土)26(日)
場所: 静岡県教育会館(静岡県静岡市)
時間: 2012年 8/25(土)10:00〜17:00  
          26(日)9:30〜16:30
対象: 一般(2日間通して参加できる方)
費用: 29,500円
定員: 21名
講師: 谷澤久美子(アサーティブジャパン認定講師)
申し込み、問い合わせは 
http://www.assertive.org/b/b_2_1/index.html#kiso


*このブログは、
NPO法人アサーティブジャ パン認定講師である
谷澤久美子が個人で開いているブログです。
このブログに関する全ての責任は谷澤久美子にあります。
NPO法人アサーティブジャパンが
運営・管理しているウェブサイトではありませんので
 予めご了承ください
author : tanizawa-k
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ちょっとだけ 待って。

【2012.07.21 Saturday 10:55
夏休み前の、小中学校の通常の活動が終了。
ここから9月までは校内研修の講師や、
コミュニケーション講座の講師の仕事中心になる。
大人が対象の仕事だ。


子どもたちとの関わりがないのが
ちょっとさみしいな。

中学生のこと
分かりきれないのが申し訳ないけど、
こんな気持ちのこと、
あるんじゃないかな?
と書いてみた。
//////////////////

<ちょっとだけ、待って>

ちゃんとしなさいって言われると、

心の中が真っ暗になるんだよ。


説明しなさいって言うから、

なんとかかんとか話してるのに、

言い訳はいい!と言われると、

心の中が固くなっていくのが分かる。


どうせ、最後までできないんだからと

勝手に決めつけられると、

心の中が冷たくなって、

汚い言葉で頭の中がいっぱいになってしまうんだ。


お兄ちゃんは言われないでもやったよ、

そんなふうに比べないで。

心の中が嵐みたいになって、

いろいろぶちこわしたくなるんだよ。




ほんとは優しくなりたいんだ。

ほんとは友だちと仲良くしたいし、

宿題はちゃんと出したいって思ってる。



ちょっとでいい。

ちょっとだけでいいから、

だまってて。

だまって、待っててほしいんだ。

みんなみたくうまくはいかないかもしれない。

大人が望むみたいには

やれないかもしれない。



でも、やれるとこまではやってみたいんだ。

それを言葉にできないのは、

そう言って期待されても困るから。

自分でも自信はないんだ。

結局やれなかったらと思うと、

自分でも怖いんだ。

でもね、

でも、

このままではだめだってこともわかってる。

だから、

だまって

待っててほしいんだ。




みんなが心配してくれてるのは

わかってる。

心配してくれているのなら、

ちょっとだけでいい、

だまって

待っててほしいんだ。


大人のスピードに、

巻き込まないで。

ボクにはボクの歩幅がある。








author : tanizawa-k
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「新型うつ」にも「ひきこもり」にもさせたくない。

【2012.07.19 Thursday 18:51

少し前「AERA」という雑誌に、
「新型うつにしない子育て」
という特集があった。

私はこういう単純な切り口はあまり好きではなくて、
なぜ好まないかというと、
このタイトルをみたら、
新型うつ(←だいたいこの病名にも懐疑的な私)
を発症する原因は育て方にあるという
断定的な感じを受け取るからだ。
確かに家庭環境は
人間の育ちに大きな影響を与えるけれど、
原因をそこに限定する考え方は、
私は受け入れられない。

という部分もありながら、
でも
この特集は、よかった。

AERAによると新型うつとは、
 20〜30代の若者に多いとされ、
 従来型のうつ病と同様、不眠や頭痛、
 気分が悪くなるなどの症状をきたす一方、
 常にうつ状態が続くわけではないのが特徴。
 職場(や学校)を離れると回復し、
 趣味など好きな対象には活動的になるとともに、
 うつになった原因は自分ではなく
 上司になど他人にあると考えるなど、
 「他罰的」な言動が特徴だといわれている。

そしてこの記事に協力している成田奈緒子医師によると
「病気ですが、精神面の未発達によって起きる
 不具合だといえる部分もあります」
とのことだ。(病気という考え方だけではない
 ことが、ものすごく納得!)

彼女によると、この症状をもつ方は、
認知が正しくもてない場合が多く、
それは育ってきた中で
たとえば親の過干渉で、なんでも先回りして
転ばぬ先の杖を用意されているから、
小さな挫折を自分の力で乗り越えていない、
つまり「トライ&エラーの未経験者が
多いのだそうだ。

そして、彼女は
「我が子を新型うつにしない方法」として
①生活リズムを整える
②過度に干渉しない
特に会話中、子どもの言葉に
 自分の言葉をかぶせない。
 話し出すのを待ってやる)
③10歳までに感情をありのまま出させよう
 に加え、
親側も「いい子」にならず自然な情動を見せることで、
「大人の不条理や矛盾」を学ばせることも大事
と言っている。

①の生活リズムに関しては、
幼い頃に、リズムが整った生活を
していることが大事で、
今現在思春期の子どもが多少荒れていても、
私は問題ないと思っている。
そして
②と③はめちゃ大事だと思う。
②は、子どもには失敗する権利があることを、
何度も何度も、繰り返し大人側が意識しておく
ことが大切だと思うし、
③は10歳までにできていればラッキーだけど、
10歳すぎてから気がついた時は、
そこからやればいいと思う。
10歳すぎてからは、ちょっとしたコツがあるので、
感情の表出に対して我が家は不十分かな?と
思い当たる方は、
子どもさんが小中学生なら学校のカウンセラーなどに
相談するといいと思うな。


そして、これ以外に、
12のポイントを書いてあるのだが、どれもめちゃ納得して、
考え方に大賛成だし、
子育て講座で私が話してきたことと同じで、
やはり、この方法でいいんだなと確認できた。



で、その後、
「子育てが終わらない」という本をよんだ。

この本は、「ひきこもり」が高齢化している現状の中で、
二人の著者が
「ひきこもりという子育て状態を
 どう終わらせることができるか?」
というテーマで話してきたことをまとめたもの。

ここに書かれていることも、十分に納得できること
ばかりで、
子育てから早く親がおりる、
つまり自立を促すために紹介されている
いくつかの方法の中から、
特に、
肯定的なメッセージの発信
承認の積み重ねが大事
子どもに迷う時間を与えよう!
無駄話しをしよう
感情を引き取ってあげることが大切
オープンな質問で子どもに話すチャンスをあげよう、
親子間は以心伝心でないほうがいい。会話の中で
希望や欲求を表現できる方がいい
など、
もう、本当にまったく同意だ。

そして、両方の情報から、
親となる前に、
「感情」について学んでおくことは、
これからの子育てには必要なことだと考えた。

前者の方では、
「10歳になるまでに感情を
 ありのまま出させよう」とあるし、
後者では
「感情を引き取ってあげよう」がある。

どちらも、なぜそのことが必要で、
具体的にはどうしてあげたらいいかは、
学ばないとわからないと思う。


そして、感情について学んでいないと

泣いてる子に対して、
「いつまで泣いてるの!」(怒)
となる可能性はあるけど、
学んでいれば、
(泣きたいくらい、
 何かあったんだなあ)
「どうした?」となると想う。

そのことがどれだけ子どもの心を育て、
また保護者の方々の気持ちを
楽にさせられるかと想うんだ。


とはいえ、学ぶのはどの段階でもok。
子どもが思春期を迎えかかわりにくくなった時でもいい。

人間はいくつからでも、
 どういう状態からでも回復できるから、
気がついた時が学びだよなあ。

さていよいよ夏休みだ。
夏休み〜9月は、
保護者の方や先生方への講座、研修が多い。
「感情」について、
話してみようと考えてる。

がんばるぞ〜!!!






author : tanizawa-k
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編集する力

【2012.07.16 Monday 16:01
ブリジストン美術館で
「ドビュッシー、音楽と美術
 〜印象派と象徴派のあいだで〜」
を見てきた。

これはドビュッシー生誕150年を記念して、
オランジェリーとオルセーとブリジストン美術館が
共同で企画した展覧会。

ドビュッシーが生きた時代には、
音楽、美術、文学、舞台芸術などが影響し合って、
時には共に作品を作り上げたりしたらしい。
この展覧会は、
ドビュッシーが影響を受けた画家たちと、その作品を通し、
どんな影響の末、どういう曲ができあっていったかを
紹介している、
本当におもしろい切り口だと思う。

印象派の作品を集めましたとか、
ゴッホだけの作品を集めた展覧会とか、
そういうものでも十分楽しいけど、
こういうキュレーターの編集の力を感じる展覧会ってのも、
いいなあと思った。

今回特に私が注目したのは、2点。
1点目は、モネがベリールという場所の海を描いた2つの作品だ。

モネはドビュッシーに
海を描こうと思ったら、
毎日、同じ時間帯に、同じ場所から海を見るように
言ったんだそうだ。
一回や二回で分かったような気になるな!的なこと。
しかもそれが、同じ時間帯、同じ場所からではないと、
意味がないし、
50回は通って描かないと!と。

なんだか、自分のことを振り返ると、
何回か同じ対象の方々にコミュニケーションの研修講師をして、
大分、その対処者の葛藤や課題点が掴めた気でいたけど、
やっぱ、甘いよなと、この2点の絵をみながら思ってしまったな。

あのモネでさえ、そうなんだしい。
分かったような気になるな、自分!だよなあ。


それからもう一点は
これは、北斎の影響を受けて
「海」というタイトルの曲の楽譜の表紙に
ドビュッシー自らが描いた絵。

自分の中で守りたいことやこだわりたいことは
大切にしながらも、
様々な刺激には素直であること。

どんなものも、たとえばそれが自分の方法でなくても、
一旦受けとめて、
受け入れるか入れないかは、
その後判断していったことが、
よくわかる。

一旦受け止めているうちに、
インスパイアされ、
深く心を動かされる場合もあれば、
そうでない場合もあり、
でも、一旦受け止めない限り、
何を見ても聴いても読んでも、
素通りしてしまう。

この一旦受け止めて、
ってすごくいいと思う。
ドビュッシーって人は、
多分、それがすごく上手だったんじゃないか。


この展覧会は、
音声ガイドを使うことをおすすめ。
なんてたって、
音楽を聴きながら作品を楽しんだほうが、
絶対いいと思う。




さて、この展覧会に誘ってくれたのは夫。
彼は意識してるか無意識かは分からないが、
「メンテナンス」の重要性を
よく分かっている人で、
生産的なことに+して、時々、
お互いの日常をメンテしたり、
お互いの関係をメンテしたりすることを
提案してくれる。

この展覧会を見ながら、
谷中/根津あたりを散策して、
私の大好きな貝料理の専門店で食事するような
一泊二日の息抜きの時間をすごした。

今年度は、ここまで出張が多くて、
私自身結構ハードだったが、
この二日は、そんな自分へのご褒美になった。
また、出張の間、家のことや
バーニーの世話を一手に引受けてくれた彼。
本当に大変な思いをさせてしまった。
感謝でいっぱい。
そんな彼にも
ちょうどいいお休みになってたらいいな。

こういうメンテは、本当に大切。

さ、また、明日から、がんばろう1








author : tanizawa-k
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仕事を先へと進めるために。

【2012.07.13 Friday 21:26
ある組織の新入社員さんへの研修を担当してきた。
入社直後は宿泊研修を受け、
その後本社での通いの研修があり、
配属先が決まった後は、そこでOJT。
そしてまた本社での通いの研修を終え、
配属先で本格的な仕事を始めて一ヶ月ちょっとのところ。

依頼された仕事の優先順位は分からず、
失敗しては自分を責め、
仕事が残ってしまっても、
まだ残業はしないように指導されているから
先輩たちに迷惑をかけることになり、
質問をしたくても、いつ声をかけていいのか
わからず・・・
そんなびくびく、おどおどの毎日。

今日は久しぶりに同期の仲間と会い、
リラックスした中で
ざっくばらんにいろいろな話しをしながら、
アサーティブなコミュニケーションに
ついて学んでいただいた。

ゆとり世代とか、
いろいろ言われることもあるようだが、
今日研修を受けてくれた彼らは、
真摯で、一生懸命で、素直だった。

早く一人前になりたい、
もっともっと配属先の方達の役にたちたい、
仕事ができるようになりたい。

そういう思いが根底にあるだけに、

「優先順位を教えてほしい」
「昨日教えていただいたことで
 わからないことがあるので、
 もう一度教えてください」
「メモを取る時間を5分ください」

などという、取り組みたい事例が
後から後から出てくる彼ら。

まずは、それを伝えるとしたら、
どういう状況の時に伝えたら伝わりやすいか、
彼らに考えてもらった。

優先順位がわからないと20分くらい
やる仕事がなくなってしまうから、
先輩は忙しそうだけど、
今質問する・・・
ではなく、
朝の始業前のちょっとした時間に、
「先輩、
 いろいろな方からいただく仕事の
 優先順位がわからないことがあって、
 午後の時間帯に20分くらい
 あいてしまうことがあり、
 困ってしまうんですが、
 そういう時、話しかけるのは、
 いかがなものでしょうか?
 質問してもいい時間帯があれば
 教えてください」
と質問しておくとか、

教えてもらっている最中に、
こちらからの要求をするのではなく、
就業時間外、つまり、朝か仕事終わりに、
「すごく困っていることがあるんですが、
 10分いただきたいんですが、
 きいていただけますか?」
と伺い、その上で、
「ミスが続いて迷惑をかけていることが、
 本当に不甲斐なく思っています。
 自分なりにどうしたらいいか考え、
 ひとつ、お願いがあります。
 いろいろ教えていただいる時、
 メモをとる時間を、5分いただきたいのです。
 いかがでしょうか」
などと相談しておく。

言いにくいし、
忙しそうだし、
と先送りすることが
正しい気遣いではなく、
仕事を先に進めるためのお願いや相談や質問は、
時と場所を選んで、
つまり、
相手に迷惑をかける時間帯にわざわざ言うのではなく、
相手も余裕をもって聴いていただける時間帯に
きちんと伝えることがベターだと思う。

その積み重ねが、
早く仕事を覚え、
正確でスムースな仕事に
繋がっていくと思う。


あ〜今日も心底、
がんばれ〜〜〜〜!
と思ったなあ。

今は経験が足りないし、
わからないことだらけで、
めちゃ苦しいかもしれないけど、
でも、
この苦しさは、
みなさんの栄養にきっとなる。
っていうか、
栄養にできる。

栄養にするためにも、
自分のことも大切にしながら、
仕事をしていってほしいなあ。


担当の方も、
ロールプレイに取り組む姿をみていて、
涙が出そうだったとおっしゃったが、
私も、
感動した。



彼らより大分先に社会に出た私たちが、
より良い仕事していくための努力って、
結構いいものなんだと、
取り組む姿勢で伝えていくこと。
それ、やっていきたいなあ。

あんなにマジメに取り組んでくれた彼らの、
お手本までにはなれなくても、
なんか、いいじゃん、
くらいな感じの人間でありたいんだよなあ。

がんばろう。





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谷澤 久美子
counselor