気質に抗うな。気質と共に行け。 【2012.04.26 Thursday 22:18】 |
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読み終わったばかりの 「心をはなれて、人はよみがえる」(高橋和巳著) に、 生まれながらに持っている気質、体質は その人の生き方の基礎になっていて、 それを矯正しようとすると、 苦しい生き方になってしまう・・・ ということについて すごく理解しやすい表現があった。 「赤ちゃんの額に蠅がとまったときに、 振り払う動作をする子と嫌な顔だけして あまり動かない子との違いは、 生まれつきの気質の違いである。 DNAに基づいた反応の差である。 前者の子がすくすく育てば、 好奇心旺盛な活動的な性格と社会的な 立場を作っていくであろう。 後者の子がすくすく育てば、 じっくりと物事を分析して進んでいく タイプになるだろう」 人って、生まれた瞬間から 自分のDNAで、自分の人生を生きていく。 自分のDNAに基づいた脳の働きで生きていきたくても、 周りの大人は、 少しでも子どもが、 今の社会の中で生きやすいように、 好奇心旺盛な子には落ち着きや注意深さを求め、 納得して進みたい子には、 周りの人と合わせることを求めたりする。 もちろん社会の中で少しでも生きやすいことは 大切だから、 大人の助けを借りながら少しずつトレーニングして いかれれば、それはすごくいいと思う。 しかし、元々の自分の気質を 否定されて、違う気質を求められると、 それはキツい。 このことを書くと、 親って立場の方は、 きっといろいろな考えがわくと思う。 キツいな、厳しいな、否定された、 と感じる方も、 中にはいるかもしれない。 だって、たとえば、 指示されたことをすぐにできないと、 それでは将来、組織の中で生きてくのは辛かろうと 考えるからこそ、 「とにかく、すぐに動きなさい!」 って言うんだと思う。 愛情や心配からのメッセージ。 それが全部悪いと、この本は言ってない。 根本のところで、 その子のそのままを否定してないかどうか・・・ ってことだと思う。 根本のところで否定してると、 集団生活にあうようにとか、 今の社会に受け入れられるようにとか、 そればかり(この「ばかり」ってのが、多分、困ったこと) を求めるようになり、 そのうち、それを子どもは 自分で自分に課すようになり、 それはつらい毎日になるだろう。 「私って、こういうところあるからね。 そうなりがちなんだよね。 さ、じゃ、どうしようか」 くらいのカンジになるためには、 自分も自分の気質に抗わず、 周りがその人の気質を否定しないってことが すっごくすっごく重要だと思う。 そして、思春期ってのは、 自分ってものが出てくる時期でもあるから、 求められているものと それに応えられない自分のことで悩んだり、 求められること自体の苦しさを、 いろいろな形で表したりする。 つまり、この時期に、いろいろな形で 子どもが出す問題行動は、 学校などからみたら「問題」かもしれないけど、 その子や親からみると、 生まれつきの気質の再確認の きっかけになる可能性が高い。 気質を否定せず、 それとともにどう生きていこうかと考え、 考えたことを行動していけることが 幸せに生きていくってことなんだろうなあ。 と、 ま、こんなことを考えられた本。 この本との出会いは、 「聴く」「共感」について、 もう一度自分を振り返ろう、考えようと 考えたことがきっかけ。 そのきっかけは、 先日の研修でのキツい気づきから。 メディエーションの研修で、 講師の先生から、 「共感と、共感しいてる自分を分かっての違い」 についてコメントをもらい、 そのことがピンときて、 ピンときただけに辛くて、 なんとかしなくちゃと、 こういう時頼るのは、 大好きな精神科医の高橋和巳さんの本だ!と思った。 これまで「心を知る技術」と「生まれ変わる心」 を読んでいるが、 本当の意味での「聴く」ことを、 何度でも確認させてくれる本だった。 まだ読んでない彼の本を2冊選ぶ。 「子は親を救うために『心の病』になる」 と、 「心をはなれて、人はよみがえる」 の二冊。 「子は親を〜〜〜」 を読むのは、今まで、怖かった。 子の「心の病」は親のせいだなどと書かれていたら、 高橋さんのことを嫌いになってしまいそうだった。 でも、この人は、「誰かのせい」という断定的なことを 示すはずがないと思い、読んだ。 で、やっぱりそう。 子の生きにくさと、 親の関わりは関係していることもあるけれど、 親も生きにくかった訳で、 親の生きにくさが楽になると、 子も楽になることがある・・・ ということが書かれている。 そして、親の生きにくさが楽になるためには、 分かろうとする第三者が ちゃんと親の話を聴くことが大切だと いうことが書かれてた。 さらに、 気質に抗わず、気質共に生きることの意味を 再確認させてくれた 「心をはなれて、人はよみがえる」。 キツい気づきよ、ありがとう!!!だな。 |
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author : tanizawa-k
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