2012年03月の記事 | 今のところではありますが…
重荷を下ろす。

【2012.03.31 Saturday 16:37
3月31日は父の命日。
昨日お墓参りにいってきた。

もう何年も前のことだ。
お寺のお上人様に、本堂で、
「この鞄をもってみてください」
と言われたことがある。
持ち上げると結構重かった。
石を入れてあるとのことだった。
その後元あったところで置くように指示された。
私は置いた。すると、
「重い荷物を背負って歩くのはしんどいですよ。
 もう下ろしていいですよ」
と言ってくださった。

昨日、お墓を磨き、
草を取り、
お花を供え、
お水をかけて、
時間をかけてお墓参りしながら、
父と母に心の中で、
その話をした。

私は二人姉妹の長女に生まれたのに、
名字を継がなかった。
実家は会社を経営していたのに、
父が亡くなった時点で継続せず、
廃業した。
そのことで、
時々は自分を責め、
時々は仕方なかったと受け入れ、
時々は、だからこそ今があると
納得させてきた。
それらは長い間、
交互にやってきていた。

お上人様がその話をしてくれた時は、
まだまだとってもそんな気持ちでは
なかったけれど、
昨日初めてお墓で、
父と母にその話をしながら、
「下ろしていいかなあ」
と思った。



今日は朝から春の嵐。

毎年3月31日は、
お墓参り以外に外出はせず、
静かに過ごしていたけれど、
今日は春の嵐の中、
映画を見に行った。
「ヘルプ〜心がつなぐストーリー」

シートに座った時、
「3月31日に、こういうこと、
 できるんだなあ」
としみじみと思った。

時ってのは、すごいチカラを持っている。
父が亡くなって15年。
こういう日が、私にきた。


映画は人種差別を背景にした物語。
白人の家庭で働く通いのメイドは「ヘルプ」と
呼ばれたらしい。
彼女たちが尊厳を取り戻すために、
勇気を振り絞って立ち上がった過程は
なみだ涙。

ヘルプの一人、エイビリーンは子育て上手。
エリザベスの家庭で働いている。
エリザベスは子どもの世話はほとんどせず、
家に友達を呼んでカードをしたり、
その時に着るドレスを縫うことで忙しい。
子どもを一日に一回しか抱っこしないし、
おむつも変えない。
エイビリーンがおむつを変えて帰宅し、
翌朝みると、そのままの状態になっている。
エイビリーンが着替えさせ、髪を整え、
食べさせ、トイレの躾をする。

何よりも、何よりも、すごくすごくいいのが、
しょっちゅう、子どもに語りかけるのだ。
「お嬢様は、かわいい。
 お嬢様は、かしこい。
 お嬢様は、大切な子」
そして、子どもにリピートさせる。

エイビリーンは人間にとって一番大切なものが
何か知っていたんだ。
それは自尊心。
それを、小さな子どもに、育もうとしていた。

だから、ママに起こられて泣きじゃくっている
子どもを抱きしめて、
「お嬢様は、かわいい。
 お嬢様は、かしこい。
 お嬢様は、大切な子」
と言い、彼女にも繰り返させる。

エイビリーンは、白人の子どもに、
自尊心を育んでいたけれど、
自分自身は、
自分自身の中にある自尊心そのままには
生きていなかった。
でも、最後、
彼女は、それを選ぶ。
その選択が気持ちいい。


でね、
私だってそうだ!って思った。
私の中には、
父や母、祖父母や、おじさんおばさん、
そして実家で働いてくれていたたくさんの
方々によって、
自尊心の種をいっぱいもらってある。

かわいいね。
かしこいね。

そうたくさん言われて育ってきた。

なのに、
いろいろなことがあって、
特に「家」とか「家業」とか、
そういうことになると、
時々は、その自尊心を
どこかにおいてきていたこともある。


でも、もうそんなこと、
しなくていいんだ。
もう、自分のこと、責めなくていいんだ。

その時その時精一杯考えてしたことだもん。
その選択を、ちっとも卑下しなくていい。


私は重荷を下ろしていいし、
自尊心を減らさなくて、いい。


そういうこと考えて、
すっきりしている3月31日。


辛いことも苦しいこともあるけれど、
生きていると、
こういうパっと開けたような一日もあるんだなあ。




























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いよいよ静岡で!ホワイトボードケース会議の講座開催。

【2012.03.30 Friday 14:36
学校の先生方、
また、相談活動に携わっている方に、
ぜひぜひ参加いただきたい講座のお知らせです。

学年で一人の子どもの対応についての話し合い、
あるいは相談部会での話し合いなどにおいて、
効果的な支援方法を計画し役割分担まで決める
会議を開けていますか?

関係者の方々が集まって、
席について始まったはいいけれど、
情報交換で時間になってしまった・・・
なんてことはないでしょうか?

忙しい中の会議、
会議後すぐに誰が何をしたらいいかが分かる、
有意義な時間をもちたいもの。

そのひとつの方法を学ぶチャンスです。
ぜひぜひ、参加をご検討ください。

*学校の中で特別支援コーディネーターや生徒指導を
 担当される先生はもちろん、学年での会議をリードされる
 主任の先生、あるいはクラスの中に気になる子どもがいる
 先生、養護教諭の先生、また研修担当になった先生、
 きっと、とっても役立つと思います。
 相談関係者、たとえば教育相談員、スクールカウンセラー
 にとっても、持っていると必要な技術だと思います。

 

<ホワイトボードケース会議 入門講座 in静岡>

(内容)
子どもの非行、不登校、トラブル、授業中の立ち歩 
きなどの問題行動や家庭での虐待やクレームなど困 
った場面に有効な「ホワイトボードケース会議」の 
進め方を学びます。
 
生徒支援や生徒指導に有効な会議の進め方です。 

会議の進行役をファシリテーターと呼びます。 

この講座では 
①上手に情報共有を進める進行方法 
②子どもの問題行動の背景や理由を的確に評価するための 
 「ホワイトボード・ミーティング用アセスメント支援 
 スケール」の使い方 
③日頃の授業や学校生活で効果的に支援や指導を進める方法 
④家庭への効果的なアプローチ 
⑤教職員や関係者のチームワークと役割分担 
の方法を学びます。

幸せな子ども時代のために 
ホワイトボードケース会議の進め方を一緒に練習しましょう! 


□日時:2012年6月30日(土) 
    9時30分〜16時30分 
□場所:ふしみやビル 803号室 
      (静岡市葵区呉服町2-3-1) 
           JR静岡駅北口徒歩10分     
□費用:6000円  
□対象:学校教職員、教育相談員 
     スクールカウンセラーなど30人(先着) 
□申込:seiko.chon@gmail.com 
※必要記載事項 なまえ、学校名や校内分掌、仕事等 
                 TEL番号、講座の参加動機など 
□参考文献:「よくわかる学級ファシリテーションテキスト 
       〜ホワイトボード会議編」(解放出版社) 
      「よくわかる学級ファシリテーション①②」 
□主催:人まちファシリテーション工房(大阪) 
        090-2119-7865 
□協力:谷澤久美子(静岡市スクールカウンセラー) 

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感謝を伝えた→ばりばり仕事

【2012.03.29 Thursday 18:59
昨晩は、今年度で活動を終了する中学校での
送別会に出席した。

この会に参加された全員とお話することができ、
お一人お一人に感謝を伝えることができた。
いつか言いたいなと思ってたこと、
さりげなくじゃなくて、
ちゃんと言いたいと考えてたこと、
日常の業務時間中は、
なかなかそういう余裕がなく、
また忙しい先生方をわざわざ捕まえて
ってのもしにくく、
伸ばし伸ばしになっていたこともある。

4年前の校内研修、私は特別支援に関しての
研修講師を務めた。伝わったかどうか心配
していた私に、終わった後「よかったですよ」
と声をかけてくれた方に、
「あの時は本当に嬉しかった」と伝えた。

昨年の秋口、ある担任の先生と話している時、
その先生が「谷澤さんのところに保護者の方が
たくさん話しにくるの、今日話してみて、
よくわかった」と言ってくださった。
どれほど励まされたか、感謝を伝えた。

この学校は今年度のスタートから、
相談の体制がすばらしく、
それを計画してくれたのは教頭先生だ。
なんと相談室は3つあり、
わりとオープンな相談室1は、
別室登校の子どもの居場所になっていて、
職員室と近いので、担任の先生や学年の
先生方がしょっちゅう声をかけてくれる
いい塩梅な配置となっている。
相談室2は主に教育相談員さんが使い、
子どもは休み時間に飛び込みで相談に
くる場。
相談室3は、スクールカウンセラーである私が
保護者の方との相談の場として使っていた。
玄関などを通らずに、そっと入ってこれる
入り口もあり、多分保護者の方にとっても
使いやすかったと思う。
教頭先生に、
「こんなに『相談』ということを大切に
 考えてくださっていることがありがたかった」
とお礼を言えた。

若い先生たちも、とってもがんばって教育に
取り組んでいて、
そのことから学べたことを
一人一人に伝えることができた。

私にお別れの言葉をスピーチしてくださったのは、
保健室の先生だ。
本来の養護教諭の先生が育児休暇をとられていて、
彼女とは半年間ご一緒した。
女の子たちのぐちゃぐちゃした話を聴くのが上手で、
子どもたちの気持ちを分かろうとしながらも、
背中も押せる、すばらしい先生だ。
掲示物はアイディアがあるおもしろいもので、
初日から壁を飾ってあった。
相談部会のたびに、
資料を作って報告してくれた。
時々子どもとの対応方法を
相談に来てくれたりした。
その先生が、スピーチの中で、
関西方面で大学生活を送っていた時に、
尊敬する養護教諭の先生からすすめられて、
私の講演を聴きにきてくれたことが
あったと教えてくれた。
私は、えっ関西から?とびっくり。
そして本当にありがたいと思ったし、
そんなに思ってくれていることが、
もったいなくって、たまらなかった。


この学校での活動は5年間だった。
5年間、
知らず知らずにたくさん貯まっていた
感謝やねぎらいの言葉をほぼ言えて、
私はすっきりとした。


そして明けて
今朝、
朝一から大切な仕事をひとつ仕事し、
10時すぎから、
3月中にはやってしまい to doリストを作った。
全部で22。

以前読んだ本「『親切』は驚くほど体にいい!」
の中に、
感謝を伝えることは自分に返ってくるというような文が
確かあったが、
それは本当だと思う。

感謝を伝えると、
それを期待していた訳ではなく、
単純に言ってすっきりしたかったから言ったのに、
ほとんどの方が、
私に対しても感謝を伝えてくれたりした。
それはもう忘れてしまったような出来事だったり、
無意識でやっていたことを、
ちゃんと覚えててくれたりしたのだ。

それがエネルギーになったのか、
今日は仕事が、
もう、バリバリできた。
夜までに、
チェックボックス9つにチェックをいれて、
満足だ。
けっこう面倒なことも、
トライしてみた。

やった!



来年度、
私は3つの中学と1つの小学校で仕事をする。
新しい2つの中学は、どちらも大規模校だ。
そこで、
この学校で育めたような信頼関係を育むのは、
時間がかかると思う。

でも、少しずつやろう。
まずは、自分からオープンでいこう。
いつものように、無駄話しを大事にしよう。
まずは、お一人の方の
ストレス解消法から知る努力をしよう。
給食をいただきながら、
いろんな方のお話を聴こう。
一回の会話を大切にしよう。
「先生」じゃなく、
ちゃんとお名前で呼ぼう。

ひとつのケース、
ひとつの会議、
ひとつのアドバイス、
丁寧に丁寧に取り組もう。


昨晩は寂しさでいっぱいだった。
でも、ちゃっかりしてるな、私。

活動開始はまだまだ先だけど、
なんだか、
楽しみになってきたなあ。








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「決めつけ」が、人と人を離す。

【2012.03.28 Wednesday 13:57
NHKの朝の連ドラ「カーネーション」が
もうすぐ終わりそうだ。

主人公の糸子がまだ幼かった頃、
小林薫さんが演じる父親の
男尊女卑な考え方とそのふるまいに、
私はめちゃくちゃ腹を立てた。

腹を立てながら、
「多様性」ということを考えると、
あの時代、
糸子の「父親」にとって、
あの考え方を持たないという選択肢は
なかなか難しかったのでは?と、
コミュニケーションの講座の講師の仲間と
話したりもした。

あの頃の社会のことを考えると、
当たり前のことだったのかもしれないし、
そう育てられてきた彼が、
考え方を変えるのは相当困難だ。



私は、
カウンセリングの場や、
コミュニケーションの講座の中で、
本当に様々な方のお話を伺うことを
仕事としている。

どの方にも
その方が、その考え方やふるまい方をもった
過程や背景がある。

問いかけに対する「間」も、
過去を振り返っての「涙」も、
全部に意味がある。

100人が、
100通りの過去と背景を持ちながら
生きている。


そのことを、様々な場で実感すると、
私の日常の中で出会う、
どんなに意味不明なふるまいや言葉にも、
その方のそうせざるを得ない何かがあって、
そうしてると考えることが、
できる時もあるようだ。

それを見誤り、
自分とは違う考え方、ふるまい方をする人を、
一方的な「決めつけ」で見てしまうと、
「距離を置く」とか、
「挨拶だけの関係にする」とか、
離れる方向にばかり気持ちがいく。

もちろん、それもありだ。
自分で選んで関係を作っていけばいいのだから、
それでいいけど、
だからって、
もしその人に対する「決めつけ」から
頭の中で攻撃ばかりがうずまいたら、
誰かを頭の中だけでも非難し続けるのは
しんどいから、
やはり「決めつけ」をしていないか、
チェックしてみることは必要だなあ。





映画「マリリン 7日間の恋」を見た。
私はテーマとはまったく別のところに
釘付けにされた。

マリリンは、
自分の演技が映画監督に
受け入れられていないことから、
開始時刻に遅刻をしたり、
台本通りのセリフが入らず、
何度も取り直しをしたりと、
撮影所に迷惑をかける。
そして精神的に不安定になる。
この映画は、
その時に彼女を支えた助監督との
関係がテーマだ。

なんだけど、私は、
本読みの段階から折り合いが悪い
マリリンと監督の間を、
なんとなく取り持とうとする大女優シビルと、
監督の妻ビィビィアン・リーの存在が
気になって仕方なかった。

この年を重ねた二人の女性の描かれ方が、
人としてすばらしいと思った。
その時その時の感情に振り回されず、
その場で必要な行動が取れ、
何より、分からないものに対してさえ、
理解を示せる態度を取る。

お互いの「違い」を受けつけず、
「決めつけ」し合って苦しむ、
マリリンと監督とは、まったく違うんだ。


ビィビィアン・リーは、
仕事が滞る理由が彼女にありながら、
ひとたび、役に入って演技をすると、
スクリーンの中で輝きを放つマリリンを見る
夫のまなざしに嫉妬しながらも、
マリリンに対して、理解者である態度を崩さない。
それが、なんともかっこいい。
夫に対してはその嫉妬を素直に表現するが、
マリリンに対しては、
女優としてのマリリンを
受け止め、認めている姿勢を通すことに
ぶれがない。
それが、
すごくすごくかっこいいのだ。

またシビルがすごい。
マリリンが役に入るのに
何時間も待たされるし、
たった一言のセリフが言えないで、
何度も同じシーンを撮り直すこともあるのに、
彼女はマリリンをかばう。

ハリウッドではなくイギリスでの初めての撮影、
その中で、自分の演技をしようとして葛藤している
マリリンを、
不安がらせるような言動は一切せず、
味方であることを言葉でも伝える。

シビルは、マリリンに
自分に不都合なことを繰り返されても、
マリリンにはマリリンの事情があると、
理解しようと務める。
その上でなんとか演じきりたいと努力を
試みている一人の女優として、
彼女を扱っているのだ。


そうありたいなあ。
いつもって訳にはいかなくても、
この映画の中のビィビィアン・リーや
シビルはあこがれだなあ。



来年度は、
2つの新しい学校で活動することが決まっている。
また新しい出会いがあると思う。
苦手なタイプの方との出会いもあるだろうし、
向こうが私を苦手と思われることもあると思う。

そういう時にどういう自分であるか?
また試されるなあ。

それでもチームで仕事をすることが好きな私だ。
その中で、
一緒に活動する先生の、
先生としてのキャリアや考え方や、
生きてこられた背景など、
いろいろ、いろいろ、考えて、想像して、
「決めつけ」そうになったら自分にストップかけて、
やっていきたいなあ。













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沈黙のコスト。

【2012.03.27 Tuesday 20:31

昨日は、取材を受けた。

進級進学を迎える思春期の子どもたちが
持ちそうな心配ごとのことと、
それに対してコミュニケーションのチカラで
解決できそうなことをお話した。

取材をしてくださった方が
初めて会ったとは思えない、
本当にオープンな方で、
私を、いきなり、全面的に受け入れてくれた。
彼女の質問を受けながら、
私は今までの自分の取り組みを振り返ることができた。


子どもに対する
コミュニケーション能力を育むための
プログラムは、
本当に難しいと思う。

これまでもそうしてきたが、
今もまだまだいろいろ考えながら
作っているし、
きっとこれからも、
考え考え作っては修正し
としていくと思う。


そうしながら、
子どもたちに伝えていきたいと思う。


誰かと分かり合いたいと思ったら、
話し始めることが必要で、
相手のことを尋ね、そして、
自分から自分のことを話し始めることが、
「分かり合う」ことの可能性に繋がるよ!
って伝えていきたい。

相手に尋ね、
自分を語ることは、
怖くて難しいかもしれないけど、
でも、沈黙のコストの方が、
はるかに大きくなってしまうことがあることを、
理解してもらえるように、
いろいろな視点から話していきたい。



友人と朝学校に行く時、
ある場所で待ち合わせしている。
いつも友人は遅刻する。
そのことがすごくいやだ。
待っている間、
遅刻したらどうしようかと心配になるし、
私のこと、待たせても平気な人だと思ってるのかな?
なんて考えて悲しくもなる。

このことがあった時に、
どんな気持ちがして、
どうしてほしいと考えているのか、
もし伝えなければ、

友人が相変わらず遅刻してくるという状況は
変わらない。

と同時に、

友人から、
自分の一部分を知るチャンスを
奪っているということにもなる。

友人はたとえ誰かに待たされても、
まったく気にならない人かもしれないのだ。
自分がこれほど、そのことを、
やきもきと考えていることなど、
ちっとも想像していないかもしれない。


ジャーニーズに夢中な人、
k-popが大好きな人、
アニメやコミックが好きで、
アイドルは声優さんという人、

人は一人一人違う。

違いは違い、間違いじゃない。

でも、
同じふりをして
話を合わせている限り、

たとえば、
いつも待たされることに、
まったく平気なふりをしている限り、

その友人とは、
しっかりと根を下ろした関係は
育っていかないのではないだろうか。


私は、このことで、
今はこういう感情をもつ人間です。
こうしてください。

と語る。

そして、
そのことについてあなたはどう思いますか?

と訊ねる。

それは自分をオープンにして、
相手の考えや感情をも大切にしようとする
態度だ。




このことを、
いろいろ工夫して、
子どもたちに話したとしても、
理解してもらうことは、
すごく難しいことだと思う。

すごく難しいことだとしても、
やっていきたいなって、
昨日の取材を通して、
新たにチカラがわいてきた。


子どものコミュニケーション能力を育むためにも、
来年度も、
大人と子ども、
両方からアプローチしていこう。

大人には、
かかわる大人が子どもの感情を受容的に受け取った体験が、
子どもの感情の把握→処理→表現に安定をもたらすという
ことを、何度も何度もやろうと思う。

また大人自身が
自他尊重のコミュニケーションのモデルになろうと
呼びかけ続けよう。

さらに、
大人が自分の問題で子どもに影響を与えないように、
コミュニケーションで解決できることは
解決する努力をしてこう!と背中を押したい。


子どもには、
感情は生理現象ということをベースにした
コミュニケーションのプログラムを
より良いものにしていきたいと思う。


あ〜取材に感謝。















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すり替えないで、一旦受け止める感情。

【2012.03.26 Monday 10:01
新年度を迎える季節。

子どもたちは進級進学を前に、
期待でわくわくしている子もいれば、
不安でいっぱいな子もいると思う。
時々わくわく、時々いらいら、時々くよくよ、
ってカンジが、
多くの子どもだろうか。

私たち大人だって同じだと思う。
どういう方と一緒に仕事することになるのか。
新しい仕事をやれるのか。
また新しい出会いがあるかもしれないな。
変化についていけるか。
いろいろな気持ちが複雑に、
心の中にあると思う。

こんな時、
A がんばり屋さんは、
 こんなぐじぐじ考えてても始まらない。
 いいことだけ考えよう!と、
 もしかしたら、
 無理を重ねてしまう可能性がある。

また、
B いつまでもくよくよ考えてると、
  そのくよくよする自分のことがいやになって、
  4月からのことが心配でくよくよしてたのに、
 それ+、心配がとまらない自分がいやになり、
 何重にも自分を責めてしまう
 可能性がある方もいる。

さらには、
C 他者の自分に対する態度や、
 ちっともよくならない環境のことで
 いらいらしている人は、
 思い通りにならない中で、
 なぜ自分ががんばらないとならないのかと、
 イライラが一層募って、
 わかってもらえない腹立たしさで
 にっちもさっちもいかなくなってしまう
 そんな可能性も。



そういう時に、どうしたらいいか?

残念ながら、これをやれば絶対に
うまくいくなんて方法はないと思う。

でも、やっておいた方が、
複雑な感情に振り回されずに、
ある程度バランスよく生活できるって
ことはある。



感情に振り回されずに生活する方法とは、
感情を
①把握し、
②処理し、
③表現するしないを選択。
 するならする。
 しないならしない。

この3つのポイントのうち、
スタートを間違えると、
結構苦しい。

スタートは「把握」だ。
この時に、人がやってしまいがちなのが、
「感情のすり替え」なんだ。

たとえば、義母の下着を洗濯する際、
脱衣カゴから洗濯機に入れる時、
「やだな」って無意識に感じてて、
手がガシっと洗濯物をつかめない。
でも、
最初に湧いてきた感情を自分で認めなず、
やらせてもらえてるって思おうなんて考えて、
無理矢理「優しい気持ち」にしようとする。

これだと、
①「把握」が不十分になって、
多分次へとすすめない。

Aの時やBの時は、
自分の感情を自分できちんと把握することを
意識してやられるといいと思う。


特にAをやってしまうことが多い方は、
「感情のすり替え」が得意かもしれないので、
まずは、からだにきいてみるといいかも。
義母の洗濯の場合は、
出なかった手が物語っていること。

「いやって思ってる」
って確認する。

他にも、
「心配なんだ」
「楽しい」
「不安を感じてる」
「今、腹がたっている」
「うれしい」
「緊張でふるえてる」
そんな感情を自分で把握、確認する。

感情は生理現象。
感情に快不快はあっても、
 善悪はない。
どんなネガティブな感情も、
わいてはいけない感情なんてないと、
まずは知っておくこと。

時にBのいらいら、くよくよしている自分を
責めがちな方は、
これだけでも、結構心のバランスがよくなるのでは
ないだろうか。



もちろんCの方の場合も、
①の把握はきちんとされるといいと思う。
でも、そこに留まらないってことに、
視点を向けると、
Cの方の場合は
より過ごしやすくなるのではないか?


新年度、
職場に来る新しい上司がわかった。
指示の仕方がきついという噂を
きいたことがある。
「やだな。困ったな」なんて、
なんとなく、仕事場にいく足取りが重くなる。

①「把握」してみると、
 なんか、いや。困る。

それは自分でしっかりと受け止める。
「俺は、とてもいやなんだ。
 ペースを乱されそうで、心配」
と。

そして、そこに留まらず、
②の「対処する」にいけると
いいな。

たとえば、
自分自身のやってきたことや、
支えてくれている人のことを考えるのは、
ひとつの方法かも。
「自分もこの職場でがんばってきた。
 なんとか、やっていけるんじゃないか」
「愚痴れる人がいるから、
 愚痴りながら、やっていけばいいか」

あるいは、
「ペースを乱されたくないってことは、
 それだけ、自分は自分のペースを大切に
 してるってことなんだよな。
 誰がどうしようと、
 自分は自分のペースでやっていけばいいか」
というように、
感情の裏側にある、どうなりたいかを
考えてみるのもいいかもしれない。

また自分が持っている思い込みについて
考えておくのも、ひとつの方法。
なぜなら、人は誰もがある程度、
アンバランスな思い込みを
もっている可能性があるからだ。
・こうあるべきという「べき」思考。
・一度のことですべてを決めつけてしまう思考。
・物事の否定的な面ばかりを注目してしまう思考。
・不安や心配があるうちは行動が起こせなくても
 仕方という思考。
 などなど。

しかし、それらは単なる思い込みで、
・「べき」は
 「こうであったらいいけど、
 そうならない時もある」くらいに、
・一度のことで全てを決めつけるのではなく、
 「その時はそうだったけど、
 だからっていつもって訳ではない」くらいに、
・否定的な面ばかり注目しがちな時は、
 「たしかにそういう面もあるけど、
 いい面もあるかもしれない」くらいに、
・「不安・心配」があっても、
 「その時はそれなりにやれるように
  すればいいっか」くらいに
緩めておけるといいなあ。



③そしてその感情を表現するかしないか
 自分で決める。

「いやだった」って言ってもいいし、言わなくてもいい。
 ただし、
言うなら、言う言い方に気をつけたいし、
言わないなら、言わなかったことに責任をもちたい。




最初のステップ、
自分の感情を把握すること。

この時に、
どちらかというと感じたくない感情を、
感じた方が良さそうな感情とすり替えると、
モヤモヤが残り、
上手くいかない場合が多くなる。
把握したいと考えても、
やりなれていないと、
最初は自分の感情がよく分からないってことが
あるかも。
それでも、
自問自答しながらやっていくうちに、
わかるようになったと
おっしゃる方は多い。




また、これらを、
本当に安心できる場で、
話しながら整理するのも
ひとつの方法。
なんか、うまくいかない、
バランス崩れてるって時は、
誰かに話しながら、
①②③を整理してみてほしいです。


そして、子どもにとって話す相手は、
友達か家族がほとんど。
さえぎらず、
わかりたい、理解したいと考えながら、
聴いてあげてほしいと思うなあ。








author : tanizawa-k
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静岡でも学び合う!アサーティブネス。

【2012.03.24 Saturday 20:54
時々の確かめ合い、
刺激がコミュニケーション力を育みます!

アサーティブ・カフェin 静岡 
開催のお知らせ


これまで、
静岡でも多くの方々が
アサーティブネスを学んでくださいました。

せっかく学んだコミュニケーションの道具
アサーティブネスですが、
道具は持っているだけでは、
なかなか使い方が上手くなりません。
時々メンテナンスしたり、磨いたり、
そういう時間が必要です。

そこで、アサーティブネスを学んだ方々が、
集まれる場を作ることにしました。

3ヶ月に一度、開く場。

気軽に失敗談を語り合ったり、
ロールプレイをしてみたり、
あるいは日頃の悩みを話してみたり、
そんな時間を過ごしましょう。

年4回の日程を決定しましたので、
参加ご希望の方は、
ぜひ、スケジュールの調整をお願いします。

尚、今回は第一回目の参加の募集を行います。

第一回目の「アサーティブ・カフェin静岡」の後は
参加自由でランチをご一緒する会を開催予定。

第二回目以降は、
午後に開催することを計画していますが、
その場合は講座の後に飲み会も考えています。
楽しみながら、学びを継続していきましょうね。


<2012年度の開催予定日>
1回目: 6月23日(土)午前9時15分〜午後11時45分 
2回目: 9月29日(土)午後1時30分〜午後4時30分(予定)
    (申し込み受付開始は6月23日(土)から)
3回目:12月15日(土)午後1時30分〜午後4時30分(予定)
    (申し込み受付開始は9月29日(土)から)
4回目: 3月23日(土)午後1時30分〜午後4時30分(予定)
    (申し込み受付開始は12月15日(土)から)
* 10人以上で開催します。

会場:未定(参加申し込みの方にお知らせします)
会費:3000円
定員:20名(アサーティブジャパン主催
       又は谷澤相談室主催の
       アサーティブトレーニング基礎講座を
       終了した方、
       または、
       NPOこころのケアグループ主催の連続講座を
       受講された方対象
       /先着順)
講師:谷澤久美子

<お申し込み方法>
faxかメールで以下を記入の上お申し込みください。
受付後詳細をお送りします。
① 氏名 ②住所(〒番号も) ③電話番号 
④詳細をお送りする時のご希望の連絡方法(電話:携帯:fax:メール)
⑤受講された講座名
fax: 054-348-0435 
メール:kumikotanizawa@gmail.com

↓尚、この下の広告は、谷澤相談室、谷澤久美子と一切関係ありません。
     
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涙腺。

【2012.03.23 Friday 08:54
今日は雨。
花粉症の方の涙目も、
一昨日昨日より幾分楽なのかな?



ヒトが進化していく過程で、
指の間の水かきは失っていった。
不必要になってきたかららしい。
水かきはなくなっていったのに、
現在を生きるヒトに、
涙腺がばっちりと存在するのは、
涙を流すことがヒトにとって、
必要なことだからなんだろうな。

花粉症の方は、
相当うっとおしいと思うが、
その涙は、
おそらく「反射性分泌としての涙」で、
いろいろな物質をからだの中に取り込まないよう
バリアとなってくれているんだろうなあ。

とはいっても、
相当辛いのではないだろうか?
お察しします。




その涙とは違い、
この時期は「情動性分泌としての涙」も、
よく流す時期かもしれない。
人の感情の動きによって肉体が興奮状態に
なったことによって分泌される涙。

あんまり腹がたって涙が出てきたとか、
試合に負けて悔しくてとか、
悲しくて流す涙もあるし、
嬉し涙もある。

歌を聴いていて、
ドラマ、映画を見て、
小説を読んでいて、
登場人物に共感して
涙があふれることもある。


入試に成功して親や友人と抱き合って
泣いた方、いるんじゃないかな?
思ったような結果が得られなくて、
悔しくて泣いた方も。
今はそういう時期でもある。

また、この春退職をされる方。
これまでやってきた積み重ねの達成感と、
これからの毎日への希望と、
もしかしたら寂しさもある、
複雑な涙を流されるかもしれない。

私は週に約3日学校で活動しているから、
異動の発表が報道された昨日は、
いろいろな思いで新聞を読んだ。

さみしい別れがあり、
その学校にいっても、
もうその方とは一緒に仕事ができないせつなさを
感じたりした。

4月という始まりの季節の前にして
別れの季節でもあるから、
涙はいろいろな場所で、
流されるんだろう。


子どもへの、大人へのストレス・マネージメントの
授業や講座で、
ストレスを感じた時にどうしているかと
問いを投げかけることがある。
子どもからも大人からも、
女性からよく出てくるコーピング(対処の方法)に
「泣いてすっきりする」というものがある。

これ、確かに、すっきりする。


人間は、自分の中の感情を外に出すことで
楽になることができるが、
「泣く」ということは、
涙で外に出していることになる。


小学校低学年のお子さんをもつ保護者の方からの相談で、
「泣いてばっかりいて困る」というものがあるが、
私は「泣く」には、大きく二つの理由があると思う。

一つは、
泣くことでほしいものを得たことがあると、
それを得たい時に泣くかもしれないということ。

泣いたらママが優しくしてくれたとか、
泣いたらおじいちゃんが欲しい物を買ってくれたとか、
そういうことがあると、
「泣く」を得たいものを得るための道具に使うかもしれない。

もう一つは、
もやもややいらいらなど、心の中をしめているものが
なんだか分からなくて、それでもそれをなんとか
したくて泣く場合。

話をいろいろ聴き、そう見立てたら、
次のように話してみたりする。

「もやもややいらいらや、なんとなくイヤな
 ことを、お子さんは『泣く』ことで外に出せて
 よかったですね。泣かせてあげながら、
 その時のお子さんの感情を言語化してあげることで、
 だんだんと
 『今すごく困ってる』
 など、泣く代わりに言葉で表せるようになる
 可能性がありますよ。
 ますは、気持ちを言葉にする手伝いを
 してみてあげましょう」




気持ちを外に出す時の、
涙はひとつの方法だ。

さらに、さんざん泣いたことで、
発散している自分を感じられたら、
二重にすっきりすると思う。


人間にとって精神的にキツいのは、
自分の中に湧いてきた感情が理解できない時だと思う。
なんだか分からないけど、むしゃくしゃするとか、
この人と一緒の時間を過ごすとなぜか落ち着かないとか、
よくわからないと、
どうにもならない。
その状態のままいることは、
感情にまきこまれる可能性がある。

でも、ひどい一言を言われて、
すごく腹がたったんだとか、
その人がうわさ話しを始めると、
辛くなるとか、
そう感情を把握できた時点で、
自分の状態に対し少し客観的になれたってことだから、
巻き込まれるとは違う方向にいくことが多い。

なので、
ただ泣くでもいいけど、
泣いて泣いてしばらくたったら、
自分の感情を自分の中で言葉にしてみるといいかもしれないな。


泣きたくて、そういう状況を作って流す涙も、
私は嫌いじゃない。
涙は、ここでこぼさないって決めてこらえるのも、
嫌いじゃない。
すごく素直に泣けちゃうのもいいし、
夫がTVドラマにぐっときて、
そっとぬぐってる感じも嫌いじゃない。

ある中学校での卒業式。
答辞や一人一人の言葉の中で、
最も子どもたちが泣いていたのは、
親のことに触れた時だった。
「素直になれなくて、
 反抗ばっかしてたのに、
 いつもご飯を作ってくれた」
そうスピーチする子どもの声が震えると、
それは多くの子どもの共感を呼んで、
涙の連鎖。


いかにも泣かせることを目的に作った作品で、
やっぱり泣かされてしまうのは、
ちょっとしゃくだけど、
でも、そうだとしても、
そういうもので泣きたい時も、
なんだかあるなあ。


涙腺、涙、泣くってことについて、
とりとめもなく。
















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答えのない悲しみ

【2012.03.21 Wednesday 18:41
高校野球の選手宣誓で石巻工業高校の主将阿部さんは、
被災地の方々の気持ちを代弁し、
目標を明確にし、
目標に向かって今自分たちにできることを示し、
「全身全霊で、正々堂々プレイすること」を誓った。
(素晴らしいスピーチだったと思うけど、
 全国の人々に勇気を与える役割まで
 負わずにいてくれていいと、個人的には思う。
 ただ懸命に自分たちの目標を目指して
 ボールを追いかけてくれてれば、それで十分
 だと思う)

その中で
「人は誰でも、答えのない悲しみを受け入れることは
 苦しくてつらいことです」
と言っている。

「答えのない悲しみ」とは、
どこにぶつけていいのか分からない悲しみという意味や、
なぜこんな悲しみを背負わなくてはいけなかったのか
理解できない悲しみという意味や、
どうすれば乗り越えられるのかわからないほどの悲しみ
という意味や、
いろいろな意味が込められた言葉だと思う。

私は今日改めて、
今年の3・11以後いつも頭のどこにあることを
考えている。

それは、
あんなに理不尽なことがあったのに、
昨年の3・11以前と
ほぼ変わらぬ生活をしている私は
これでいいのか?
という疑問だ。

もちろん、それに対するアンサーは、
いろいろなものを用意してきた。
・起こってしまったことをあれやこれや
 考えるより、これからのことを考えて、
 今はまず、自分のできることを
 丁寧にやっていくのだ!
・それは仕事だ!
・仕事をすることで、ちょっとでも
 税金を納められるようがんばるのだ。
・しかも経済を、ほんのちょっと回せる。
・しかも仕事である
 「コミュニケーションの講師」は、
 今こそ一層意義深い仕事だ。
・コミュニケーションの道具をいろいろな方に
 持ってもらうことは、
 復興や、新しい日本の姿に、
 ほんの少しだけど、いい影響を与えられる
 可能性もある。

さんざん考えたから、もっともっと
自分を責めずにすむ理由は考えてある。

でも、それでも、
やはり何度でも、
「本当にいいの?自分」
に戻る。

そんな時に森達也さんが「311」という映画を
作ったことを知る。
被災地を訪れて取材をしていると、
知りたい、伝えたいというジャーナリストとしての
業のようなものがわき上がり、
悲しみにくれている人にマイクを向け、
時には亡骸をカメラに取り、そこにいた人に
罵声を浴びせられたそうだ。
そういう自分の姿を納めたのが「311」という
映画だそうだ。

彼は
「うしろめたさから目をそらさない」
と言った。

彼にとっての「うしろめたさ」は、
ひとつは「ジャーナリスト」としての「うしろめたさ」で、
もうひとつは
他の多くの人も抱えている
「3・11以後も普通に生きているうしろめたさ」
なんだと思う。

私の頭の中にあるのも、そういうことだ。
3・11以後も、
普通に、
その前と何ら変わりなく
生きて仕事をし、
その前と同じように、
楽しいことも、
激しく落ち込むことも
体験を積めてしまえること。

森さんが、
「簡単に折り合いつけずにいていい」
と言ってくれたようで、
私はすごく心強かった。




映画「ものすごくうるさくて
ありえないほど近い」の中で、
父を9・11で亡くした息子オリバーは、
最愛の父親の死を納得いくまで考え、
暗闇の中でじたばたとせいせいしないまま
いる。

私は、生きていくには、
「解決できないことや、
 もう起こってしまったどうしようもないことに
 こだわるより、
 今を大切にした方がいい」
と心底思っているし、
凹みから前を向くまでの転換の時間は、
かなり早い方だと思っている。

でも、それを、
この3・11には使ってはいけないように、
そう考えているんだと思う。


森さんに引き続き、
オリバーも私に、
こだわりたいとこに、
こだわっていい権利はあると背中を押してくれた。


さらに
先週の日曜日、
CX「ボクらの時代」は総集編だった。
前田武彦さんと大橋巨泉さんと小沢昭一さんの回のものが
ちょっと流れた。
大橋巨泉さんが帰った後、
戦争について話していた時、小沢昭一さんが言ったんだ。
「(戦争以後)偶然生きてる」と。

その言葉を聴いたとき、
小沢さんにとっての「戦争」と、
私にとっての「3・11」はあんまり
違わないかもしれないって思った。

理不尽なものが、突然やってくる。
そのこと。

しかも、それは
東海地震だったかもしれなくて、
だって私は小学生の頃から
東海地震への心構えをしていたのだ。
それなのに、なぜか、
東北であんなことが起こった。
自分の身に起こったかもしれないのに、
そうではなかったってことで、
「偶然」生きていることができる私。

「偶然」生きているから
 講座にも立て、
「偶然」生きているから、
 今日なんか卒業式で先生や保護者や子どもに
 感謝を伝えてもらえる機会も持てた私。
「偶然」生きているから、
 夫と口げんかもできるし、
「偶然」生きているから、
 義母の世話もできるんだ。
「偶然」生きているから、
 イヤなことにもであえるし、
 失敗して凹んだりもできる。

小沢昭一さんの一言は重い。

彼は戦後、ず〜っと
「偶然生きている」と
考え続けてきたんだ。
そうしていいんだ!


そして、もう私はすっきりと決心がついた。
この3・11のことに関しては、
これからも
簡単に自分を持ち上げないでいこうと思う。
自責の念や罪悪感が湧いてきたら
それを重く受け止めて、
しばらくそこで留まろうと思う。

それを選択する自由が
私にはあると思う。

もうそうするって決めた。



あ〜やっと、ちょっとまとまった。







 










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「ラブ&ドラッグ」

【2012.03.20 Tuesday 17:47
「ラブ&ドラッグ」をレンタルして見た。
ジェイク・ギンレイホールとアン・ハサウエイ主演。

自分を自分で認めることができない男性が、
享楽的に毎日を過ごすことで、
自分ってものを考えないようにしていたが、
パーキンソン病を患う女性と出会うことで、
変わる。

彼女は、恋人とは対等な関係でいたいと
望んでいる。
今はステージ1の症状も、
だんだんと進行していけば、
いずれは相手の世話にならなければ
ならないことが分かっている。
相手に迷惑に思われる前に自分から去ることが
できるように割り切った関係にしようと考える。

そういう二人だけど、
関係を深めて一緒に暮すようになると、
彼は、なんとか彼女の病気を治したいと
考えるようになり、
彼らの毎日は病院、専門医めぐりになり、
検査付けも日々となる。

それが彼女に与えるメッセージは、
「病気が治ったら愛す」
というものだったと思う。

でも彼女の本当に欲しいものは、
「ありのままの(パーキンソンを患っている)
 自分を愛してほしい」
ということ。

このまま病気が進行すると、
きっと対等な関係ではいられなくなる。
どこに行くにも連れていってもらわないと
ならなくなる。
それを卑屈になって頼めないのではないか?

いろいろ考えて彼女は、
彼に家を出ていってほしいと告げる。

離れて暮す間に、
彼はやはり大切なのは、
今の、そのままの彼女だと気づく。

「1000人と出会っても、何も変わらなかった。
 でも、君一人と出会って自分は変われた。
 初めて自分のことが好きになれた」

お互いに素直になった二人は、
やり直すことにして、
ちょうど仕事でレベルアップできる時だったが、
彼はそれを断り、
幼い頃からの目標だった医者を目指すことにする。




いろいろなドラマが、
様々なストーリー、様々な時代背景、
様々な俳優を用意して
繰り返し描く
「そのままのあなたがOK」
ということ。


「そのままのあなたがOK」と
自ら認め、
他者からも認められた途端に、
動き出すより良い人生。

なぜって、
「そのままの自分でいいんだ」と
自分で認めることができると、
安心感をもって一歩踏む出すことができるようになるからだ。
50歩目から100歩を目指すことより、
スタート地点の一歩、
つまりゼロから一歩目の方が
はるかにチカラがいるが、
その時に最もマイナスなのは「恐れ」という感情で、
一番必要なのは「安心感」という感情だ。
「この自分でいい」と自分で思える安心感の
チカラといったら、すごいものだ。

そこに他者から
「そのままのあなたがいい」というメッセージを
いっぱい受けたら、どんなに安心するだろうか。


また、
「そのままのあなたがいい」と
他者に認めることができると、
相手というコントロールできないものを
コントロールしようとする無駄なエネルギーを、
建設的なことに使えるようになる。
これも大きい。

また自分を本当の意味で認めた時に、
他者のことも、本当に大切にできるようになるものだ。


多分、このことが素敵な人生のコツだと思うけど、
それでも人間って、
おもしろいことに、
そのままの自分を自分でなかなか認められないし、
そのままの相手をそのまま認めることも難しく、
だから、いろいろ面倒くさいことになってしまったりする。

ま、そこが人間のおもしろいことかな?


ラブ&コメ風の映画、好きだなあ。
なんか、のんびりするなあ。










author : tanizawa-k
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谷澤 久美子
counselor