背景を想像すること。 【2011.08.31 Wednesday 17:30】 |
ずっと前のことになるが、 私のめちゃくちゃ尊敬する校長先生が、 特別支援教育についての会議の挨拶で、 ある一人の男子のことを話してくれた。 彼は、遅刻をよくしてたし、 課題などはあまり出さず、 やんちゃな行動もたまにする、 男子。 校長先生が日曜に学校に来る用事があった時、 学校のすぐそばの公園で、 弟や妹たちと遊んでいる様子を 見たということだった。 校長先生は、車を止めて、 目が離せなくなったと言っていた。 すごく優しい顔つきで、 弟と妹と遊ばせている彼。 ころべばかけより、 追いかける時は加減をし、 水筒から水を飲ませていてあげていたそうだ。 複雑な家庭の中で育ち、 今は母親が一人で子ども達を育てていて、 日曜も母親は働きに出ていて、 きっと彼が面倒をみているのではないか。 学校での姿だけを見て、 彼に指導をしてこなかったか。 彼のことを、本当に理解して、 彼に寄り添ってきていただろうか? 「お母さんを手伝ってやれよ」 とかなんとか、 いいアドバイスをするつもりで 言ってなかったか? 小さな子と手をつなぎ、 守ろうとしている彼を想像してほしい。 そういう彼の姿を想像しながら、 教えるべきことは教えるし、 しかるべきことはしかるが、 同時に分かってあげるべきことは、 分かろうと努力していこう。 一人一人の子どもたちに、 いろいろな環境があり、 その子その子のもってる発達のバランスがある。 今日はそのことを共通にする。 出てきた事実だけを見るのではなく、 それを手がかりに想像してほしい。 職員は皆感激していたし、 その会議は、とても濃い会議になった。 時々義母への接し方や、してあげた方がいいことを アドバイスしてくれる。 その時に、 我が家の背景や環境や家族の構成から、 我が家のことを、 多分、めちゃくちゃ考えてくれて言葉を 発してくださる方と、 そうでもない方がいる。 そうでもない方に指示をもらうときは、 カチンときながら、 こういう言葉かけはしない方がいいんだなあと、 相当な学びになる。 また、我が家のことを、 いろいろ考えてくれて、 さらに想像もして言葉をかけてくれる方は モデルだなあと学びになる。 たとえば、つい最近の困った例としては、 「お義母さんの足が相当むくんでいますから、 お医者さんに連れてってあげてください。 かわいそうでならなくて」 と言われてしまったことがある。 私は義母にかわいそうなことをしているのかな? 私なりにがんばってるけど・・・。 と思ってちょっとだけ辛くなる。 この方とのこういうやりとりは、 過去にしょっちゅうあり、 最近では、 彼女は私にとって 「批判の対処の仕方のトレーニングのネタを ふってくださる方」 と考えているので、 面倒がらずに、 アサーティブネスのスキルを使って対応を試みてる。 「かわいそうかあ。 そう言われちゃうときついです。 でも、 確かにむくんでいますよね。 医者には毎月一度受診してるんですよ。 その時に相談もしているんですけど、 むくみに関しては、 ずっと座っているのではなく 運動をすすめられています。 でも義母がいやがるので、 むずかしいです。 ま、また来週行くので、 言ってみます」 本当にアサーティブトレーニング応用講座の 「批判への対処の方法」は役立つ。 きついなあ、辛いなあと思ったことを、 感情的にはならずに伝え、 そのため、後に残らない。 とはいえ、 医者に一ヶ月に一度一緒に行っているし、 二週間に一度は血圧手帳を提出し、 処方してもらいにも行っている。 そういう事情をわからないで、 ほおっておいているのように考え、 かわいそうと伝えられても、 私の側の建設的な行動には繋がらない。 それで、私は考える。 事情もわからないで、 想像もしないで、 求められていないのに アドバイスをするのは、 私は、 やめようと決める。 さてもう一人の方。 たとえば最近、こんなことがあった 決められた迎えの時間より 早めにこられた時、 「ごめんなさい、 まだ、義母の支度ができてないんです。 あと10分はかかりそうです。 今日は義母は行きたいってせっかく 言ってくれてるので、 できたら他を廻ってきていただきたいんですが、 どうですか?」 「行きたいって思ってもらえて 嬉しいです。 他を廻って最後にきますので、 あわてないで支度しててください」 ま、こんなふうに言ってくれた。 それで、 「いつもより30分以上お迎えが早いんですが、 そうなる時は連絡いただければ、 お待たせしないと思います」 と言うと、 「実は今朝連絡して、了解していただけたんですよ。 でも、お義母さんが出られたから、 実は、どうかな?分かってらっしゃるかな と思いながら来たんです。 私どもの手配が悪かったですね。 次回からは、ご主人かお嫁さんに 電話を変わってもらいますね。 朝の時間帯に、電話を変わっていただいて、 ご迷惑じゃないですか?」 「迷惑なんてとんでもないですよ。 ぜひお願いします。義父にも 言っておきます」 この彼は、 多分、 我が家の朝の感じを想像してくれたりしてる。 私たちのことを 分かろうとしてくれているのを感じるし、 共感的理解を示してくれている。 こういうことが続くと、 この方からのアドバイスをほしくなる。 おもしろいものだな、コミュニケーション。 ちょっとしたことだけど、 すごく大きな違いになって、 人の心に届くんだよなあ。 背景を想像するかあ。 私が想像を働かせるとすると、 例のキツいアドバイスの送迎の方は、 きっと、 着替えか何かの時に、 義母の足がパンパンなことに気がついてくれたんだろう。 そして、きっとマッサージか何かしてくれたんだろう。 せつないねえ、痛くない・・・とかなんとか いいながら、一所懸命さすってくれて、 それでもなかなかとれないむくみ。 義母の足が気の毒で、見てられなくて、 思いあまって私に告げてくれたんだと思う。 それを口にするのも、 勇気がいることだと思う。 それでも言ってくれた。 言ってくれ方はキツかったけど、 だからこそ、「批判の対処」の練習もできた。 だよなあ。 やっぱ、そうだ。 他者に求める前に、自分だ自分。 まず自分が、他者の言葉の背景を考えたり、 想像したりしてみることだなあ。 |
author : tanizawa-k
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