「127時間」 【2011.06.29 Wednesday 18:16】 |
私の、今のところの今年度ナンバー1。 すごい映画を見てしまった。 自立ってのは、自分で何でもできることを言うのではなく、 時には「助けて」って言えること。 私はそう思っているのだけど、 通常の、何の変哲もない毎日の中では、 なんとなく他者を頼ることは、 弱いことだと思ってしまいがちだ。 この映画の主人公も、 今まで何でも独りでやってきた。 大概のことは独りでのりきれてきた。 これからもそうだと思ってた彼だったが、 そうではなかった・・・ それを、めちゃくちゃすっごい状況で心底分かった人の物語。 主人公のアーロンは、 都会で普通に仕事をし、 週末はブルージョン・キャニオンを 音楽を聴きながら歩き回ることを楽しみにしている。 この日もいつもと同じように、 妹からの電話に出る間も惜しんで準備をして、 出かけた。 到着してしばらく楽しんでいると、 迷子になった二人の女性をみつけ、 道案内をし、さらに、ワンランク上の楽しみ方、 崖の狭い隙間から泉にダイブして遊ぶ方法をトライさせて あげたりする。 二人からは別れ際翌日のパーティに誘われ、 その後、アーロンはいつもと同じように ビック・ドロップという目的地をめざす。 だが、その途中、足がすべり、狭い岩壁の間に、 落石と共に落ちてしまい、 しかも、岩壁と落石の間に右腕は挟まれ、 にっちもさっちもいかなくなってしまう。 タイトルの「127時間」は、 そこから、脱出するまでの間が127時間だった という意味。 この間、本当にすごいんだ。 そんな状態になれば、誰でも混乱する。 アーロンも、最初はムキになる。 絶対無理なこと、 落石を外そうと使える方の左腕で 力いっぱい落石をたたく。 たたくというより、からだごとぶつける。 しかし、びくともしない。 すぐに冷静になる。 「考えろ、考えろ」と自分に言い聞かせ、 背負っていた荷物をおろし、 持っているものを落石の上をテーブルにして起き、 食料の量、残っている水の量を確かめる。 そして、小さなナイフで、 岩壁と落石の間を少しずつ掘り始めるのだ。 少しずつ掘り進めるが、ほとんど役には立っていない感じ。 それでも、時間を決め、水を飲み、眠り、 遺書代わりのためにビデオを撮影し、 両親へ語りかける。 落石から開放されるアイディアがわくと、 それを試してみる。 たとえば、ロープで落石をつり上げる作戦。 しかし、やっぱりだめだ。 夜は寒くなり、一度は大雨が降った。 温かい日差しが指すのは朝の15分間だけ。 そんな中、あきらめずに掘り続ける。 時には幻想をみる。 幻想を見たときは、 自分を保つために撮影してみる。 すると、何も映っていないので、 幻想とわかる。 また、これまでの人生をいろいろと振り返る。 母から電話があって、 留守番電話に向い話す母の声は 「今出張で父親がいなくて さみしいから話したい」と 言っているのに、 他の用事をしていてスルーしてしまったこと。 妹の結婚式にも、 自分の用事を優先して出席せず、 かつての恋人と、 一緒に野球観戦をしている間に、 「自分優先のあなたとはやっていけない」 と言われたこと。 多分彼女は「君を大切にするよ」と言ってほしくて 言ったことだと思うのに、 そのままにしてしまい、 「きっとあなたはひとりぼっちになるわよ」と 捨て台詞とともに去っていった。 出会ってきた人たちのことを 大切にしてこなかった日々を思い出すアーロン。 そして、 気づくのだ。 ブルージョン・キャニオンに来ることを、 誰にも言ってはこなかったことを。 自分は自分ひとりで生きてきたし、 これからも生きていけると思い込んでいた、 驕りみたいなものを思い知るアーロン。 ここから、めちゃ壮絶だし、 この映画は、超おすすめなので、 どういう方法で彼がサバイブするかは、 書かない。 ただ、すごい。本当にすごい。 さらに、これが実話ということだもん、 言葉がない。 途中彼が考えるいろいろなことの中で、 ある歌が流れる。 この歌詞がとってもいいんだ。 あまりにも曖昧なんだけど、 こんな感じ。 どうしようもなく動きがとれない時がある。 そんな時もあるけど、 そんな時は、その場で種をまこう。 私はすごく力強く思った。 これ、私はしてる!って思った。 凹むし、くじける私だけど、 凹みならは、くじけながら、 その時できることをするってことを、 心がけている。 ご飯を食べるとか、 掃除をするとか、 仕事にいくために準備をするとか、 そういう本当に大したことない種まきだけど、 それでも、それをすることが、次につながる。 アーロンも、何度ももうだめだと思いながら、 自分の尿まで飲んで、行き伸びるのだ。 常に種まきしながら。 元恋人は、アーロンに 「ひとりぼっちになるよ」と言って去っていったけど、 私は、彼は岩壁と落石にはさまれ、 身動きできない孤独の中で、 結局はひとりぼっちではなかったと思う。 いろいろな人が、頭の中に表れた。 その人たちがアーロンを大切にしてくれたからこそ、 彼は、どうしてもその人たちにもう一度会いたくて、 あるいは、お返ししたくて、 それがサバイブのモチベーションになったと思う。 そのことに気がつけたからか、 実在のアーロンは、 人生をやり直せるとしても、 もう一度同じ目にあいたいと言っている。 「人生の困難は、逆に恵みでもあるんだよ」と パンフに書いてあった。 おおお!すごい。 絶対に、みんな、見て! これだけすごい話なのに、妙に明るいし、 音楽もいい。 あ〜興奮したあ。 |
author : tanizawa-k
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