複雑さを噛みしめる。 | 今のところではありますが…
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複雑さを噛みしめる。

【2016.12.17 Saturday 08:53

プーチン氏が遅刻したことを家人と話す。

「3時間も会議を遅らせるとは!

 どうしてそういうことができるか理解できない」と私。

「外交はそういうもの。

 成果をあげるためには

 いろいろなことをするものだ」と家人。

納得いかない私。

 

私は、

最近は

あまり遅刻はしない方だと思う。

会場に誰よりも早く到着することを常としてた

父親からの薄〜い影響があるのかも。

とはいえ、20分くらいまでの遅刻は理解できる。

 

ただ3時間とは!!!

 

家人は

「こうなると、

 誰が彼を待たせるか?だな」

という。ふむふむ、それは面白い。

待たされた時、

彼がどんな反応をするか楽しみだ。

 

 

なんて言いながら、

彼の遅刻の背景を想像してみた。

 

・落とし所をロシアで幹部と話し合っていた。

・1日押せ押せだった。

(何しろ夕方のスタートだから、

 朝からプーチン氏方式で遅れ遅れてきた

 ことが積み重なって)

・アメリカとの関係改善が予想される中、

 領土問題もある日本は、そこまで重要視

 してない感を出したかったから。

・安倍さんの地元での会議という

 日本側のアドバンテージを

 平らする方法を採用。

 

考え出すと面白くなってきたぞ。

 

 

とはいえ

遅刻常習者のプーチン氏のことを

理解することは難しく、

ま、そんなことを私がする必要もなく、

そして

私が今日言いたいことは

そこではなく、

他者を理解しようとすることの

難しさだ。

 

 

人って本当に複雑だ。

 

 

TED タヴィ・ジェヴィンソン: 10代はまだまだ模索中

が面白い。

12歳の時にファッションブログを始め、

15歳でオンラインマガジンをスタートした彼女。

今は20歳だが、

このスピーチは17歳の時らしい。

 

彼女がオンラインマガジンを始めたのは、

「”どちらかしかなれない”ものを

 どうにかできないか」と考えていたからという。

女の子は、

「賢くて可愛いの両方なんて高望み、

 周り、特に男性からどう思われるか、

 どう思われたいかで服は選ぶべき」

という社会からのメッセージを、

彼女なりにどう受け止めたらいいか考え続け、

その模索や混乱を、

まずはブログで発信したんだという。

そして「女性のある一面だけを強調するもの

でない10代の女子向けのサイト」を

作ったんだそう。

彼女はフェミニストだと自認していて、

女子達の中にある「フェミニスト」への

誤解も解きたいと思っているという。

「フェミニストになるには、

 自らの信念を貫徹しないといけない、

 不安になっても疑念を抱いてもダメ、

 全てに答えを持っていないといけない、

 などと思われているかもしれないけど、

 それは違う。

 実際フェミニズムを知ることで

 私は自らの矛盾に折合いが

 つけやすくなりました。

 フェミニズムは規制ではなく、

 話し合い、対話、プロセスなんです」

 

これを「フェミニスト」に限ってしまって

考えるのはもったいない。

全ての「こうあるべき」に対する

もう一方の、

バランス感覚のある考え方で、

彼女は10代の女子は模索中と言って

いるが、

模索中なのは、

10代の女子だけではなく、

人間ってそうなんだと思う。

 

10代の女の子たちがそうなように、

模索し続けてる、

「常に今のところ」の人間たち。

 

模索しながらなんとか

自分の答を見つけながら生きる。

それを他者が理解しきるのは、

ほとんど無理なのではないか?

 

 

今年読んだ本の中で、

良かった何冊かの中の一冊

「言葉が鍛えられる場所」。

 

著者がこれまで書いてきた

ビジネス、経済、介護などに

テーマを置くエッセーではなく、

「言葉」について書き、

しかも、

「言葉が表しているもの」についてではなく

「言葉が隠蔽しようとしているものが

 何であるのか」

について書いている。

 

この本の中では、繰り返し、

言葉の向こうには

表されなかったもの、

表しにくかったもの、

表したくなかったもの、

があることを丁寧に書いている。

 

「見えるものがあるのは、

 見えないものがあるからであり、

 形のあるものが確かだと思えるのは、

 形のない不確かなものが存在している

 からであり、

 輪郭のはっきりした外側があるのは、

 輪郭を持たない内側があるからだということを、

 しばしば忘れてしまうのです。

 鍛えられた言葉は、

 いつも、見えるもの、存在、充足、正確さ 

 と言うものの背後に、

 不在、欠落、遅れを導き入れるのです」

 

 

この本の中に取り上げられている

石原吉郎という

戦後のシベリア帰還者である

詩人が書いた、

 

「わかったな それが

 納得したということだ

 旗のようなもので

 あるかもしれぬ

 おしつめた息のようで

 あるかもしれぬ

 旗のようなものであるとき

 商人は風と

 峻別されるだろう

 おしつめた

 息のようなものであるときは

 ききとりうるかぎりの

 小さな声を持てばいいのだ」 

(「サンチョ・パンサの帰郷」より

    「納得」の部分)

という詩。

 

これには、

敗戦、

シベリアでの過酷な労働、

期間後の危険人物扱い

(シベリア帰りは「赤」だという風評が

 あったとのこと)、

という人間性を踏みにじられるような

経験をしてきた者でしか書ききれない

納得の形がある。

「おしつめた息」という言葉に、

「物言えば唇寂し」という経験でさえ

する機会を与えられなかった、

あるいは絶望のあまり自らしなかった・・・

そういう背景を考えてしまう。

 

 

 

外交は複雑だ。

駆け引きをしあう人間が複雑だ。

 

10代の女子は複雑だ。

簡単にわかってほしくないし、

しかしわかろうとしてほしい、

人間が複雑だ。

 

言葉は複雑だ。

その言葉だけでは

表しきれない、

表さないことに意味を込める

人間が複雑だ。

 

 

簡単に判断したらダメだ。

レッテル貼ってはダメ。

 

理解したと思えた瞬間、

「今のところの理解」くらいに

意識しよう。

 

 

サッカーのゴールを外して泣いていた

小5の男子がいた。

「悔しかったんだね」

と声をかけると、

ヒックヒックと泣きじゃくりながら、

「悔しいんじゃない。

 もう6年生とサッカーやれなくなるから

 悲しかったんだ」

と言った。

 

 

ある学校のPTAの役員決め。

会議には母親、つまり女性たちが集まった。

くじを引く前に、

今年度の会長(男性)が言ったそうだ。

「くじで当たった方は、

 ご主人を説得してください」

参加していた

私の大好きな知人は、

その言葉にカチン。

男性がやるものと決めつけてる、

その態度に、

聞いた私も腹たつ〜!

・・・だからといって

その方を男性至上主義者と決めるのは、

早い。

もしかすると

今まで 、当たり前の、

「毎年の会長のくじ前の言葉」

だったのかもしれないし、

母親のしんどさをわかっての

説明だったのかもしれない。

リーダーという立場が得意な女性に

これまで会ったことがなかったかもしれないし、

ひとり親で子育てしてる人がいるかも

という想像を持てなかったのかもしれない。

「差別」に、(多分)無意識に加担してるけど、

ものすごい悪気があったわけではないんだろうな。

 

 

 

「つまりは〜〜〜なんでしょ」

「要するに〜〜〜ってことだよね」

ってわかった気になって

まとめるのではなく、

せめて

「〜〜って理解でいい?」

でいきたいなあ。

 

 

で、

どこまでいってもわかりきらないのは、

他者もそうだし、

自分もそうだ。

 

人間が複雑。

その中に自分も入れておこう。

だからブレる。

時々、迷う。

自己嫌悪も、

自己卑下もある。

それでいこう。

 

それを自分にも許そう。

 

そして、

複雑な

私とあなたでやっていくしかないのだなあ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

author : tanizawa-k
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【2017.08.21 Monday 08:53
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谷澤 久美子
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