マダム・イン・ニューヨーク | 今のところではありますが…
<< 気にならなくなりたい時。 | main | アトムが不完全なのは。 >>
マダム・イン・ニューヨーク

【2014.11.17 Monday 08:43
「マダム・イン・ニューヨーク」は
今、
TUTAYAさんで最新コーナーにある
インド映画。

家族の中で唯一英語を話せないシャシ。
そのことで引け目を感じている。
反抗期の娘などは
「ジャズダンス」という言葉の
「ジャズ」を上手に発音できない母親を
ばかにするし、
夫は彼女の料理をおいしそうに食べながら
「この料理のために、おまえと結婚した」
のようなことを言う。
そんな彼女が
親戚の結婚式の手伝いのため、
単身でニューヨークにいく。
ニューヨークでもカフェでランチひとつ
頼めない自分に落ち込み、
一念発起、「4週間で英語が
話せるようになる」という学校に
通うことにするのだ。

ここで出会ういろいろな出身地の人々と
学び合い、
特にフランス出身のシェフの男性との出会いから
少しずつ自信を回復していく物語。


以下めっちゃネタバレ含みます。
ご注意!!!

・・・・・・

めちゃくちゃ感動したシーンがあるのだけど、
それは、
英語のクラスの中で、
パキスタン出身の男性を
シャシがたしなめるシーン。

このクラスの先生はゲイで、
その前の週恋人にふられてしまって
落ち込んでいる。
そのことをおもしろおかしく話す彼に、
シャシが
ヒンドゥー語(シャシと彼しか分からない言葉)で
「人にはひとそれぞれ事情がある。
 自分にとって正しいことでも、
 相手にとっては違うし、
 相手にとって正しいことが、
 自分にとっては違うこともある。
 だから、そんなふうに
 おもしろがってしゃべることではない。
 そのあたりで、その話はやめましょう」
というようなことを言うシーンだ。
(ものすごくあいまいな記憶です)

彼にとっては
クラスの中を盛り上げようとする
ちょっとしたおしゃべりだったかもしれなくって、
それでも、
人として大切な部分を揶揄するような発言には、
ちゃんとノーと言えるって、
ほんとにかっこいい。

私自身、いろいろな場面で、
聞き捨てならないような人権に関する言葉を、
時々流してしまうことがある。
それは、差別に加担していることだと、
もう充分に分かっていても、
いろいろな理由をつけて、
たとえば、
この場の雰囲気を壊したくないとか、
この方との信頼関係がまだ弱いからとか、
とにかくいろんな理由をくっつけて、
流してしまうこともあるんだ。

それは、この場面でいえば、
「そうだね」っておもしろがりながら
聞いてるってことで、
客観的に考えてみると、
やっぱりそれは消極的であっても
加担に間違いないんだよな。


シャシは英語を学び始め、
どんどん話せるようになり、
自分自身も少しずつ自信をもてるようにも
なってくる。
特にフランス人シェフが想いを寄せてくれることは、
「お料理やお菓子を作ってさえいればいい」と
言わんばかりの夫とは違う。
一人の人として認めてもらっている感覚を
取り戻す。


さて物語も大詰め。
インドから家族たちもやってきて、
いよいよ結婚式だ。
お祝いの席でスピーチの番が廻ってきた。
夫が
英語ができないと思っている彼女をかばう気持ちで
「私が・・・」と席を立とうとするのを制して、
彼女が話し始める。

(これもまたあいまいな記憶ですが)
「結婚は素晴らしい。
 それは二人の人間の対等な関係の
 上になりたつもの。
 時々、二人は相手より自分が
 劣ってると感じる
 こともあるかもしれない。
 そんな時こそ、
 お互いが対等であることを
 感じ合う努力をしてほしい。
 あなたを助けるのは、
 他の誰でもない自分。
 まずはあなたがそれをしてほしい。

そう英語で話すシャシを
家族は最初、びっくりして見ている。
シャシはスピーチを続ける。

 仕事という世界で
 二人は忙しい思いをするかもしれない。
 でも、家族という世界ももってほしい。
 家族は決してあなたを決めつけない。
 家族は決してあなたがあなた自身を
 恥ずかしいと思うようにはさせない。
 家族はあなたの欠点を笑わないし、
 いつもあなたを愛し,尊敬してくれる。
 この結婚をお祝いします。おめでとう」

これを聞きながら
一時、
夫も娘もばつの悪い顔をするのは、
自分たちがしてきたことに罪悪感を
感じたからだと思う。
しかし、最後には、
シャシの知性や、堂々とした姿勢に
心からの拍手を送る。

私は、
結婚式のスピーチとして、
そして、同時にシャシの
英語学校の卒業のスピーチとしては
本当に素敵なスピーチだったと思うけど、

できたら、
その場を借りて家族に想いを伝えるのではなく、
直接夫や娘に
「実は英語が話せないことを
 ばかにされているように感じて、
 つらかった。
 お料理とお菓子づくりだけにしか能がない
 ように扱われることは、
 とても悲しかった」
と伝えられ、
その上で分かり合えたら、
もっと後味がよかったかなと思った。

ずっと前に、
毎日新聞の「仲畑さん選万能川柳」にあった、
「うるさいな 犬にむかって 妻にいう」
が思い出されて。


とはいえ、
「対等な関係」というキーワードを
軸にしたスピーチそのものは、
本当に素晴らしい。



さて私は、
妹家族の住むニューヨークに
久しぶりに行きたくなった。
シャシみたいに
ある程度の年齢になってから
自由な時間を思い切り使えるって
しかもそれがニューヨークって、
なんかいいなあ。


英語
コンプレックス
自信
加担
面と向かって話す
罪悪感
自由な時間
・・・
関心のある
いろいろな要素がつまった、
そして、
めちゃワクワクする映画だった。




 
author : tanizawa-k
| 映画 | comments(4) |

スポンサーサイト

【2019.09.06 Friday 08:43
author : スポンサードリンク
| - | - |

この記事に関するコメント
久美子さま お久しぶりです
いつも元気に走るFB 拝見してます
映画とっても見たくなりました
なんかいろいろ置き換えて考えられる内容
年末年始は娘のところに行く予定で
実はあまりアメリカという国が
好きではないのだけれど
アメリカには新しい家族がいるので
きっとこれからは好きになる

ちょっと気になりましたが
私は本を後ろから読んでも平気な人ですが
久美子さんのこの話 ネタバレ?
| アキラ | 2014/11/17 6:08 PM |
アキラちゃん。めちゃネタばれでした。
「ご注意」を追加しておきました。ご忠告ありがとう。

この映画、とってもよかったです。ぜひ見て!!!
| ◆アキラ様←谷澤 | 2014/11/17 6:43 PM |
管理者の承認待ちコメントです。
| - | 2014/11/18 10:52 AM |
管理者の承認待ちコメントです。
| - | 2014/11/18 9:26 PM |
コメントする










谷澤 久美子
counselor