「むらさき花だいこん」を知ってしますか? 【2010.01.23 Saturday 20:10】 |
三島から伊豆箱根鉄道に乗ると、 途端に観光気分になる。 最近ではめずらしいボックス型の座席の電車に揺られ、 韮山駅でおりた。 反射炉があり、 江間のいちご狩りが有名なところだ。 講演の会場は韮山時代劇場。 寒い時期。 しかも、一月が始まってまだ3週間。 まだまだ落ち着かない、 そんな時期の土曜の午後にもかかわらす 300人くらいの方が集まってくださった。 会のスタートは、 退職された女性教師のみなさんと 会場が一緒になって合唱。 「月の砂漠」を歌ったのは、 本当に久しぶりで、メロディーが心にしみた。 続いて「退職女性教師の会」のお一人の方の朗読で、 絵本の読み聴かせだ。 もう二度と戦争への道を歩かないようにという 願いをこめた 「むらさき花だいこん」という絵本。 私はこの絵本について、まったく知らなかった。 絵本の中で、 戦争にむかっていく日本の社会の雰囲気を、 「男たちは、生き方より死に方を、 女たちは、涙のかくし方を、 子どもたちは、人の憎しみ方を教えらました」 と表現していた。 朗読されている方のたんたんとしながらも、 温かい声で、この文章が読まれたとき、 私は涙がにじんできた。 男性も女性も、 どう生きていくかに一生懸命になれて、 笑顔も涙も堂々と素直に出すことができて、 子どもたちには、 自分のことも、周りの人のことも大切にする、 そういうことを考え合っていかれるような、 そんな社会でありたいと、 つくづくと思った。 この絵本の主人公は若い日本の兵士。 南京で戦い、 中国の一般の人たちを銃で撃ち、 剣でつき、殺してしまっていくうちに、 次第に、角のない鬼になっていき、 ますます人を殺す。 そして南京に日本の国旗を立てる日がくる。 しかし、負傷をして野戦病院で傷を癒しているある日、 自分のこれまでしてきたことを想い、 からだが震え出す。 そんなある日、 一人の中国人の少女にであい、 その子はむらさき花大根の花を一輪差し出すのだ。 彼は、日本にその種を持ち帰る。 そして、戦争を二度と起こすことのないよう、 戦争のことを忘れてはいけないと、 この種をまく。 まいた種はいろいろな土地で、むらさきの花をつけるのだ。 こんな物語。 平和というのは、 勝ち取るってものではないんだなあと思った。 平和というのは、 育てるものなんだ。 平和は、 みんなが大切に育てるものなのだ。 絵本でしんみりとしたあとに、 私のような者の話。 皆様にとってどういう時間になったのか、 よくわからなかいが、 私なりには話せたと思う。 私はコミュニケーションスキルを伝える ということを媒体に、 種をまいているつもりなんだ。 なかなか難しい。 でも、少しずつ・・・なんだ。 子どもと子ども、 子どもと親、 子どもと先生、 そして大人同士、 そんな人と人の間で、 分かり合おうとできたり、 理解しあう努力を重ねるのは、 小さな反戦運動なんだと思う。 |
author : tanizawa-k
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